RYUKOKUVIEW龍谷大学古典籍デジタルアーカイブ研究センター「瑞光館」が瀬田学舎に竣工
本学所蔵の貴重資料などの学際的、先端的研究がすすむ
瑞光館外観 瑞光館外観。手前は、理工学部に次年度開設予定の「情報メディア学科」と「環境ソリューション工学科」(いずれも設置認可申請中)のための新棟を建設中。
 瑞光館は、龍谷大学が保存する貴重な資料を次世代に遺し、広く活用するため、保存、分類、展示研究を推進する中核となる建物だ。鉄筋コンクリート造の地下1階、地上2階の建物には、画像データを保存する部屋、データを解析する実験室、絵画の顔料の調査や彫像を立体的に計測したりする分析室などがある。研究対象は、大宮図書館が所蔵する本願寺の歴代門主の蔵書であった「写字台文庫」や、大谷探検隊が中央アジアで収集した古文書など。資料はデジタル映像で記録、データベースとして保管し、インターネットで世界中の人々が共用できることをめざしている。

 瑞光館の「瑞光」とは、ひかり輝く仏の智慧のことである。瑞光館は、この光をうけて本学ならではの国際的・学際的研究プロジェクトの成果をあげ、世界に発信してほしいとの願いをこめて命名された。
竣工記念に研究室公開と貴重資料の特別展示将来の成果に期待高まる
 
会議室(1階)
開館を記念して、5月14日から18日まで特別展示を実施した。トルファン ベゼクリク千仏洞の壁画(誓願図)を再現。壁画の現物は残っておらず、ドイツ隊(ルコック)によって出版された図版をもとに今回のプロジェクトによって、その一部を陶板に復元したもの。
会議室(1階)画像
資料室(1階)画像 資料室(1階)
開館を記念して、5月14日から18日まで、大宮図書館所蔵の貴重書など70点を展示。本願寺歴代門主の蔵書であった「写字台文庫」を中心に。
 
 
分析装置室2(地下)画像 分析装置室2(地下)
元素分析により、絵画の顔料や、紙の中の無機物質の分布や、元素の種類、量、分布状態を分析する。これによって資料の年代や地域の特定を科学的根拠で行なうことができる。
 
 
分析装置室3(地下)画像 分析装置室3(地下)
古典籍の保存、修復のための和紙を作成する。また、紙などの素材や顔料の劣化試験をするための耐候装置を設置している。
 
 
高精細画像入力装置画像 高精細画像入力装置
2階の画像ハンドリング室に設置。600万画素以上のデジタルカメラで、パソコンと接続可能。古典籍等の紙の質感まで現物に忠実に入力できる。
 
 
画像ハンドリング室(2階)画像 画像ハンドリング室(2階)
大型高精細印刷装置や処理端末を設置し、高精細な画像の取り込み、入力、処理、出力を行なう。
 
 
データベース室(2階)画像 データベース室(2階)
竣工に伴い、デモ展示を行なった。大谷探検隊のガラス乾板や写字台文庫のデジタル化したデータを表示した。
 
 
共用計算機室(2階)画像 共用計算機室(2階)
大規模磁気ディスク装置、大規模アーカイブ用DVDライブラリーを設置。古典籍デジタルデータの蓄積と処理を行なう。また、管理されるデータの高速アクセスが可能。
 
 
上山大峻学長画像 研究成果報告会画像
研究成果報告会。上山大峻学長が総合報告をした。その後、科学分析・保存研究グループからは、江南和幸理工学部教授、コンテンツ情報研究グループからは、蓮池利隆文学部講師、デジタルアーカイブ研究グループからは、岡田至弘理工学部教授が報告を行なった。(6号館プレゼンテーション室で)
 
大谷探検隊10周年記念事業 国際学術講演会「仏の来た道シルクロードの文物」東京と京都で開催 両会場とも予定参加者数を大幅に超える盛況
   本学が昨年度から取り組んでいる大谷探検隊100周年記念事業の一環として、5月23日に東京で、25日に京都で、「仏の来た道〜シルクロードの文物」をテーマに国際学術講演会を開催した。両会場とも350人を超える参加者があり、大谷探検隊への関心の高さを表わしていた。  
 
大勢の人が詰めかけた京都会場。熱心な質問がつづき、午後1時から6時30分まで、長時間にわたった。 京都会場画像
 
 
杉村棟国際文化学部教授画像 「スウェン・ヘディンの中央アジア探検記録映画」が東京会場で上映された。この国際講演会開催世話人の杉村棟国際文化学部教授(写真左上)が、75年前のスウェーデンの探検家ヘディンが率いた「西北科学考査団」による無声記録映画を約20分に短縮編集し、ナレーションをつけた。ゴビ砂漠を往くヘディンのキャラバン隊は、これに10数年先だつ大谷探検隊の探検行を彷彿とさせる。
「スウェン・ヘディンの中央アジア探検記録映画」
 
 
東京会場画像 東京会場で、「大谷コレクションの意義」と題した講演をする上山大峻龍谷大学学長。探検隊の目的や行程、探検隊を組織し派遣した大谷光瑞師の生涯、大谷コレクションの行方などをわかりやすく説いたうえでコレクションの学術的意義をまとめた。(本願寺築地別院第二伝道会館で)
 
     
 
小田義久龍谷大学教授画像京都会場で、「大谷コレクションの意義」を講演する小田義久龍谷大学教授。小田教授は、大谷探検隊の将来品の研究状況を中心に話した。
その中で、探検隊収集品である大谷文書中の土地制度関係文書の断片をつなぎ合わせると、龍の形になり、さらにその形と一致する龍を描いた絵画断片が、中国の旅順博物館所蔵の大谷探検隊収集品中にあり、この文書が、絵画の裏打ち紙として使われていたことが判明したと報告。今後は、文書の内容の研究に加え、文書がどのような絵画や造形物に使われていたのかを研究する必要があると説いた。(本願寺聞法会館で)
権寧弼韓国芸術総合学校教授(左から2人目)と、スザンナ・グラーチ上智大学助教授(中央)と、小田義久龍谷大学文学部教授(右端)会場からの質問に答える講演者の権寧弼韓国芸術総合学校教授(左から2人目)と、スザンナ・グラーチ上智大学助教授(中央)と、小田義久龍谷大学文学部教授(右端)。
 権教授は、韓国国立中央博物館に所蔵されている大谷コレクションの写真資料をスライドで紹介し、中央アジア美術の観点から解説を加えた。多くは日本での初公開資料で関心を呼んだ。
 グラーチ助教授は、シルクロード沿いのマニ教美術を、沢山のスライドで紹介した。会場からはマニ教そのものへの質問も寄せられた。当講演会世話人の徐光輝国際文化学部助教授は、権教授の通訳も務めた(左後方)。(京都会場で)
 
 
特別展画像 5月20日〜29日、講演会に合わせ、特別展観「仏の来た道〜シルクロードの文物」が、大宮学舎の本館1階展観室で開催された。龍谷大学所蔵大谷探検隊収集品展に加え、敦煌莫高窟から東へ148kmに位置する、東千仏洞の写真展が開かれた。明治44年に大谷探検隊の吉川小一郎が、ここを訪れている。展観も沢山の入場者があった。
 
 
大谷探検隊100周年記念シンポジウム 「チベットの芸術と文化」
 100年前、仏教伝播のルートを探査しようと、西本願寺22世宗主・大谷光瑞師の派遣した探検隊の足跡は、シルクロードを中心とする中央アジアのみならず、広くインド、チベット、西南中国などアジア全域にわたっている。

 チベットには、青木文教(1886-1956)と多田等観(1890-1967)が派遣され、それぞれがもたらした資料は、後のチベット学や、仏教学における文献研究の発展に寄与した。

 本学の大谷探検隊100周年記念事業の一環として、広島市立大学との共催で「チベットの芸術と文化」をテーマに、研究者と一般の方々の交流の場となるシンポジウムを2日間にわたって行なう。参加無料。
9月13日(金)10時から
午前
午後

〔I〕
〔II〕
基調講演 上山大峻(龍谷大学学長)
学術討論「チベットの文化・現在」
学術討論「大谷探検隊とチベット研究」
9月14日(土)13時から
午前
午後
〔III〕
〔IV〕
学術討論「チベット、少数民族の民族芸能」
学術討論「チベット資料、デジタルアーカイブの将来」
場所:龍谷大学大宮学舎
シンポジウム参加研究者
上山大峻(龍谷大学学長)/服部等作(広島市立大学芸術学部教授)/芳村博実(龍谷大学文学部教授)/M.D.Willis(大英博物館東洋部副部長)/中野照男(東京国立文化財研究所)/蔡 武成(雲南省迪慶蔵族自治州文化局局長)/中嶋猛夫(女子美術大学芸術学部教授)/白須淨眞(立志舘大学講師)/金子民雄(小説家)/三谷真澄(龍谷大学非常勤講師)/能仁正顕(龍谷大学短期大学部助教授)/岡崎秀紀(能海寛研究会)/星野 絋(前東京国立文化財研究所芸能部長)/宮坂敬造(慶應義塾大学文学部教授)/劉 金吾(中国少数民族舞踏学会副会長)/若原雄昭(龍谷大学文学部助教授)/柴田隆史(早稲田大学VR研究センター員)/神内俊郎(日立製作所試作開発センター長)
[学術資料展]青木文教、能海寛、野村礼譲に関係する資料を、
9月10日(火)〜21日(土)大宮学舎本館展観室で展示する。
問い合わせは----TEL 075・343・3318
龍谷大学大宮図書館課へ
 
医療・保健・看護・福祉分野を統合 第1回滋賀医科大学・龍谷大学交流シンポジウム開かれる「痴呆高齢者の生活支援」をテーマに
 

交流シンポジウム画像
参加者からの質問が続いた。

 滋賀医科大学と龍谷大学は、今年1月、医療と福祉を軸に学術研究や教育、実践での交流協定を結んだ。

 滋賀医科大学の医学科、看護科と、本学社会学部の地域福祉学科と臨床福祉学科が中心となって進めるもので、医療・保健・看護・福祉の分野の専門家が、学術的研究成果を社会に向けて積極的に活かしてゆくことを目指す。この試みのスタートを記念して、両大学による交流シンポジウムが、5月18日(土)龍谷大学瀬田学舎で開かれた。

 テーマは、「痴呆高齢者の心・身体・暮しを支える」。吉川隆一滋賀医科大学学長、上山大峻龍谷大学学長、国松善次滋賀県知事が、それぞれ、この交流の意義や期待、意気込みなどを語ったのち、両大学の教員、瀬田川病院の医師をシンポジストに、また、行政担当者と痴呆高齢者を抱える家族からの発言も行なわれ、多角的・統合的な試みとなった。

 
龍谷賞に児童文学作家の中川正文さん奨励賞に写真家の中淳志さん
 
中川正文さん画像
受賞の喜びを語る中川正文さん
 6月1日、京都東急ホテルで龍谷賞贈呈式が行なわれた。第13回を迎える今年は、児童文学・児童文化の創造と普及に努めた中川正文さん(1949年文学部国文学科卒)に龍谷賞が贈呈された。中川さんは現在81歳で、現役の作家・演出家として活動中。財団法人大阪国際児童文学館理事長兼館長を務めている。絵本、童話、劇作、翻訳等の著作は100冊を超える。日本児童文学学会会長、日本保育学会理事などを歴任し、第39回児童文化功労賞、京都府文化功労賞など数々の賞を受賞している。

 また、龍谷奨励賞は、写真家の中淳志さんに贈られた。中さんは、アジアの仏教圏の「信仰の風景」をテーマに作品を発表している。

 なお、中さんはアフガニスタンへの撮影旅行中のため授賞式には美幸夫人が出席した。
龍谷賞や龍谷奨励賞は、龍谷大学校友会が、毎年顕著な業績を上げた会員に贈っている。
 
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