●経営学部●

さらなる教学改革をめざし「会計学」のパイロット授業を実施
 平成13年度から、新しいカリキュラムがスタートするが、今回の教学改革では、経営学部生として確実に身につけるべき5つの「最低到達目標」を学生に明示している。そのひとつに、基本的な財務諸表をよみ、会社の概要を説明できる能力の修得をあげている。

 そのためには、これまで以上に学習効果を高めて、確実な基礎づくりのできる会計学入門の新しい授業方法を模索する必要がある。6月下旬から3回にわたって、そのパイロット授業を実施した。

 試みたのは、従来の壇上から聞かせる一方通行の授業ではなく、いわば「インタラクティブな授業」。教員があらかじめ用意したプリントの問題の解法を学生がテキスト、参考書から探し出し、複数のプリントを解いて基礎から応用へのステップアップをめざした。教員は質問に応じることに徹底し、また、一定以上の能力をもつ上級生のラーニング・アシスタントも教室に配置する形態。

 今後の検討課題として、クラスの定員を少なくして、ラーニング・アシスタントの比率を高めたり、学生一人に1台ずつパソコンを割り当てた状態で教育用ソフトを利用した授業を行なうなど、きめ細かな指導が必要なことや、到達度別クラス編成を考慮することなどが判明した。担当した加藤正浩助教授は「学生は従来よりも、積極的に授業に参加し、当初予測していたよりも質問も多く、質問内容も的確なもので、よい手ごたえを感じた」という。
 
●法学部●

市民のために働く法律家を養成する法科大学院構想を打ち出す
 現在、内閣直属の司法制度改革審議会で、将来の日本の司法制度のありかたが審議されているが、そのひとつのテーマとして、法科大学院(ロースクール)の設置がとりあげられている。

 法科大学院とは、将来の法律家(裁判官、検察官、弁護士など)を養成するための教育を、そのための専門の大学院で行なうというものであり、司法制度改革審議会はその設置について合意するに至っている。

 これまでの司法試験は、学歴を問わずすべての人に開かれているという長所がある一方で、その準備のために大学の授業よりも予備校に通うのが一般的であるため、将来の法律家のためにふさわしい教育は必ずしも保障されてこなかった。このような状況への反省が、法科大学院設置のひとつの大きな理由となっている。

 本学でも、法学部と大学院法学研究科のもとに委員会を組織し、将来の法律家を育てるのにふさわしい教育内容の検討を行なっている。去る7月8日には、その中間的な成果として、シンポジウム「法へのアクセス―市民が育てる明日の法律家」を開催し、本学の法科大学院構想を内外に示した。そこでのキーワードは、市民のために働く法律家の養成であり、この構想の具体化に向け、さらに検討を重ねている。

(写真・7月8日に生まれたシンポジウムの様子)
 
●理工学部●

学生大活躍!ソーラーカーレースに初チャレンジ!
快走を見せる。

スターリング・テクノラリーでは2年連続クラス優勝

 10月14、15日の両日、神戸フルーツ・フラワーパークで行なわれた「2000朝日ソーラーカーラリーIN神戸」に理工学部の学生が製作したソーラーカーが初挑戦、健闘を見せた。このソーラーカーは機械システム工学科・熱流体研究室の中西重康教授と塩見洋一講師が指導する卒業研究の一環として製作されたもので、同研究室4年の高田将之さんと澤 憲正さんが、3月から、ボディ、部品の設計・製作や配線などもすべて手作りした。「龍龍(ロンロン)1号」と名付けられた流線型の車体には、龍谷大学のマスコットキャラクター「龍龍」の絵と「Ryukoku Univ.」のロゴが貼られ、会場で一際目立っていた。

 レースは「最高速アタック」「ジムカーナ」「周回ラリー」の3種目を、参加者や発電量によるクラスに分かれて争うもので、2日目のジムカーナ1回目では途中で止まってしまうアクシデント(その後、電気配線の不良と判明)に見舞われたが、応急処置をして2回目を果敢に攻めてクリア。1周を規定時間で周らなければならない周回ラリーでは、絶えず携帯電話でドライバーと連絡を取りながら10周のラリーを完走することができた。

 その結果、総合ポイントで、クラス34台中15位、参加総数72台中33位という成績。車体設計の照準をワンランク上の「ソーラーカーレース鈴鹿」に合わせたため、小回りが要求されるこのレースには不向きだったが、初参加ということを考慮すればまずまずの成績だ。

 次は、「龍龍2号」として改良を加え、来年8月開催される鈴鹿での大会で入賞を目指す。

 また、11月11、12日に埼玉県朝霞市で開かれた第4回スターリングテクノラリーで、ソーラーカーでも活躍した高田将之さんがスピード賞ノーマルサイズクラス・一般の部(42台出場)で2年連続優勝という快挙を成し遂げた。

 なお、コースが昨年より101のびたにもかかわらず、逆に1秒38もタイムを縮める好結果だった。(スターリングテクノラリーについては「龍谷第44号 RYUKOKU VIEW」参照)

 昨年の優勝に甘んじることなく改良を重ね、今回に挑んだという高田さん。根っからの車好きで、卒業後の就職先は自動車メーカーの関連会社に内定している。

(写真中央・高田さん。ソーラーカーのホームページはhttp://solarcar.mecsys.ryukoku.ac.jp
 
●社会学部●

文部省のインターンシップに参加、国家公務員の仕事の一端に触れる
地域福祉学科3年の大平奈央子さん

 インターンシップ(学生による企業等での就業体験)プログラムが、様々な分野に広がりを見せる中、今夏、地域福祉学科3年生の大平奈央子さんが、文部省で″国家公務員体験をしてきた。

 このプログラムは7月末から1週間、東京で行なわれる、(1)全国の寮母が集まり、現状や先進的な取り組みを報告する講習会、(2)21世紀の日本の特殊教育のあり方を検討する会議、(3)障害者の入所型生活施設の訪問、この4つに参加し、報告書を作成するというもので、大平さんは文部省のホームページで募集を知り、「公務員の国と地方の関係を実感したい」と参加申し込みをしたという。

 その結果、「国家公務員の多忙さに驚きつつも、幅広い視野で物事を捉え、情熱を持って仕事に取組んでいる姿に感銘をうけました。また、実習生間のネットワークもでき、大変楽しかったです」と得たものは大きかったようだ。

 学生時代の社会体験や社会参画の意義がクローズアップされる中、本学社会学部でもインターンシッププログラムを視野に入れた新学科を検討している。

(写真・報告書作成の指導を受ける大平さん。)
 
●国際文化学部●

ジョージア大学が、来年6月、瀬田キャンパスで
正規授業の「夏期海外学習プログラム」を開催

 龍谷大学は、国際文化学部が中心となって、アメリカのジョージア大学の夏期学習プログラムに協力することになった。

 ジョージア大学は、ジョージア州アテネに本部を置くアメリカでも建国期に設立されたもっとも古い大学の一つで、3万人の学生を擁している。勉学だけでなくスポーツも盛んで名選手を輩出している。

 このプログラムは、ジョージア大学の教員が、ジョージア大学の学生25〜40名とともに夏期休暇中に他国の大学キャンパスを訪れ、そこで正規授業を行ないつつ学生の国際的な視野と見聞を広めさせるプログラムである。

 実施期間は、2001年6月から約4週間で、国際ビジネス、国際貿易法、極東政策、現代グローバル問題、ジェンダー社会学の授業が正規の授業として行なわれる。ジョージア大学では、龍谷大学学生の授業への参加を認め、単位取得も考慮するとしている。プログラム終了後、中国もしくは韓国へ文化旅行を行なう予定であるが、これにも龍谷大学学生の参加を期待しているという。来年の6月は瀬田キャンパスがアメリカ人学生で一層国際的な雰囲気を醸すことだろう。

(写真・ジョージア大学のキャンパス風景)
 
●短期大学部●

短期大学部創設50周年
記念講演やシンポジウムを実施

 日本に149校の短期大学が誕生した1950(昭和25)年、そのうちの一校として龍谷大学短期大学部仏教学科(昭和28年に現在の仏教科へと名称変更)が発足した。それから12年後の1962(昭和37)年に社会福祉科が増設され現在に至っている。本学短期大学部の創設50周年を記念して、11月8日(水)、式典や様々な集いが深草学舎で行なわれた。

 まず、午前10時半から「社会福祉科卒業生の集い」が4号館地下食堂で開かれ、38年間の卒業生約3千400名のうち35名がこれに出席した。

 午後1時からは顕真館において記念式典と記念講演会(本学OBで浄土宗宗務総長の水谷幸正佛教大学名誉教授による「生と死―『法句経』第182偈より―」)が開催され、引き続いて3時より3号館で開かれた記念シンポジウム「豊かな臨終と仏教・福祉の役割」には、今日的テーマに200余名の参加者が集まり、大きな反響を呼んだ。

 午後6時から4号館地下食堂で祝賀会が催され最後を締めくくった。

 なお、短期大学部では記念事業の一環として、『龍谷大学短期大学部五〇年史』と仏教科9人の教員の講義録『仏教「いのち」と「こころ」』を刊行したが、さらに今年度末には記念論文集の出版も予定している。

(写真・シンポジウム風景。左から、大阪大学教授の柏木哲夫さん、医師で完成期医療福祉研究所代表の河野博臣さん、飯田女子短大教授の田宮仁さん、コメンテーターが鍋島直樹本学法学部助教授、コーディネーターが加藤博史本学短期大学部教授。)
 
●文学部●

宇治市観音山古墳を発掘調査
京都府南部で最大級の円墳と判明

岡崎晋明教授と学生たち

 岡崎晋明(くにあき)教授と1年生から大学院生までの33人の学生が、この夏、宇治市莵道にある観音山古墳の発掘調査を行ない、その結果、京都府南部の山城地域で最大級の円墳とわかり、話題となった。

 観音山古墳は、宇治市三室戸寺の裏山、標高約168メートルの山頂部にあり、存在自体はすでに知られていたが、これまで調査をしておらず、正確な規模や築造年代は分かっていなかった。

 3月からの測量調査で直径が45メートル程度の大型円墳とみられていたが、調査の結果、直径50メートルと判明。一方、築造年代を判定する土器や埴輪などは出土しなかったが、岡崎教授は、「周囲の古墳分布や、石室構造などからみて、古墳時代前期に築造されたとみられる。被葬者は、宇治地域を最初に支配した権力者で、山城のなかでも大きな力をもっていた」としている。

 墳頂部には、板石が散乱しており、被葬者を埋葬した竪穴石室の存在が予想されている。この石室の石材を科学的に分析したところ、奈良と大阪の境にある二上山の安山岩で、大和川の流域から採取して、運んでいたことも判った。また、墳丘上石(葺石)は宇治川の支流から取ってきたものであった。

 スコップや竹べらで発掘に参加した学生はこれから調査報告書を作成する作業に取りかかる。

(写真・岡崎教授(前列左)と学生たち。宇治市観音山古墳で。)
 
●経済学部●

「全員一丸となって乗り切ろう」
学部長に就任 岡地勝二教授

 岡地勝二教授が10月1日付けで学部長に就任した。任期は2002年3月末まで。

 専攻は国際経済学で主な研究テーマは「国際資本移動に関する問題」「国際収支調整問題」「外国為替相場の変動要因について」「カナダにおける日本企業の経済活動について」など。

 アメリカでの学生生活が長い。ロータリークラブの交換留学生としてジョージア大学に留学したのを皮切りに、ジョージア大学大学院、フロリダ州立大学大学院博士課程を修了した。

 アメリカの大学では「教育と経済」といった分野を専攻にしたこともあり、近年ではこの問題にも意欲的に取り組み、新聞や雑誌に大学教育に関するコメントを寄せている。

 1989年の着任以来、ゼミ旅行でたびたび海外へ出かけたり、自宅で学生達とバーベキューパーティーを開いたりと、学生との接点を大切にしていて、また将来や勉強のことなど親身に相談に乗る姿勢が学生からの信頼を得ている。

 しかし、大学を取り巻く環境は厳しい。大学運営にあたる執行部の一員として、「少子化現象によって大学は冬の時代に突入した。龍谷大学とて例外ではなく、このままでいけば龍大も『ただの一大学』になってしまう。さらにバブルがはじけ経済全体が最悪の状態にあるとき経済学部への志願者は減少する傾向にある。これをいまなんとかくい止めないと大変なことになる」と、危機感を訴え、経済学部再興に向けてなんとか新機軸を打ち立てようと奮闘している。

 また、「いま我々に必要なことは、よい教育をしようと、全員一丸となることだ!」と熱く呼びかける。