学部ニュース
 
法学部
 鳴き砂で有名な京都府網野町で、砂浜を守るための環境保全条例づくりをテーマに、龍谷大学法学部、京都弁護士会、網野町の共催で、シンポジウムが開かれた。

 法学部は地域連携の発展を学部将来計画の柱のひとつに位置づけており、今回の条例づくりへの協力とシンポジウムの開催もその一環として取り組んだ。また、京都弁護士会とは協定を結び、学生のインターンシップ・プログラムなど様々な協力共同事業を実施しており、網野町の環境保全条例づくりも京都弁護士会との共同事業の一つとして進められている。

 この日、町長の挨拶の後、ダイバーとして、テレビ番組の水中リポートなどで活躍している須賀潮美さんが、地元の海を知って愛することの大切さについて講演し、琴引浜の鳴り砂を守る会会長の松尾省二さんからは、丹後の海の現状が報告された。

 続いて、京都弁護士会の寺田武彦弁護士を司会に、法学部から廣原盛明教授、弁護士会から藤田正樹弁護士、網野町から守山倫明環境保護対策審議会会長、そして須賀潮美さんをパネラーとして、ディスカッションが行なわれた。

 地元からは汚染に弱い鳴き砂を守る仕組みを作る必要性が訴えられた。藤田弁護士からは、重油流出事故の際のボランティアの活躍を忘れないで、多くの人々と協働して鳴き砂を守る活動が進められるような仕組みを条例案に盛り込もうと考えていることが報告された。廣原教授は地元と観光者が参加した実感のもてるような協働型保全プログラムづくり、浜を荒らすことが恥ずかしくなるような美しい風格のあるまちづくりなど、これからの課題を提起した。
 自治体が大学と弁護士会とのパートナーシップによって案づくりを進めるのも、公衆の意見を活用するためにシンポを開くというのも異例のことである。環境保全条例制定のモデルケースとして、これから全国の注目を集めることになろう。

(写真・「きれいな海とまちづくりシンポジウム」と題し、1月14日網野町のアミティ丹後で開かれた。
 
理工学部
 2003年より、高等学校に新たに「情報」という教科が開設されることとなった。これを受けて、数理情報学科と電子情報学科では、情報の教員免許が取得できる課程の設置申請書を文部省(現文部科学省)に提出し、昨年12月21日付けで正式認定され、2001年度より、「情報」の教職課程を新設する。

 この課程では、コンピュータおよび情報処理に関する基本的な知識・技能はもとより、情報ネットワークの構築や運用管理・活用、マルチメディアを活用した表現・処理に関する知識・技能等を修得する。

 この新教科「情報」の教員資格は、これまで取得可能であった「数学」(数理情報学科)や「工業」(電子情報学科)と併せて取得できる。

(写真・数理情報学科の授業風景)
 
社会学部
 ここ数年、社会調査に関わる資格制度を設ける大学が増えつつある。こうした流れの中で、社会学科では、2000年度より「社会調査士課程」を立ち上げた。

 「社会調査士」の資格は、「社会調査の立案・計画・実施・分析にまで至る総合的な力を習得し、官庁や企業において社会調査活動を担うことができ、その調査結果をふまえて政策や戦略を打ち出す能力を有する人材であると本学において認定された者」に与えられる。具体的にはこの課程の所定のカリキュラムを修得し、その集大成としての社会調査実習をやり遂げることができた者にこの資格が認定される。

 体力も労力もそれ相応に要求される実習だが、頭と体を使って体験してこそ、社会調査とはいかなるものなのかが分かり、本当に役に立つ調査を行なえる人材になりうるはずだ。

 2004年には、本学認定社会調査士の第1期生が巣立ってゆくことになる。

(写真・「社会調査実習での調査風景」)
 
国際文化学部
 国際文化学部は、1996年に開設し、この4月で6年目を迎えようとしている。

 学部開設時には資格取得の課程は、本願寺教師資格取得のための課程しかなかったが、各種資格取得に向けた課程設置に対して、受験生はもとより在学生や教員からも要望が非常に多く、魅力ある学部づくりとしてその可能性を探ってきた。2001年度から英語科の教員免許(中学、高校1種免許)が取得できる教職課程と学芸員の資格を取得できる博物館学課程を開設することとなった。

 国際文化学部の教員構成、カリキュラム内容等からもこの二つの課程への対応は十分可能であり、また、瀬田キャンパスは琵琶湖文化ゾーン内に位置しており、キャンパスに隣接して滋賀県立近代美術館、滋賀県埋蔵文化財センターがあり、立地条件を最大限活かした博物館学の展開が期待できる。

(写真・国際文化学部棟の瀬田キャンパス3号館で。)
 
短期大学部
 社会福祉科では、社会福祉の新しい考え方や動向を反映し、また学生の多様なニーズにも応えるために、毎年カリキュラムの見直しを行なってその充実に努めている。

 1998年度から、「音楽療法」の授業を開講し、2000年度からは更に新しい取り組みとして「園芸療法」と「アニマルセラピー」を開講している。これは「社会福祉学特殊講義2」の授業で、前期は林典生講師による「園芸療法の理論と実践」、後期は渥美公秀講師による「動物介在療法」を開講した。このような音楽や園芸、動物を臨床場面に応用する療法についての授業は、全国の大学でもまだ少ない。

 音楽好きや動物好きの若者は多く、また短期大学部の学生には実践的授業が好まれる傾向もあって、これらの新しい授業に対する学生の関心は高く、反応は上々のようである。

(写真・「動物介在療法」は、ドッグセラピーの事例を紹介し、人と動物の関係を広い視点から考察して授業を進めていく。 写真提供:日本レスキュー協会)
 
文学部
 このほど、「教壇で活躍する龍谷大学京都学舎卒業生の会」、愛称「教龍会」のホームページが開設された。

 ホームページは3部構成で、最初は「教龍会からのお知らせ」。会員への連絡事項が掲載されている。

 次が「採用試験や募集の情報」のページ。私学を中心とした求人情報が載せられている。教員を目指している卒業生にとっても求職情報として活用できるだろう。

 最後が「みんなで交流する掲示板」のページ。書き込み式で、意見交流の場となっている。現在は、職場の状況や教員としての在り方についての意見交流が中心だが、同ページの管理人である大宮教職課程教室の小寺慶昭助教授は、「現在、教育についての批判は多いが、その中で現場の先生方との対話が欠如しているのが問題だ。若い先生同士の交流と共に、広く教育に関心をもつ卒業生たちが教育について対話していける場としたい」と、今後の抱負を語っている。

 なお、ホームページのアドレスは
http://www.let.ryukoku.ac.jp/~kotera/index.html
 
経済学部
 「地方自治論」が1996年度から開講されている。これは、京都府庁の幹部職員が講師となり、実務を行なう担当部署の視点で、地方行政制度全般とその概略に触れ、地方自治における最先端の動きについて具体例を挙げながら講義を進めるもので、今年度の講義の総括として、1月11日に亀岡市長・田中英夫氏を、18日に北桑田郡美山町助役・小馬勝美氏をそれぞれ招き、特別講演会を開催した。

 テーマは、「まちづくり」についての取り組みや、地場産業興隆をはかるための事業展開や計画などについて。田中亀岡市長からは、目下将来都市像として掲げている「聖なる水と緑の奏でる知恵の郷」のスローガンのもと推進している第3次亀岡市総合計画の話題を、小馬助役からは、「自然と共生するまちづくりをめざして ―ほんとうの都市農村交流のあり方―」と題して、町の96 が山林で覆われ、茅葺き民家が数多く残る美山町の特徴に触れながら、町の特産品である牛乳、卵、山菜佃煮や木工工芸品などを紹介し、受講者にプレゼントする企画も盛り込みながら講演が進められた。

 「地方自治論」は、2001年度も開講予定で、将来、公務員を志望する学生をはじめ、地方行財政に関わる分野で学習を進めている学生にお薦めしたい。

(写真・熱く語る田中英夫亀岡市長)
 
経営学部
 私は経営におけるコンピュータの活用を目指した経営情報処理を専門領域としています。経営学部では、経営情報処理入門や、プログラミング、情報処理実習など情報処理関係の分野を担当してきました。

 近年、誰もが基本的に修得していなければならないと考えられるようになった分野の科目です。

この状況は、私が龍谷大学に着任した時代からは、想像もできないくらい大きく変わっています。

 このことにも見られますように、いま大学教育は大きな転換点にさしかかっています。そのため、経営学部では数年来、カリキュラムについて検討を重ねてきました。それを2001年度から実施に移します。新カリキュラムの考え方を簡潔に表すなら、「社会人として、企業人として基本的な素養を、確実に身につける」というものです。この精神の具体的実現に向け、経営学部のスタッフ全員で、力を合わせて進めていきたいと思っています。