第4次長期計画

21世紀初頭の龍谷大学像の実現をめざして

第4次長期計画(2000-2009)において、本学は21世紀初頭の龍谷大学像として「共生(ともいき)をめざすグローカル大学」を掲げ、次のような大学創りをめざし、さまざまな事業に取り組みました。

  1. 建学の精神にもとづき、真実を求め自分の生きる意味について考えることができる、人間性豊かで主体的な人間を社会に輩出する大学
  2. 世界的水準において「この分野については『龍谷大学』を外すことができない」といわれる教育・研究分野を確立し、それを担っていく次世代を育成することによって、世界から期待される大学
  3. 地域社会の教育・研究の中心的拠点として地域社会の発展に寄与しつつ、その取り組みを教学に還元することにより大学の発展を実現し、地域社会とともにさらなる発展を遂げる大学
  4. 龍谷大学が世界水準に達する高度な教学を有する総合大学として、多様な学習主体者に対して多様な教育を提供する大学
  5. その多様な教育システムにおいて学んだ者が「龍谷大学で学び、自らを磨き上げた」ことに誇りを感じる大学
  6. 受験生はもとより、社会全般・世界から龍谷大学の個性が認知され、発展が期待される大学

共生を目指すグローカル大学

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「共生(ともいき)」とは

20世紀の「科学」や「ものの考え方」に対する反省に立ち返り、「私のいのちが他のいのちによって生かされており、また私が生きる意味は他のいのちを生かすことによって実現する」という共生(ともいき)の理念を追求することを目的として大学像に掲げました。本学はこの理念をもって、他を生かすことが自らを生かすことになるという考え方で生きる人間像を求めるべきであると考え、このような学生を育成すること、またこのような視点をもって21世紀の文化や科学を創造していくこと、をめざしていきます。

「グローカル大学」とは

21世紀における大学を取り巻く環境変化のひとつとして、グローバル化があげられます。日本社会そのものがボーダレス化し、諸外国社会との融和が進む中で、国家対国家との関係から、地域対地域の関係へと世界との交流のあり方が変容してきています。大学が担う教育も、国家の枠組みの中での教育ではなく、世界を意識し、諸外国の教育と協調が求められることになります。

研究もまた、世界を意識した展開が求められています。諸外国においては大学における研究がその国の産業力に直結しうる状況にあります。そして日本でも大学の研究成果が産業に直接還元することが求められており、その対応に取り組むことが必要となっています。また研究そのものは、さらにグローバル化が進んでおり、世界に通用する研究活動・研究成果が求められるようになっています。

本学はこのように世界を意識した教学を展開していきます。その基盤となるものを「地域」におき、また「特定・特化」されたものに求め、これを世界水準で展開することをめざしていきます。

このような社会的状況と本学の理念から、「グローカル大学」という大学像を掲げています。

グローカル-glocal-とは、ローカル-local-(地域・特定・具体的事象)を実体として捉え、グローバル-global-(地球・世界・全体・普遍性)を見据えるものであり、本学のめざすべきあり方を示すとともに、本学が取り組む教学の主題・対象・手法となりうるものです。

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第4次長期計画の改革方針

このような大学像を実現するための改革方策として、「高度化」「多様化」「流動化」「個性化」をキーワードにしています。

4つの改革方策のフレームワーク

高度化

グローカル大学を標榜する本学は、本学の理念・資源に見合う選択的分野を定め、この分野における国際的通用性のある教学を展開し、本学における教育・研究活動とその成果が世界に認知されることをめざして「高度化」に取り組みます。

また次世代の文化や科学技術の創造に寄与する研究の推進と、このような研究に寄与する人材の養成に取り組みます。またこのような世界水準の研究を支える基礎研究についても充実を図ります。

多様化

今後、本学ではますます多様な人たちが学ぶ“場”となっていきます。高等学校を卒業し本学に入学してきた学生だけでなく、社会人や主婦、高齢者など、様々なライフステージで活躍され、自らの知的興味を究めようとされている方々に対して、広く門戸を開けていきます。また、学生も多様な将来展望をもって本学で学ぶことになります。

このような多様な学習主体に対して、本学は多様な教育を展開していくことが必要であると考えます。
社会そのものが多様化していく中で、大学で取り組まれる研究についても多様性が求められます。

流動化

教学の高度化・多様化を図るためには、学外への発信や社会還元、学外から評価や支援を獲得していくという双方向の流動が必要不可欠です。例えば、教育の一環として、本学の学生を産業界(実社会)に派遣することにより、その経験を通じて、今自分が大学で学ぶ意味を再発見することができます。

大学は社会基盤のひとつです。社会の中でその存在価値が認められなければなりません。本学の教育・研究がさらなる発展を遂げるために、社会との交流が重要であることを常に認識して、大学改革に取り組んでいきます。

個性化

高度化・多様化・流動化といった改革方策を用いること自体が本学の個性を創りだします。また様々な改革によって実現する成果(例えば、本学で学んでいる学生、研究の成果、多様な方への学習機会の提供など)は、本学の個性の表れです。

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第4次長期計画において実現した事業

京都学舎のカリキュラム改革

本学は第2次長期計画のもとで、1988年に抜本的な教学改革をおこないました。この改革の基本的な理念をより発展させ、さらに設置基準の大綱化を受け1994年におこなった教学改革の成果を継承しつつ、21世紀を展望した新たな教育システムを構築するために、2001年にカリキュラム改革をおこないました。

このカリキュラム改革では、学部教育(学士教育)4年間一貫教育システムを実現させるために、系統的・体系的な教育課程を編成しようとするものです。その教育目標としては、全体的に基礎的な専門素養を身につけることに重点を置き、一点の専門的素養を身につけた教養人の養成を重視します。

本カリキュラム改革において、2001年度からの入学生を対象とした、外国語科目履修に対する大幅なシステム改革と共通コース「環境サイエンスコース」開設をおこないました。

瀬田学舎のカリキュラム改革

瀬田学舎では、京都学舎と同様の目標・基本的方向性にもとづき、2003年度からカリキュラム改革を実施しています。このカリキュラム改革では、とりわけ瀬田学舎3学部が人文・社会・自然科学系の学問を有しているという総合性をいかし、次のような人材養成をめざす教養教育の展開を図ります。

  • 主体的に変化に対応し、自らの将来の課題を探求し、その課題に対して幅広い視野から柔軟かつ総合的な判断を下すことのできる力(課題探求能力)の育成を重視する。
  • そのために、学問のすそ野を広げ、様々な角度から物事を見ることのできる能力や、自主的・総合的に考え、的確に判断できる能力、豊かな人間性を養い、自分の知識や人生を社会との関係で位置づけることのできる人材を育てる。
  • このような人材養成を促す教養教育を展開するにあたり、瀬田学舎の人文・社会・自然3つの学問分野にバランスよく科目を配置するとともに、瀬田学舎の知的資 源を活かすために、「情報」「福祉」「国際」「環境」を主なキーワードとして、現代のテーマ・問題・ニーズに対応した科目を配置し、これらの科目を系統的に履修できるカリキュラム体系を構築する。

理工学部「情報メディア学科」「環境ソリューション工学科」の開設

2003年4月、理工学部に新たな学科を2つ開設しました。

情報メディア学科は、従来からある数理情報学科・電子情報学科の充実を図るとともに、本学の理工系情報科学分野全体を発展させ、21世紀の情報化社会の発展に寄与する学術展開・人材育成に取り組むことを目的として開設したものです。

環境ソリューション工学科は、21世紀社会における最重要課題のひとつである環境問題について、環境工学と生態学の両面から、その解決を図ることについて学ぶ学科です。自然環境に恵まれた瀬田学舎で、琵琶湖や近隣の自然環境をフィールドにした教育・研究を展開します。

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社会学部コミュニティマネジメント学科の開設

2004年4月に社会学部に4つ目の学科として、コミュニティマネジメント学科を開設しました。

地域社会の再生・活性化は、重要かつ緊急を要する社会的課題です。こうした時代に求められるのは、地域社会を再生・活性化できる人、つまり地域社会を「コミュニティ化」できる人材です。コミュニティマネジメント学科は、このような地域社会を「コミュニティ化」するスペシャリストを育成していきます。

NPO・地方行政研究コースの開設(法学研究科・経済学研究科共同運営コース)

グローバル化と地域分権が進展する日本社会において、公共政策に携わる人材の高度専門化が求められています。NPO・地方行政研究コースは、地方自治体の行政職員やNPO等諸団体の職員をめざす者、また既に職についている者に対して、政策立案能力や問題解決能力といった高度専門的職業能力を養成するための大学院コースです。

このコースでは、半年から1年にわたる長期のインターンシップ制度の導入、現在地方自治体に勤務する方を対象とした1年制修了制度など、実務と公共政策に関する理論を架橋した教育を展開しています。

経営学研究科ビジネスコースの改革

経営学研究科は、1994年にビジネスコースを開設し、社会の第一線で働く人々に対して、自己を再点検し、自己の能力を再開発する機会を提供してきました。

2003年4月から、新たに京都産業学プログラムを設けてカリキュラムの充実を図るとともに、平日夜間や土・日の授業開講、就学に対する経済的支援の充実を図るなど社会人への学習機会を広げ、新たなビジネスコースとして展開しています。

国際文化学研究科博士課程の開設

1996年に開設した国際文化学部は本学で最も新しい学部です。グローバリゼーションの進展に対応し、グローバルに活躍する人材を養成する国際文化学部を母体として2002年、国際文化学研究科に博士後期課程を開設しました。
国際文化学研究科博士課程は、さらにグローバリゼーションを追求し、ますますその発展が期待される国際文化学の確立に寄与する研究者を養成しています。
また、国際文化学研究科博士課程開設により、本学はすべての大学院が博士課程までを有することになりました。

法科大学院:大学院法務研究科法務専攻の開設

本学は、大学院の充実・拡充を重要な政策と捉え、とくに修士課程においては専門職業人の養成を充実させていくことを目指しています。

その一環として、法曹を養成する専門職大学院である法科大学院「大学院法務研究科法務専攻」を2005年4月に開設しました。

本学の法科大学院は、「国民のための司法」をめざす司法改革の中で、建学の精神である「共生」の精神と法学部の理念を実現するため、「市民のために働く法律家」の養成に取り組んでいます。

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大学教育開発センターの開設

本学は教育の充実を最重要課題と位置づけています。カリキュラム改革など教育内容の改善に取り組むだけでなく、各学部単位、また個々の教員がFD(教育方法についての改善等)について積極的に取り組んできました。
このFD活動をサポートするとともに、様々な形で取り組まれてきたFD活動を普遍化し、全学に還元するための中枢機関として、2001年4月に大学教育開発センターを開設しました。

龍谷ボランティア・NPO活動センターの開設

本学の教員や学生は、様々なボランティア活動に取り組んでいます。このような個々に取り組まれてきたボランティア活動を集約するために2001年4月に龍谷ボランティア・NPO活動センターを開設しました。ボランティア活動は思いやりと責任感のある総合的で臨床的な人間の育成の場、ひとつの共生教育と捉 え、その中核的機能を果たしています。
学内におけるボランティア活動の拠点として、また学外との交流拠点として、様々な活動に取り組んでいます。

平安高等学校との教育連携の強化

本学は、本願寺派立関係の高等学校のうち、特に北陸高等学校、崇徳高等学校、平安高等学校との間で教育連携についての提携を結んでいます。

その中で、平安高等学校とは、高等学校と大学間の一貫教育のあり方を模索すべく、さらに教育連携の強化を図ることとなりました。「建学の精神を一にする教育機関として、一貫した理念に基づき人材育成を図る」「大学が求める基礎・素養となる科目を幅広く、かつバランス良く学ぶ環境を整える」「ゆとり学習を通じ多様な学習経験を生徒に提供する」など、大学と高等学校が密接に関わることにより、両校の理念に見合った人材の養成に取り組もうとするものです。
この趣旨に見合った教育を展開すべく、大学と高等学校が協力してカリキュラムを考えるなどの取り組みをしています。
このような取り組みをもとにして、平安高等学校では2003年4月、新たに「プログレスコース」が開設されました。

人間・科学・宗教総合研究センターの開設

人間・科学・宗教総合研究センターは、第4次長期計画がめざす世界水準の研究を推進するための拠点として、2001年9月に開設しました。

本学は、従来までの研究実績をもとに、多様な学術研究の視点から、その領域を横断・融合する選択的な研究分野を創生し、この活動や成果を世界に発信していきます。本センターは、学外資源や評価にもとづいて展開されるこのような研究活動の母体となるものです。

現在、このセンターでは「古典籍デジタルアーカイブ研究センター」「矯正・保護研究センター」「人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センター」が先端的な研究活動を行っています。

第2期 ハイテク・リサーチ・センターの設置

国が私立大学ハイテクリサーチセンター整備事業として助成を開始した1996年、本学もこの事業について採択され、次のような研究を行う第1期ハイテク・リサーチ・センターを設置いたしました。

  • 超高温瞬間発熱反応法による新無機材料の研究開発
  • 複合情報メディア環境下での仮想実空間の研究

この第1期ハイテク・リサーチ・センターにおける研究成果については、高い評価を得て、その事業期間を終了いたしました。そして新たに第2期の事業に採択され、2000年度から次のような最先端の科学技術研究に取り組んでいます。

  • グリーンプロセスおよびグリーンマテリアルの研究
  • 言語的情報および非言語的情報を統合した、マルチモーダルコミュニケーションにもとづくエージェントシステムの開発

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古典籍デジタルアーカイブ研究センターの設置(学術フロンティア推進拠点)

古典籍デジタルアーカイブ研究センターは、国の学術フロンティア整備拠点助成事業として2001年に設置しました。
365年の歴史を有する本学は、古典籍・西域文物、国文・国史史料、大谷探検隊将来品など歴史的・文化的資産を有しています。このような貴重資料をデジタル処理にて、整理・分類した上、インターネットなどで公開するなど、文理を融合した研究を展開しています。「歴史・伝統」と「最先端の情報化技術」という本学の特色を融合し、世界に発信しようとするセンターです。

  • 原点情報からデジタル情報への変換方式の研究
  • デジタル情報についてのネットワークを経由した同期方式の検討による次世代デジタルライブラリのパイロットシステムの構築研究
  • 古文書学・図書館学・情報学に加え科学分析を行う研究

矯正・保護研究センターの設置(学術フロンティア推進拠点)

本学は、1977年に「矯正・保護課程」を開講し、130名を超える卒業生を矯正保護分野の専門職として輩出するとともに、研究面においても機関誌「矯正講座」全22巻を公刊し、国内外の刑事政策関係者から注目を集めてきました。

このような実績をもとに、さらに研究活動を一層発展されるために、学術フロンティア推進事業の補助を受け、2002年度に矯正・保護研究センターを開設しました。

人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センターの設置(オープン・リサーチ・センター整備事業)

2002年度に開設した人間・科学・宗教オープンリサーチセンターは、本学創設以来の仏教研究の蓄積を活かし、人間・科学・宗教の総合的研究を全学的な体制で取り組むために、文部科学省オープン・リサーチ・センター整備事業の補助を受けて、推進するものです。

本センターは、仏教生命観にもとづく人間科学の総合研究プロジェクトとして、国内外の有力な研究者を集め、次の4つのリサーチユニットを編成し、安らぎ、生命倫理、福祉、環境、国際平和、共生といった今日的課題に対して、グローバルに発信していくことを目的としています。

地域人材・公共政策開発システム・オープン・リサーチ・センターの設置(オープン・リサーチ・センター整備事業)

地域人材・公共政策開発システム・オープン・リサーチ・センターは、2003年度の文部科学省のオープン・リサーチ・センター整備事業に採択された、各国の研究者、自治体関係者、NPO、および認証機関等幅広い分野の人材が協力して実施する、国際共同研究プロジェクトのための研究組織です。

龍谷大学では、これまで自治体やNPO・NGOとのさまざまな協力・協働関係を通じて国際的な視野のもとに地域社会の人材育成や公共政策の策定および国際地域開発などに積極的に貢献してきました。その経験と蓄積をいかし、国際的な共同研究と地域社会における実践を有機的に結合した研究体制のもとで、理論的研究と並行して人材開発システム制度に関する国際的比較と実態分析およびそれにもとづく日本の人材開発システムの制度設計に関する提言をおこない、さらに それらの成果をアジアにおける参加型開発において実践・検証するなどの活動を進めます。

里山学・地域共生オープン・リサーチ・センターの設置(オープン・リサーチ・センター整備事業)

2004年度に開設した里山学・地域共生オープン・リサーチ・センターは、2004年度文部科学省オープン・リサーチ・センター整備事業に採択されました。
本センターは、里山での生物多様性の維持機構、里山と人間との関わりの歴史、現代社会での里山の位置づけなどについて総合的な調査研究を行い、その成果を、里山に関する総合学である「里山学」に結実させること、また、里山を軸とした地域社会の共生モデルを提案し、「里山学・地域共生学」を構築することを 目指しています。

アフラシア平和開発研究センター(学術フロンティア推進拠点)

アフラシア平和開発研究センターは、現在のアジア・アフリカにおける発展・貧困・武力紛争といった地域格差・問題を有している中で、その関係と紛争解決を図るために、経済学・政治学・国際関係論・地域研究といった総合的な研究・対応を展開していくことを目指しています。本研究センターは「宗教文化研究の伝統」「参加型研究・民際学の実績」「南西アジア-アフリカ地域研究の実績」「日本における「異文化」理解の新しい視点」「特色ある国内外の研究機関とのネットワーク」といった特色・意義を有するものであり、2005年度学術フロンティア推進拠点に採択されています。

REC京都の開設

本学のエクステンション(普及)活動は、CI(コミュニティ・アイデンティティ=地域をどう認識するか)にもとづき、地域の人材や資源を積極的に大学に取り込み、これを本学の教育・研究に還元しつつ、さらにその成果を改めて地域に還元する「双方向の産官公連携」をおこなっています。このような活動をさらに充実発展させるために、REC開設10年目を迎えた2001年、従来まで瀬田学舎で展開してきたRECに加え、京都にもRECを開設しました。REC京都とREC滋賀の二拠点体制によるエクステンション活動をおこなうことになったわけです。

REC京都は、深草学舎・大宮学舎がある京都、さらに近隣地域における産官公連携の強化を図るとともに、深草学舎の社会科学系学部の資源を活用したエクステンション活動を展開し、地域産業や地域商業の活性化を図り、地域の発展に貢献することを特色としています。

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