RYUKOKU VIEW 人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センター創設記念シンポジウム開催

パネルディスカッションの風景。
人文系や理工系など様々な分野からの関心を持った人で会場が埋まった。
 既存の組織にとらわれず、全学を挙げて取り組む学際的な総合機関「人間・科学・宗教総合研究センター」が、昨年誕生した。人間と科学だけで構成されてきた学問体系に宗教(仏教)を加え、3領域が相互に連携しながら、歴史ある智慧に学んだ新しい「知」を生み出すことを目ざす、まさに龍谷大学にしかできない総合研究である。

 この総合研究センターの中核となるプロジェクト「人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センター(ORC)」が、文部科学省の高度推進ORC助成事業に認定され、今年度より動き始めた。プロジェクトのテーマは「仏教生命観に基づく人間科学の総合研究」。その創設記念シンポジウムが10月29日、深草学舎の顕真館で開かれ、学内外の参加者で埋まった。

 シンポジウムのテーマは「仏教生命観から見た“いのち”」。鍋島直樹ORC副センター長の司会で、上山大峻学長、来賓の大谷光真浄土真宗本願寺派門主、武田龍精ORCセンター長がそれぞれ同センターへの期待を込めてあいさつを行なった。

 第一部の記念講演は、JT生命誌研究館の中村桂子館長が、「生命誌から見た“いのち”」と題し、命がプロセスであることを科学者の立場から説いた。

 第二部のパネルディスカッションは、「“いのち”の尊さを次世代に語る」をテーマに武田センター長のコーディネートで、中村館長と上山学長、生駒孝彰国際文化学部教授の3人がパネリストとして発言、討論を行なった。上山学長は、仏教のいう“いのち”のつながりを説き、学問としてキリスト教を専門とする生駒教授は、アメリカのキリスト教徒の命を巡る考え方と日本の場合の違いを論じた。

 また、科学者である中村館長へ質問が集まり、まさに科学者と宗教者の対話が行なわれ、釈迦がとらえた命の考え方と生命科学が明らかにしたものとの共通性も確認することとなった。

 なお、現在「人間・科学・宗教総合研究センター」の研究棟を建設中で、来春の完成時には、一般公開などが予定されている。

上山大峻学長 武田龍精
ORCセンター長
生駒孝彰
国際文化学部教授
中村桂子
JT生命誌研究館館長


国際シンポジウム「チベットの芸術と文化」
初日、冒頭の基調講演は、上山大峻学長の「チベット学を拓いた日本人」。

 龍谷大学では、大谷探検隊100周年を記念して、昨年度より「仏の来た道」をメインテーマに、各種の学術企画を実施している。

 その一環として、この9月「チベットの芸術と文化」をテーマに、広島市立大学との共催で国際シンポジウムを開いた。大谷探検隊を組織した西本願寺22代宗主・大谷光瑞師は、仏教伝播の道をあきらかにすることを主な目的に探検隊を中央アジアに派遣した。同時期チベットにも注目し、青木文教、多田等観の2人を派遣し、チベット仏教・チベット語を学ばせた。

 シンポジウムは、日・中・英の研究者が、2日間にわたって、龍大の大宮学舎でチベットの工芸美術・芸能・民族などに焦点をあてて討論をした。

 また、龍谷大学所蔵の青木文教コレクションを中心としたチベット関係の資料展を同時期に開催した。

 来年9月には学術企画「仏の来た道」の完結編として、「シルクロード文物と現代科学」をテーマに、ドイツ・イギリス・フランス・インド・中国などから研究者を招いて、6日間にわたって、研究成果を多角的に展開する。

立体の映像と音響での伝統芸能の保存資料を見る参加者たち。
広島市立大学の服部等作教授と龍谷大学の芳村博実教授が代表世話人として、シンポジウムを運営した。ふたりは、第1部の座長も務めた。進行は、入澤崇龍大教授(右)。

第1部「チベットの文化、現在」。左から、東京国立文化財研究所の中野昭男氏、大英博物館東洋部副部長のM.D.ウィリス氏。雲南省迪慶蔵族自治州文化局長の蔡武成氏、女子美術大学の中嶋猛夫教授。 第2部「大谷探検隊とチベット研究」。左から、三谷真澄龍大講師、能海寛研究会の岡崎秀紀氏、能仁正顕龍大助教授。座長は、白須浄真立志舘大学講師(右端)。

第3部「チベット、少数民族の民俗芸能」。左から芳村博実教授、劉金吾中国少数民族舞踏学会副会長、高山茂日本大学教授。
座長の星野紘前東京国立文化財研究所芸能部長。
第4部「チベット資料、デジタルアーカイブの将来」。左から、柴田隆史早稲田大学VR研究センター員、神内俊郎日立製作所試作開発センター長、若原雄昭龍大助教授、アジア・ユネスコ文化センターの大貫美佐子氏。座長は、服部等作広島市立大教授。

「学術資料展」は、9月10日から21日まで、大宮学舎にある本館展観室で開催された。「ラサ鳥瞰図」など青木文教関係の資料、第一次大谷探検隊「ミャンマー・雲南ルート」隊員の野村禮譲資料、日本人として初めてチベットの領域に入った能海寛資料と、仏教工芸美術を中心とした観水庵コレクションの中から、ヒマラヤ文化圏関係の観音菩薩像などを展示した。


仏教写真家 中淳志さん(法学部OB)の写真展を開催「チベット・アフガン〜信仰と生活〜」
 前号の「OB登場」で紹介した写真家中淳志さん(1981年法学部卒業)の写真展「チベット・アフガン〜信仰と生活〜」(龍谷大学主催、毎日新聞社・龍大校友会後援)を、9月13日から30日まで、深草学舎紫光館1階の龍谷ホールで開催した。

バーミヤンの石窟の全容撮影に成功!!
 中さんは、今年5月、アフガニスタンのバーミヤンに入り、タリバーン政権による爆破・破壊を免れた壁画や、爆破された大仏の跡、盗掘者に削り取られた壁画など、石窟群の全容撮影に成功し、7月13日付けの毎日新聞の1面トップを始め、大きくマスコミで報じられた。その後、バーミヤン遺跡保存への動きにも大きな波紋を投げかけている。
 今回の写真展は、“仏教”をテーマとする中さんの最近の労作であるチベットに根付く信仰の風景とともに、約90点を展示。延べ2千人余の来場者があった。

山田明爾教授と記念講演
 開期中の21日(土)には、「バーミヤン石窟の現状〜やはりあった! 信念の撮影」と題した講演会が紫光館4階の多目的ホールであった。満席の約300人が詰め掛け、中さんの講演と、かつてバーミヤン調査を行ない、中さんにアドバイスをしてきた山田明爾短期大学部教授(仏教文化学)の講演に熱心に聞き入った。上山大峻学長の司会で2人の対談もあった。


中さんの写真展の予定 『バーミヤン石窟壁画写真展(仮題)』 期間:2003年3月6日(木)〜4月13日(日)〈水曜休み〉期間:2003年3月6日(木)〜4月13日(日)〈水曜休み〉
マスコミ取材陣も大勢駆けつけた講演会
会期中何度も足を運ぶ人もいた。
会期中の週末は、中さん(右端)が来場者に説明した。
左にアフガン、右にチベットの写真を展示。


日独共同シンポジウム「遺伝子工学の時代における法と倫理」

第2日目。真剣に聞き入る参加者。
 9月13日(金)から15日(日)の3日間、日独共同シンポジウム「遺伝子工学の時代における法と倫理」が龍谷大学矯正・保護研究センター、社会科学研究所、法学会、人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センターの共催で深草学舎で開催された。

 シンポジウムは、石塚伸一法学部教授と、ハンス=ルートヴィッヒ・シュライバー博士(ゲッティンゲン大学元学長)の挨拶に始まり、ドイツからはゲッティンゲン大学の他にギーセン大学など7つの大学から招聘された9名の研究者が、また、日本からは、本学の他に中央大学、大阪市立大学など8大学から研究者9名が発言した。

 遺伝子工学の分野で、クローン、遺伝子治療等について、各方面より多くの問題が指摘されている。当然、遺伝子操作の技術によって起こる問題は、今までの法律や倫理の常識で解決できず、複雑な問題となっている。この会場でも具体的な事例を踏まえ、活発な意見交換がなされた。

 なお、このシンポジウムは人間・科学・宗教研究助成で行なわれた。 参加者は約100名。

231社、289名の採用担当者が出席「企業・龍谷大学懇談会」大阪会場

和やかな雰囲気ながらも熱心に話をする光景があちらこちらで見られた。
 就職支援活動の一環で、本学をより一層理解してもらうため、企業の採用担当者との交流をはかる「企業・龍谷大学懇談会」が、10月3日(木)、帝国ホテル大阪で開催された。

 大学側からは学長始め総勢70名のスタッフが参加、企業担当者を迎えて、親睦を深めた。

 また、龍谷エクステンションセンターからもセンター長らが出席し、就職のみならず、産学連携の話題も交えて、多彩な交流がはかられた。

 すでに、ガイダンス等、3年生対象の就職支援が始まっている。就職部は、個別相談も含め、厳しい環境を乗り越えるための様々な支援活動を展開している。

寒さを吹き飛ばす70チームが熱戦! 恒例の第83回龍谷レガッタ

参加者の多くは初心者だが、白熱したレースを繰り広げた
 冬の気配が感じられる11月24日(日)、滋賀県琵琶湖漕艇場で83回を数える伝統行事、龍谷レガッタ(ボートレース)が開催された。

 70チーム、約350名の龍大の学生、教職員、関係者などがエントリー。寒さも忘れ、慣れないオールを握って力いっぱい競い合った。

 例年多彩な顔ぶれで参加する国際課は今年は20名を超える留学生が参加。4艇ものパワフルなチームを結成、大会を盛り上げた。

 また、端艇部女子マネージャー手製の”豚汁”が販売され、大好評。

 来年は、地元自治会や商店街からも参加してもらえるよう働きかける予定。

 例年、9月の授業開始時期から各キャンパスで先着順で参加者を募集している。5人1組で無料、誰でも参加できる。詳しくは端艇部艇庫まで(TEL:077-537-6069)。

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