法学部
地方自治体・NPO・大学のコラボレーションNPO・地方行政研究コース
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授業を受ける顔ぶれも多彩だ
 法学研究科では今年4月、経済学研究科と共同で「NPO・地方行政研究コース」を開設。地域公共政策に関する総合的な研究の機会を提供している。このコースは、市民活動や自治体行政などの領域で分権時代の地域社会を担う人材の政策能力を育成し高度化することを目的としたもの。
 その中に、オンジョブ型コースがある。これは、勤務を継続したまま短期集中的な研究指導によって学位を取得し、職員としてキャリアアップを目指す1年制の修士課程のこと。
業務の内容を研究課題にすることができる。
 1年制コースには連携協定を結んだ自治体やNPO・NGOから推薦された6名が在籍。その1人、特定非営利活動法人「京都シルバーリング」の代表で、特定非営利活動法人「きょうとNPOセンター」の立ち上げにも参加したという玉川雄司さん(78歳)は「思考を整理する貴重な経験となった。ボランティアの官・民の二重構造をなくしていく活動を今後も続けていきつつ、今まで培ってきた経験を論文にしたい」と現在、「行政とNPOのパートナーシップ」をテーマとする修士論文作成に向けて意欲的だ。
 地方自治体、NPOと大学の3者が経験や情報を共有、議論し、それぞれのメリットを活かしつつ、分権社会における地域公共政策の高度化・多様化に今後も取り組んでいく。
理工学部
「もっと地球に優しく」 エコランに挑戦!無事完走
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「エコロジーカープロジェクト」チームのメンバーたち
 機械システム工学科と数理情報学科の学生有志でつくる「エコロジーカープロジェクト」チームが9月20・21日の両日、栃木県にあるツインリンクもてぎサーキットで開催された「本田宗一郎杯Hondaエコノパワー燃費競技全国大会(通称:エコラン)」に挑戦、見事完走を果たした。
 この大会は1リットルのガソリンでどれだけ走れるかを競うレース。
今年の春頃から製作を開始、レース1週間前に、剛性と軽量を兼ね備えた車輌に仕上げた。そして今回の目玉は、原動機付自転車1種に登録し、「ナンバープレート」をつけて走行したこと。おそらくこれはエコラン史上初。来春には軽自動車税を支払うというおまけつきだが……。
 レースは1日目に車検、練習走行、公式予選、2日目が本番走行。原付1種として「国」に認められた車輌は何の問題もなく車検を通過。だが、本戦は台風接近の影響で強烈な雨と風の中で行なわれ、コース上は大渋滞。この悪条件に多くの車がリタイアする大波乱のレースの中、チームは大きなアクシデントもなく無事完走。当初の目標であった上位入賞はならなかったものの、グループWクラスで123台中47位という大健闘だった。
 参加したメンバーは「全クラスで600台にものぼる参加があり、かつ悪天候という状況で、龍大のエコランカーをアピールするのにはとても苦労した」とレースを振り返った。
社会学部
「ひきこもり」をテーマに学生の手によるシンポジウムを開催
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質疑に応えるパネラーと熱心に聞く学生
 社会学部では7月3日、近年社会問題となっている「ひきこもり」をテーマとしたシンポジウムを開催。会場には開始前から定員(440名)を超える学生が押しかけ、立ち見がでるほどの盛況となった。
 主催したのは学部生と院生が中心となり運営する社会学部学会。2001年度から毎年春と秋の2回シンポジウムを企画・運営してきた。今回は「ひきこもる!自由?│映画『home』をてがかりにして│」と題し、前半は、ひきこもりの若者を取材したドキュメンタリー映画「home」(2001年/小林貴裕監督)を上映。スクリーンを食い入るように見つめる学生たちの姿から「ひきこもり」を非常に身近な問題と感じている様子がうかがわれた。
 後半は、朝日新聞記者で教育問題や心の問題を多く取材する塩倉裕氏を招き、古賀和則教授、山邊朗子助教授の3氏による講演を実施。それぞれの専門領域から「ひきこもり」について独自の考察を展開、講演後は学生代表が司会者となり、3氏と学生とのあいだで熱心な議論と質疑応答が繰り広げられた。
 主催した学生は、「ひきこもりという社会現象の根の深さと広がりについて、新しい視点から捉えさせてくれる内容だった」とシンポジウムの成功を喜んでいた。
国際文化学部
新しい研修のかたちスペイン・イスラム文化研修実施される!
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グラナダで訪れたアルハンブラ宮殿
 国際文化学部では9月8日から18日までの11日間、イスラム文化に関連した海外研修を実施し、語学修得を中心とした従来の研修からの新展開を図った。
 今回の研修は杉村棟教授のゼミに所属する3・4年生の発案で実現した。トレド、コルドバ、セビリア、グラナダに残るイスラム期の建築遺構を見学した学生は、イスラム美術とキリスト教美術の融合から生まれたユニークな建築様式と優雅で精緻な建築装飾に魅了され、その幻想的な雰囲気に圧倒されていた。
 研修の総仕上げとして訪れたグラナダの国立アラブ文化高等研究所では、研究所長のA・アルマグロ博士と研究員からイスラム支配時代の歴史、アンダルシア地方の建築、庭園様式、イスパノ・モレスク陶器に関する講義を受け、学生は興味深く聞き入っていた。
 かつて、トレドの街にはキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒が共生し、その協力のもとにアラビア語からラテン語への翻訳事業が行なわれていた。当時、高度に発達していたアラブ・イスラム文化はこれにより中世ヨーロッパに伝えられるのだが、その功績は、西洋文明に対峙する形でのみ捉えられてきた事実がある。
 今回の研修は、イスラム文化の再評価と、偏ったイスラム観を是正する意味で非常に有意義なものであったため、今後も継続的にトルコ、イラン、北アフリカ等での実地研修を検討していく。
短期大学部
経験を実践の糧に「北海道研修旅行報告」
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坂本武・栗の木共同作業所施設長の
話に耳を傾ける学生たち
 8月27日から8月31日の4泊5日、社会福祉科は特色ある取り組みをしている福祉関連施設が多い北海道で国内研修を実施した。これはSARSの影響によりスウェーデン等海外での研修が中止になったのを受け、阪口春彦助教授が提案。4名の教員と12名の学生が参加した。
 最初の研修は、浦賀町にある「べてるの家」。小規模授産施設などからなるこの施設は精神障害者自らが運営、その運営担当者から直々に取り組み内容の説明を受けた。これは、この施設の特徴を知る上で貴重な体験であった。次に栗山町を訪問。ここでは町発行の福祉広報誌についてや、ボランティアサービス活動に利用している地域通貨である「クリン」が果たす役割について、福祉的観点を含めた説明を受けた。 その後、知的障害者地域共同作業所「栗の木共同作業所」を見学。その施設長から「森林博物館」を紹介された。「ここでは多くの種類の木が揃って初めて森ができている。人間社会も同じ、障害者、健常者が互いに支えあえる社会にこそ健全な人間の森が構成されるのではないか」との話に、「福祉施設を直接見学する以上に感じ入るものがあった」と学生は率直に感想を漏らしていた。
 今回の研修は、学生にとってこれまでの施設見学や実習と大きく異なり、福祉のあり方そのものを学ぶことができる有意義なものであった。社会福祉科では今後もこうした国内研修の実施を検討していく。
文学部
FD活動を積極的に推進 教員相互の公開授業を実施
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板書をしながら話しかけるように講義を行なう小島勝教授
 文学部では、教員の資質開発、大学教育の充実に関する取り組みである「FD(ファカルティ・ディベロップメント)活動」を活発にするため、2001年度に「文学部FD活動推進委員会」を設置。以来、「演習の位置付け」「成績評価のあり方」「教室の設備機材」「メディア授業の方法」「公開授業の企画」など、授業内容や方法の改善に取り組んできた。
 そして3年目になる今年、各学科や専攻の教員が持ち回りで毎月1回開く「公開授業」を行なっている。これは、他の教員に授業を公開することで、担当する教員は話し方や板書の仕方、さらにはパソコンやパワーポイントといったメディア教材を用いるなど講義に工夫を凝らす必要が生まれ、また、聞く側の教員にとっても他の教員の授業の進め方が参考となる。授業終了後、教員同士が相互に意見を交換することで、お互いの教授法改善にもつながっていく、というのもねらいだ。
 文学部FD活動推進委員会委員長の足立明久教授は「教員が他の教員の授業を聞くことはなかなかありません。この公開授業では授業を行なう側、聞く側ともに良い刺激となっているので、これをきっかけに少しでも学生の立場に立った理解しやすい良い授業が増えればと思います」と話し、今後も積極的に教員参加を呼びかけていく。
経済学部
現場の声から メディアの役割、可能性を探る
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講義終了後も学生からの質問が絶えない
 経済学部では後期から、マスコミ・メディアなど第一線で活躍している方を講師に招き、「メディア業界実務論」を開講している。この講義は、メディアに携わり、日々変化の現場に直面している実務家らが、具体的に自らの仕事について語り、メディアの現実と問題点を現場の視点からわかりやすく解説している。第1回は情報誌「KANSAI1週間」編集長の三ツ間詳二氏が雑誌づくりについ て講義を行なった。
 「IT技術の進歩や流動的な時代状況のなかで、いわゆるマスコミといわれる業界も刻々と変化している。出版・新聞・テレビ・ラジオという従来の枠組みを越え、他のメディアや他の業種とのコラボレーションも増える傾向にある。新たなビジネスチャンスが発生する反面、前例頼りの仕事ではその変化に対応できなくなってきている。そういう今だからこそ、メディア業界に求められる人材も、人とは違う発想・行動ができて、なおかつ自分とは異質な人や組織とコミュニケーションができる起業家タイプが注目されてきている」と三ツ間氏は述べる。
 受講した学生は、「日々結果を求められる厳しい現場を任されている人たちから、生の声を聞くことができ、とても刺激を受けています」と好評だった。
経営学部
「入り口から出口」に向けてゼミ改革を実践中
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安部大佳教授ゼミでは、ゼミ合宿を終え、論文作成に向けラストスパートをかける
 大学へ入学はしたものの、自らの目標を見出せない、あるいは設定できない学生が近年増加の傾向にある。こうした現状を踏まえ、経営学部ではゼミ改革を実践している。
 その大きな特徴は、学生個々の個性を活かし、「入り口から出口まで」を意識したゼミを展開しようという点。個々の学生が目標や出口を自ら設定し、そこに到達してもらうために、10人の学生がいれば、10通りのゼミを展開するということだ。
 現在、ゼミを担当する教員は学生との話し合いの中、さまざまな指導方法を実践している。例えば、3年生から積極的に論文を書かせ、学生論集に投稿することで、やりがいを見つけるゼミや、ゼミ活動そのものがインターンシップのように体験的であったり、大学院受験や資格取得に向けて個別の指導を行なっているゼミもある。また、就職活動に役立つような論文指導や学外活動を奨励しているゼミもある。
 自分の目標が定まっている学生は、目標に向かって集中的に特定領域を学修する。目標を見出せない学生は、いろいろな視点で学修を重ね、卒業までに自分の目標を見出す。自らの責任においてゼミを選択し、教員がそれをサポートする。時代に合わせたゼミづくりを目指し、今後もカリキュラム改革を進めていく。