理工学部
 1996年度より5年間、文部省ハイテク・リサーチ・センター(HRC)整備対象事業として、理工学研究科の教員や院生が中心になって、「新素材開発」、「情報科学」の2分野で最先端研究を実施した。学問的な研究成果はもとより新産業創出にも関わる大きな社会的成果を生み出したと高い評価を受け、予定通り2000年度をもって終了した。

 さらに、これらの研究成果ならびに研究環境を基盤に、「地球環境に優しい新素材分野の研究」「次世代IT技術の基盤としてのマルチメディア分野の研究」の2つの最先端研究プロジェクトを設定。2001年4月4日に文部科学省よりハイテク・リサーチ・センター事業として正式に選定され、第2期HRC研究プロジェクトがスタートした。

 これら2つの新しいプロジェクトは、21世紀の社会基盤の構築にも深く関わるものであり、単に学問的成果のみでなく、新産業創出に向けての産官学共同研究にも積極的に取り組むものとして期待は大きい。

(写真・ハイテク・リサーチ・センター棟
 
社会学部
 龍谷大学社会学部学会では、今年度から学生・院生が主体的に参画する事業を展開している。

 7月4日には、伊藤公雄大阪大学教授を講師に迎え、ジェンダーをテーマとした講演会を開いた。学生たちは事前に重ねた勉強会の成果をもとに、〈男らしさとは何か〉の観点からジェンダー問題にアプローチする伊藤教授に果敢な議論を挑んだ。

 また、秋の学園祭の時期に、一般の人も参加できるシンポジウムを企画している。テーマは、「ビートルズ現象―ビートルズとは何であったか、また何であるのか」。アンソロジーやベスト盤が発売され、若い世代に新たにファンを増やしているビートルズ。彼らの登場は何を意味したのか。また、現代の人々にとってビートルズの魅力とは何なのか。音楽、社会現象、若者文化、ファッション、詞のメッセージ性―さまざまな角度からビートルズを再考する。

 日程やシンポジストが決まり次第、社会学部のホームページで告知される予定。

 一方、こうした事業活動と連携して、新たにジャーナルを刊行する準備も進めている。

 社会学部学会では、今後も、学生が主体的に関われる組織づくりを目指している。
 http://www.soc.ryukoku.ac.jp/

(写真・講演する伊藤公雄大阪大学教授)
 
国際文化学部
 ジョージア大学は夏期休暇中に教員が学生を引率して海外で正規の授業を行なう夏期海外学習プログラムを4年前から実施している。過去3年は、イタリアのベローナで行なってきたが、今回、アジアで初めて、それも龍谷大学の瀬田キャンパスで開かれることになった。

 これは、龍谷大学の学風と伝統、国際文化学部の協力、また、瀬田キャンパスが古都京都に隣接していることなどが決め手となったもの。

 ジョージア大学は、ジョージア州アトランタからおよそ100キロ北東のアセンスに本部をおく、アメリカでも建国期に設立された最も古い大学の一つ。日本からの留学生も多く、本学の岡地勝二経済学部長は同大学の卒業生であり、PGAツアーで頭角をあらわしそうな今田選手は同大学が全米大学ゴルフ選手権で優勝したときの主将であった。

 今回のプログラムの期間は6月14日から7月5日で、パーク教授(北東アジアの安全保障問題)、ショエンバウム教授(国際貿易法)、キム博士(ジェンダー論)が7名のジョージア大学の学生に毎朝9時30分から12時30分までみっちりと授業を行なった。また空き時間には瀬田、大津、京都の観光、坂本の湯葉工場の見学、広島、神戸への旅行等が行なわれた。

 6月18日にはウエルカムパーティーが行なわれた。また、7月4日には、今年度の国際文化学部留学生のウエルカムパーティーと合同する形で、フェアウエルパーティーが開かれた。この会には、サマープログラムで、10年前から毎年、本学に来ているカリフォルニア大学デービス校の学生も加わって瀬田キャンパスの国際化を印象づけるものとなった。

(写真・瀬田キャンパスでのウェルカムパーティーで。)
 
短期大学部
 国家資格の保育士・介護福祉士・社会福祉士を取得するための必修科目、「社会福祉援助技術現場実習1」は、短大で行なわれる多くの実習科目の事前研修の意味合いで開講されていて、視聴覚機材を使った介護技術の学習や、介護の疑似体験、各種の施設見学、福祉現場での体験活動とその経験の交流、などを実施している。この6月に行なわれた、介護の疑似体験では、車いすなどの福祉用具の体験、視覚障害者の手引き体験、食事介助の体験の3グループに分かれ、それぞれ介護者と被介護者の両方を体験実習した。

 学生にとっては、この科目を踏まえて、2年生時に施設へ実習にいくと現実の壁にとまどうことも少なくなる。また、より具体的で、実践的に学ぶことで、主体的に学ぶ姿勢を持たせることができるようになる。

(写真・先生からの説明に熱心に耳を傾ける学生達)
 
文学部
 文学部9学科専攻の教員19名が、それぞれの専門分野で執筆したミニ講義集『分けると、分かる』(ライブラリー版・136ページ)を刊行した。

 これは、「大学でどのような授業が行なわれているのか」、「文学部ではどのようなことが学べるのか」という、特に高校生からの関心に応えようと企画されたもので、「『源氏物語』からの問い」「森と共生する縄文人の知恵」「ミクロとマクロの宇宙」などのタイトルで、文学、哲学、歴史、宗教のそれぞれの専門分野をわかりやすく紹介している。

 3千500部を印刷。高校を中心に順次配布予定だが、5月末に新聞で紹介されて一般の人たちの手に渡っており、「講義のおもしろさを伝えようとする教員の熱意があふれた好著」「短編小説集を読むような喜びがある」と、好評。

 ミニ講義集編集会委員長の中川法城文学部教授は、「自分の興味の中心を明確にして、それがどの学部、どの学科・専攻の学修内容と一致するのかをよく確認した上で、進むべき方向をきめてもらいたい」と、講義集の発刊が、受験生の進路選択の一助となるように期待している。


(写真・このミニ講義集を抽選で30名様にプレゼント!! ハガキに住所、氏名、電話番号、職業を書き、〒600-8268京都市下京区七条大宮 龍谷大学文学部教務課『分けると、分かる』プレゼント係まで。8月30日締切(必着)。)
 
経済学部
 今年から開講の「京都企業研究」(前期開講9回授業)は、地元に目を向け、起業家精神や現場のエネルギーを学生に感じて欲しいと、京都御室(社名の由来はここから)で創業した世界的な企業「オムロン」を取り上げ、企業実務者を講師に呼んでチェーンレクチャーの授業を行なっている。

 その中で2度の工場見学を実施。5月30日には草津事業所、6月27日には身障者を受け入れている京都市にあるオムロン京都太陽を訪問。授業で学んだことを自らの目で確かめた。

 それぞれの工場でATMや自動改札機の製造過程を見学。学生達は、「日常利用しているキャッシュディスペンサー等の機器が、意外にアナログな環境で造られている」、「多種少量生産なので、いろいろな要求に応えられる。また、在庫をつくらないので不必要に広い工場は要らないことがわかった」、「たくさんの女性が働いていて驚いた」、「リサイクルや省エネに積極的に取り組んでいる」等、様々な感想を寄せた。

また、草津事業所では、NHKのテレビ番組「プロジェクトX」(6/26放送)で、オムロン(当時は立石電気)が開発した世界初の自動改札機誕生秘話が取り上げられるため、スタジオへ運ばれる予定の「自動改札機」を目にするなどホットな経験もした。

 この特別講義は企業の生の声が聞け、姿が見えるとあって学生の注目を集めている。

(写真・説明を受けながら熱心にメモをとる。(オムロン草津事業所で))
 
経営学部
 経営学部ではゼミ教育の活性化に力を入れている。6月2日(土)の午後、京都駅前の「キャンパスプラザ京都」を会場に川端基夫教授のゼミナール研究発表会が開催された。

 これは、昨年の12月から2年生(現3年生)のゼミ生24名が取り組んできた個人研究論文が5月に完成したのを受けて、その中から学生達自身による採点で優秀論文4本を選び、そのプレゼンテーションを行なったもの。この論文は、卒業研究に向けての重要なステップとなるものだが、そのまま卒論になるほどの力作も少なくなかった。テーマは「ウォルマートの戦略分析」(北村智志さん)「ジャスコとイトーヨーカ堂の比較分析」(川那辺郁恵さん)「ユニクロの競争優位性の研究」(福平真人さん)「映画産業の広告戦略」(三浦正剛さん)といった現代的なものばかり。発表会には、新しく川端ゼミに入ることが決まった2年生20名も加わり、40名を越えるゼミ生達が、最新の設備を備えた会場で熱のこもった議論を行なった。発表会後は新ゼミ生(2年生)歓迎会が行なわれ、打ち解けた雰囲気の中で学年を越えた交流が深められた。

 なお、今回提出された24本の論文は、ゼミ論集『国際流通研究(3回生論文特集)』として刊行された。

(写真・発表を熱心に聞く学生達。(キャンパスプラザ京都で))
 
法学部
 法学部では、2004年4月の開設を目標に、ロースクール(法科大学院)の設立準備をしている。

 その教授法の可能性について考えるため、5月14日にロースクールでの教育実績のあるアメリカから、マイロン・モスコビッツ ゴールデンゲート大教授を講師として招聘、模擬授業を行なった。それは、新しい法学教育手法として注目されているプロブレムメソッド方式と呼ばれるもので、実際に起こった問題を題材に、学生が弁護士の役割を担い、問題の解決方法を探る実践的な教育手法である。

 模擬授業に先立っての講演会で、モスコビッツ教授は、アメリカのロースクールでの授業の進め方について触れ、「法曹を養成するための教育は知識偏重の授業ではなく実践を重視したものでなければならない」と強調した。

 授業後の質疑応答では、実務家が授業を行なう際のあり方等について、本学教職員、弁護士、他大学教員、学生の多数の参加を得て、活発な意見交換が行なわれた。

(写真・模擬授業をするゴールデンゲート大・ロースクールのマイロン・モスコビッツ教授)