ホット●アングル
02年度龍大ハツラツ選手権 チャレンジは学生の特権!
盛り上がる龍谷大学ビジネスプランコンテストでひときわ光り輝く

写真1 最優秀賞の「TEAM・ファルコン」
経営学部3年生
近藤真生さん(大阪府立刀根山高校出身)
辰巳浩太さん(大阪府立刀根山高校出身)
田中雅彦さん(大阪府立生野高校出身)
最優秀賞を獲得し、手ばなしで喜ぶ「TEAM・ファルコン」の左から田中さん、辰巳さん、近藤さん。「直前の1週間はケンカばかりでしたが、あきらめずにやって良かった」

 学生ベンチャーを育成しようと、昨年度から開催されている龍谷大学ビジネスプランコンテスト「プレゼン龍(ドラゴン)」。2回目となる今回は、前回の29件を上回る44件の応募があり、またコンテスト自体を学生が主体となって企画・運営し大きく盛り上がりを見せた。

 今回の最優秀賞に選ばれたのは、経営学部3年生の3人グループ「TEAM・ファルコン」の「トイレで情報収集」とタイトルを打ったビジネスプラン。3人は、経営学部生として学んだことを、ベンチャーという形で生かしたいと、今回の挑戦をした。

 田中雅彦さんの誘いで、3人は共に、同コンテストを主催する龍谷エクステンションセンター(REC)の「ビジネスプランサポート講座」に参加した。当初、それぞれがアイデアを練っていたが、とても事業化できそうなものはない。そこで3人で力を合わせることに。

 駅のトイレに着目したのは近藤真生さん。利用時、壁の落書きを読むくらいで退屈だ。この“空白”を情報収集の時間に替え、トイレ保有者に収益をもたらすものにしようとしたのが今回のアイデアのポイント。

 さらにポスター掲示ではつまらない。液晶画面をつかって、時間帯ごとの利用者層に合わせた広告を発信するというのも新しいところ。

 具体的なビジネスプラン作成では、IT関係の情報収集を担当したのが辰巳浩太さん。プレゼンテーション時に用いたパワーポイントによる表現も、初挑戦ながら見事な仕上り。最も面倒な、トイレ利用者数を調べたり、コスト計算したりと収支計画は、田中さんの担当。プレゼンの中心となったのは近藤さん。まず行動ありのポジティブ派。工夫に工夫を重ねた人を魅きつける構成と話術。一般審査員の票を集めた。

 賞金の30万円は、きっちり分けてそれぞれが大事に保管している。さて、今後のことだが、プランを実現することに賭けるとともに、一方で、就職活動も。両方とも真剣に取り組んでゆくという。

 惜しくも次点の優秀賞は「総合就農支援サービス」の経営学部2年生の尾崎徹志さん(大阪府立長尾高校出身)と松波貴哉さん(大阪府立長尾高校出身)。高齢社会を迎えて、時代に合ったプランだと、専門審査員の高い評価を受けた。

 コンテスト参加者の素晴らしさとともに、今回審査員たちが称賛したのは運営の見事さ。プレゼンテーション会場は、音楽・照明などによる演出も加わり、手ぎわよい進行で見ていて楽しかった。

 学生実行委員は11人。委員長は、西田佳代さん。

 「日本版ビル・ゲイツ誕生を夢みて、楽しいコンテストにしたいと準備を進めました」と始めから意気込みが違う。

 実は、1回目のプレゼン龍を見ていて、1組が時間をダラダラと取ったり、内容が理解できなかったりと、ハガユかったのが、実行委員になった理由。プレゼンテーションの練習の場を設けたり、プレゼン会場で専門審査員の席を明確にしたりと、「イベントを仕切るのが好き」な自身の力を思い切り発揮して、発表者をバックアップした。

 「夜遅くまでがんばって、プレゼンの練習を重ねて上手になってゆくところなど、努力をすれば、結果が出るということを見せてもらえて、私自身もうれしかったです」

 3回目の「プレゼン龍」は、今年12月頃に開催の予定。

写真2 「プレゼン龍」学生実行委員長
法学部3年生
西田佳代さん(三重県・皇學館高校出身)
写真3
コンテスト表彰式を終えて、応募者と実行委員の学生集合(深草学舎で) 開会のあいさつをする西田さん。
町おこしにも学生のアイデアを政策・ビジネスコンテストに優勝

写真4 国際文化学部3年生
服部乗政さん(兵庫県立飾西高校出身)
大西 裕さん(兵庫県立生野高校出身)
知り合うきっかけは2年次の英語の授業。
趣味の音楽を通したメール交換から。お互いを「服部くん(写真右)は熟考型」、「大西くんはものすごい努力家」と評価する。(瀬田学舎で

 京都府木津町の活性化を目的とした、学生による政策・ビジネスコンテスト「リアライズ・イン・キョウト」で見事、優勝を勝ち取った。

 「プレゼンテーションの時に、緊張のあまり説明がグダグダになってしまって」と服部さんが反省すると、「逆に熱い思いだけが伝わって良かったよ」と大西さんがバックアップ。共にのんびりペースの名コンビだ。

 2人は木津川をコミュニケーションの場と位置付けた。広い河川敷を住民が自由に、思い思いに開発・利用するというプランを提出。従来型の“箱物行政”から脱皮した、学生ならではの柔軟な思考が評価された。

 「古くから住んでいる人と、新しく転入した人とのつながりの少ないところに注目しました。町に対する愛着をもってもらうため、住民の積極性を誘うのが目的。花や記念樹を植える、ギャラリーをつくるなど、何でもいいのです」(服部さん)、「参加する人が多くなればなるほど知恵も集まり、いい町になると思う」(大西さん)とまさに住民主体のアイデアがうけた。

 服部さんは、もともと日本の社会に興味をもち、社会学が専門のポーリン・ケント助教授のゼミでも「まちづくり・地方の再生」をテーマに取り組んでいる。

 「都会のビル群より、日本の原風景が好きなんです。共に大切ですが、経済優先で一方が廃れていくのは、未来の日本と日本人にとって問題があると思った」と話す。入学後すぐに「自分の甘えを克服しようと思って」、新聞配達のアルバイトを始め、午前2時から4時半まで配達するがんばり屋だ。

 大西さんも、郷里の過疎化・高齢化を目の当たりにしてきたことと、服部さんから声をかけられたことで彼を支えようと参加した。

 大西さんは、必修科目の「仏教学」の授業を受けて以来、浄土真宗、とくに親鸞聖人に興味を覚えている。

 「宗教から日本人を見ていきたいと思っています。家はお寺ではないのですが、本願寺派教師資格課程にもチャレンジしています」

 服部さんは就職活動の真っ最中。町づくりに関わる仕事を目指す。大西さんは大学院へ進むことを考えているという。
龍大ボクシング部黄金期を築き東洋チャンピオンにも

経営学部4年生
柳山甚介さん(大阪・興国高校出身)
写真5
スピードが持ち前のサウスポーの柳山さん。
思い出の詰まった深草学舎体育館のリングで。
腰に輝くチャンピオンベルトは、昨年8月に行なわれたWBF(ワールド・ボクシング・フェデレーション)パン・アジアン・スーパーフライ級の王座決定戦で獲得したもの。

 「嬉しかったですね。“勝つ”ということは、何ものにも替えがたいものですね」と笑顔に。

 WBFは日本では馴染みが薄いが、WBA、WBC、IBFに次ぐプロボクシング組織。

 「大きなコミッションだと、4回戦、6回戦とステップを踏んで、やっとランキング入り…。長くかかるので、早く結果の出せるところをと、敢えて選んだのです。ボクシングをやるのは大学卒業まで、という親との約束もあったので」

 ボクシングは中学3年から。祖父はプロボクサー、父親は少林寺拳法の全日本チャンピオン、兄は高校野球で甲子園出場とスポーツ一家の末っ子。持ち前の運動能力で高校時代からめきめきと頭角を表し、龍大へ。

 柳山さんが入学して、龍大ボクシング部は4年連続近畿リーグを制覇するなど、黄金時代を迎えている。

 「4年生になってすぐプロ入りしたので、昨年の試合には出られませんでした。ボクシング部員は皆仲が良くて、練習もすごく真面目にやっています。楽しく充実した4年間を過ごすことができました」

 童顔、ブランド物のアクセサリーをさりげなく身につけファッションセンスも抜群。ボクサーというよりジャニーズ系アイドルのようだ。

 「よく、からまれるんですよ。ボクサーは手を出せないのでひたすら逃げますね。走るのは得意ですから」

 卒業後は、金属研磨加工業を営む家業を手伝う。ボクシングは、やめると決めているものの、迷いもある。
関西発から全国規模になった「NHK全国大学放送コンテスト」で実行委員長、映像CM部門入賞と活躍の放送部員

写真6 国際文化学部3年生
増田隆宏さん(福岡県・九州国際大学付属高校出身)
社会学部社会学科3年生
北川真子さん(三重県立津西高校出身)
合図を出す北川さん(左)と、増田さん(右)。
放送局が活動する深草学舎紫朋館のスタジオで。

 大学放送局の交流、発表の場として、開催されてきたNHK大学放送コンテスト。これまで、龍大と立命館大の学生を中心に運営し、主に関西の大学が参加していたが、19回目を迎えて、“全国”と冠のついた大規模なものとなった。昨年12月に開催されたその記念すべきコンテストで、2人の龍大放送部員が大活躍した。

 実行委員長として腕を揮ったのが増田隆宏さん。「ホームページを作ったりして呼びかけたところ北海道から沖縄まで多くの参加者があり、感動的な大会になりました」と胸を張る。

 パンフレット作成、スポンサー依頼、ゲスト交渉などすべて学生の手で運営され、増田さんは1年生の時から携わっていた。今回、委員長となって感じたことは、「リーダーの自分が持ち込んだ空気で、会議などの雰囲気が左右される。体調が悪かったり、イライラしていたらダメということを痛感した」と話す。漫才が好きで関西の大学に来たというだけに、“場を読む”能力や持ち前の明るさで皆を引っ張っていったのだろう。

 コンテストは、DJ、ニュース、CM、ドキュメンタリーなど6部門で行なわれた。映像CM部門の3位に入賞したのが北川真子さんだ。

 勉強、サークル活動、恋愛など大学生活を30秒の映像に盛り込んだ。淡々とした中に青春のきらめきが感じられる完成度の高い作品になった。

 「人生には壁があるが、努力と頑張りで成功する、ということを伝えたかった」。高校卒業後、看護学部に入学したが「やっぱりマスコミ、映像がやりたい」と龍大へ入学。「遠回りした分、やる気満々で入学したから充実していますよ」ときっぱり。

 現在、放送局部員は約60人。お昼の定時放送で独自の音楽番組を流すほか、深草キャンパスの大型ビジョン「RUV(ラヴ)」の運営、龍谷祭や降誕会などのイベントで放送を担当する活動を行なっている。増田さんはアナウンス室、北川さんは制作室に所属。

 現在、北川さんは就職活動の真っ最中。テレビ番組やCMの制作会社をターゲットに忙しい毎日。増田さんは「自分の好きな空間で喫茶店をやりたい」と好対照。今回のコンテスト経験でひと回り成長した2人が、それぞれの夢実現を目指す。
環境問題をテーマに市民組織で奨学生としても活躍

写真7 法学部政治学科3年生
許 慧明さん(中国・吉林省出身)
法学部法律学科2年生
今井薫平さん(大阪府立鳳高校出身)
2人が受講したサマーセッション「自然観察法」(相良直彦非常勤講師)で実習した稲荷山で、今井さん(右)と許さん(左)。キクラゲを発見した。

 2002年度損保ジャパンCSOラーニング奨学生として、7カ月間の活動を終えたばかり。

 CSOラーニング奨学生制度とは、大学生や大学院生を公募・選抜し、環境をテーマに活動するCSO(Civil Society Organization=市民社会組織の略称でNPO・NGOに代わる名称)の研修生として現場体験をするというもの。全国で114人の応募があり、25人が選ばれた。実働時間によって奨学金をもらえる。

 許さんは京都にある「気候ネットワーク」、今井さんは「大阪自然環境保全協会」で、学生生活と並行しながらスタッフの一員として働いた。

 「各地で開催する地球温暖化のセミナーを手伝いました。会場の設営、ポスターづくり、グループディスカッションのまとめ役…全て初めての体験なので大変でした」と許さん。

 「僕は、北摂地域の鹿の調査。鹿の糞から増減を探っていくのですが、動物が好きなので希望してやりました。ほかに環境に関する基礎勉強もさせてもらいました」と今井さん。

 奨学金は時給900円、7カ月間の上限が150時間と決められていて大きな金額ではないが、「知識だけでなくいろいろな人々と交流できて、いい経験になりました」と口を揃える。

 許さんは北朝鮮との国境に近い吉林省・延吉市出身の留学生だ。

 「今の中国は経済優先。環境問題への取り組みが遅れています。環境の専門家である増田恵子先生の授業や共通ゼミを受けて、本格的に勉強したいと思いました」

 卒論も「中国の二酸化炭素」をテーマに、増田経済学部助教授の指導のもと取り組み始めているそうだ。

 今井さんは「環境論担当の土屋和三文学部助教授に勧められて、瀬田キャンパスで展開している『里山保全の会』に入りました。山が大好きで、龍大に入ろうと決めたのも深草学舎のそばにある稲荷山で遊べると思ったから。あそこには珍しいキノコがたくさんあるんですよ」と話す。

 将来の進路を許さんは、「日本の企業に入って、環境部門で働きたいですね。そして最終的には中国で環境NGOを起こしたい」。今井さんは、「仕事にするかどうかは別として、これからも里山保全や環境に関わっていきたい」。

 ともに法学部で学ぶが、「環境について学べたことで学生生活が充実しています。いい先生との出会いがあって良かった」と笑顔が弾ける。
何にでもチャレンジ!マネージャーとしてボート部女子日本一も充実した学生生活に満足

国際文化学部4年生
奥紗矢香さん(大阪府・追手門学院高校出身)
写真9
4年間通った大津市瀬田川河畔にある端艇部艇庫で。
 「何にでもチャレンジしよう」との姿勢で大学生活を満喫した。この春から松下電器産業(株)で新スタートを切る。

 高校時代から中国に興味をもち、「絶対、語学留学をする」との決意で国際文化学部へ。2年生の時に1年間、大連にある遼寧師範大学へ留学を果たした。

 「高校の時から中国語は習っていたのですが、全然通じないのであせりました。語学が上達したというより、どんなことを言っているのかという感覚が磨けた程度です」と言うが、留学で得たものは大きい。

 「いろんな国のいろんな人に出会って、自分は恵まれていることを痛感しました。目標をもって努力すれば夢が叶うという気持も強くなりました」

 昨年、週刊誌に掲載された就職支援広告にも、龍大生の“顔”として登場。

 「もちろん、喜んで!と引き受けましたよ。おばあちゃんがとても喜んでくれて良かった」

 サークル活動では端艇部のマネージャーとして4年間を過し、強豪、龍大端艇部を陰で支えた。

 「皆の一生懸命な姿を見て、たくさんの刺激をもらいました。一生を通じての仲間と出会えたのが何よりです」

 社会人になる抱負は、「総合職ですから、どこで、どんな仕事になるかわかりませんが、与えられた仕事はスペシャリストになるよう精一杯努力したい」と目を輝かせる。

 長所は「前向きなこと」、短所は「前向き過ぎること」だそうだ。
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