理工学部
高大連携で特別講義 「数学の世界への誘い」開講
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数学の面白さを体感する石山高生(京都新聞提供)
 理工学部数理情報学科では高大連携の一環として滋賀県立石山高等学校の生徒1・2年生を対象に「数学の世界への誘い 現象の数学入門」を11月から開講し、数学に興味を持つ12名が受講した。
 大学教員が高校に出張講義するのは今や珍しくないが、この特別講義では大学で研究している数学の最前線の一端を体験してもらおうと瀬田学舎で実施。生徒は授業期間中の火曜の放課後と土曜を利用し、講義に参加した。
 講義は、高校で学ぶ数学を最大限に応用した題材を用意。その内容は、「昆虫やうさぎなどのような生物の個体数はどのように変化するか」「高速道路の渋滞はどのようにして起きるか」「津波の形はどのように変化するか」「直方体の展開図から直方体を組み立てるアニメーションはどう考えて作るか」など身近な現象で数学的に深い内容を持つものを選び、コンピュータ設備を駆使しながらわかりやすく解説した。
 講義を担当した教員は、「これを機会に多くの高校生が身近にある数学に興味を持ち、今後の進路の参考にしてもらえれば」と高大連携の成果を期待している。
社会学部
シンポジウム  「地域福祉におけるボランティア・NPOの役割」を開催
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実務者ならではの視点で地域福祉を語る
 瀬田学舎で1月15日、「地域福祉におけるボランティア・NPOの役割」と題するシンポジウムを開催した。これは、「龍谷ボランティア・NPO活動センター」が深草学舎に続き瀬田学舎に開設されたのを記念して企画されたもの。副センター長を務める筒井のり子教授の担当科目「地域福祉論」の受講生を中心に、学生や教員約300人が詰めかけた。
 シンポジウムでは、本学卒業生で大津市社会福祉協議会に勤める山口浩次氏をコーディネーターに招き、中井まりえ氏(日吉台の福祉を語る会「あじさいくらぶ」代表)、林淳子氏(NPO法人・宅老所「はな」代表)、小倉勝世氏(雄琴学区社会福祉協議会会長)の3氏がパネリストとして参加、大津市内での活動の現状を報告した。
 中井氏は「住み慣れた地域でずっと暮らし続けるにはどうしたらいいか、数人の勉強会から始まって、拠点を確保するまでになった」とこれまでの経緯を紹介。林氏が「大規模施設では個々の高齢者のペースに合わせることに限界がある。自分で納得ができるケアを提供したかった」と活動への思いを述べた。また、小倉氏からは「痴呆や障害がある方が健やかに暮らしていくためには、その人の身近な地域のあり方が鍵」と今後の課題を指摘した。
 実務者からの活動内容とボランティアへの熱い思いに触れた学生は大いに刺激を受けた様子。今後、大学と地元のボランティア・NPOとの協働に向けての手応えを感じたシンポジウムであった。
国際文化学部
留学生を囲み国際色豊かに 「お正月パーティー」を開催
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モンゴルの踊り「草原の娘」を舞う中国からの留学生・王静さん(経済・3年)
 留学生に日本のお正月気分を味わってもらおうと11月8日、瀬田学舎野外ステージで「お正月パーティー」を開催した。これは国際文化学部生や海外交流委員会が中心に企画。中国や台湾からの留学生など約300名が大いに盛り上がった。
 パーティーは海外交流委員会の学生と台湾留学生が司会を務め、日本語と中国語で進めた。タヒューン・ノエル助教授が自宅から杵と臼を持ち出し、大きなかけ声のもと、餅つきに初挑戦。留学生は慣れない手つきながら精一杯に餅をつき、出来立てを口いっぱいにほおばっていた。
 また、中国出身の徐光輝助教授や劉虹助教授から伝授された作り方をもとに留学生が餃子スープを作り、韓国出身の朴0国助教授が持参した自家製のキムチにも舌鼓を打った。そのほか多くの教員がバザー品を提供するなど、まさに手作りパーティーとなった。
 当日は小雪がちらつくあいにくの天気にもかかわらず、あたりを晴れやかにするほど鮮やかな民族衣装をまとった留学生たちが韓国の琴演奏や内モンゴルの踊りを披露。日本人学生もギターの弾き語りを行なうなど交流を深めた。
 企画者は「普段接することのない演奏や踊りが見られ、まさに国際文化学部にふさわしい異文化交流ができた。また来年も開催したい」とパーティーの大成功を喜んだ。
文学部
「卒業論文と私 龍谷大学文学部卒業論文ガイド」を発刊
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文学部“入口から出口まで”の三部作
 文学部は12月1日、卒業論文作成にまつわる教員自身の苦労談や失敗談、論文作成についての示唆などをまとめた小冊子『卒業論文と私』を発刊した。この小冊子は、卒業論文に対する心構えや取り組み方、また論文作成の方法論などを紹介。この冊子をとおして学生と教員で卒業論文への熱い思いを共有しようというのがねらい。
 発行を手がけたFD活動推進委員会委員長の足立明久教授は、「始めから終わりまで、『考え』、『感じ』、『調べ』、『まとめる』ということを自分の力で成し遂げた体験が自身を成長させ、また、卒業後の心の支えとしての自信にもなる」と卒業論文の取り組み方に大きな意義があると話す。
 文学部は2001年度に、文学部で何を学ぶのかを中心にまとめた『分けると、分かる 文学部ミニ講義集』を、2002年度には、学問への関心を深めてもらおうと教員が学問との出会いについて語った『学問と私 文学部スタディーガイド』を発行。今回の小冊子の発行で、文学部入学から卒業までを紹介した冊子として三部作の完成となった。
 文学部では「これらの小冊子によって、学問の面白さと深さを学生にうまく伝えることができれば」と期待している。
短期大学部
装いも新たに 「社会福祉研究大会」を開催
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「芝居演劇」最後は出演者全員の合唱で締めくくった
 今年度で第32回を迎える「社会福祉研究大会」が12月10日、「むすんでひらいて福祉の心」をテーマに深草学舎で開催した。
 今回は、従来の口頭での発表に加え、シンポジウムやポスターセッションを展開。これまで2年生の学生中心であった発表を、1年生と2年生の各ゼミ中心に変更するなど開催プログラムも大きく様変わり。地域住民と大学の交流を重視する観点から、近隣の砂川学区の方にも参加いただいた。顕真館では、知的障害者の学習支援と交流支援について学ぶ『オープンカレッジ「ふれあい大学」課程』(本紙55号「学部ニュース」で紹介)の受講生を迎え、知的障害のある市民によるシンポジウム「わたしたちの望むこと しごと、社会活動、ひとりぐらし」を開催。知的障害者と健常者が一緒に暮らすために何ができるかについて意見が交わされた。
 また、受講生と学生が一致協力して“うた”や“お芝居”による「芝居演劇」を上演。会場となった学館ホールに詰めかけた観客からはさかんに拍手が送られるなど、障害者と共に学び、さらに交流を深めた特長ある大会となった。
 今回の試みの多くは、歴史ある社会福祉研究大会において初めてのことであり、今大会を振り返り、検証することで、今後の発展に向けてより一層の充実を図っていく。
地域で進める 福祉活動の実践
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大学周辺の環境改善をパネルを通して訴えた
 加藤博史教授と窪田和美助教授のゼミに所属する1年生は、「大学周辺地域との連携による福祉活動の実践」をテーマに、地域福祉のあり方を模索している。
 まず、地域を知るため、大学周辺を高齢者、障害者、子どもの視点で歩くことから取り組んだ。普段何げなく歩く道も視点を変えれば、歩道をふさぐような自転車の止め方により、車いすが通りづらいことや、あちこちの段差や点字ブロックの張り方など問題が浮き彫りに。これを視覚的に問題提起するためにパネルを作成した。
 次に、大学近隣の砂川学区社会福祉協議会役員の協力を得て、ひとり暮らしの高齢者への聞き取り調査を実施。地域の「昔と今」などを冊子にまとめるなど、活動の成果を「社会福祉研究大会」で発表。当日は、社会福祉協議会をはじめ、砂川学区の方が多数訪れるなど、地域における大学が果たす役割への期待の高さがうかがわれた。
 今後は、学生がこの地域の一員としての自覚を持ち、砂川学区のボランティア活動のみならず、近隣とも連携を図るなど地域福祉活動の実践を通して、地域社会の問題に向き合う努力をしていく。
経済学部
経済学を身近に感じて 高校生のためのクイズ大会を開催
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高校生からは盛んに質問が。講師は高須氏
 経済学部は12月13日、高校生に広く経済学の面白さ、楽しさを知ってもらおうと、「第1回Youth RYUKOKU Economics! 高校生のための経済学講座とクイズ大会」を深草学舎で開催した。当日は、福井県などから17校が参加、1・2年生を中心に100名を超す高校生が講座とクイズで経済学に親しんだ。
 講座では、本学部出身で、人気お笑いコンビ・ダウンタウンなどの番組を手掛ける放送作家・高須光聖氏を招き、「やる気!と将来の自分」をテーマに放送業界の現状や高校生へのアドバイスを行なった。
 また、ドイツ語担当のナディア・ウェルホイザー講師は、「ドイツの高校生と日本の高校生」と題し、両者を比較、世界的視野をもつエコノミストを目指すためのヒントを提供した。
 一方、クイズ大会は、経済学の基本的知識をはじめさまざまな問題が出され大いに盛り上がり、団体賞は奈良県立高田高校、個人賞に京都成章高校の橋谷雅之君が選ばれ、それぞれにトロフィーが授与された。
 これに続いて設けられた質問コーナーでは、高校生たちが日頃から抱いている素朴な疑問から、今後の消費税のゆくえなどの質問が出され、本学部教員がパネル・ディスカッション形式でこれに答えた。
 講座を体験した高校生たちは、「非常に面白かった」「経済学への興味と親近感がわき、今後の進路を決めるのに大きな助けとなった」と満足げに語った。
経営学部
龍谷大学卒業生・修了生対象に 経営学研究科ビジネス・コースで優遇制度を導入
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講義終了後、西川清之教授を囲んでの意見交換会
 経営学研究科ビジネス・コースは1994年度開設以来、今年度で10年の佳節を迎える。社会の第一線で働く人々に対して、自己を再点検し、自己の能力を再開発する機会を提供するこを目的に開設し、これまで多くの修了生を輩出してきた。
 この間、社会人にとって学びやすい場を提供するため試行錯誤を重ね、2003年度には平日夜間・土曜日昼間に加え、日曜日の昼間にも科目を配置。土曜日の開講科目を増やすなど科目選択にも幅を持たせた。また講義面では、学外からより多くの専門研究者や経験豊富な実務家を迎え、最新の実践系科目を導入するなど教学改革も進めてきた。なお、本学出身者(学部・大学院)に対しては、入学金を免除し、入学試験は小論文と面接にするなど優遇制度を設けた。これは卒業生が再び母校で学ぶきっかけになればと配慮したものである。
 日々進歩する技術革新の中で、ビジネスパーソンにとってリカレント教育、そしてスキル・アップの必要性は高まる一方である。経営学研究科ビジネス・コースでは「社会人のニーズにマッチした教育」を常に心掛け、龍谷大学卒業生・修了生をはじめ、より多くの社会人へ学習機会を広げ、新たなビジネス・コースとして展開していく。
 
新学部長が決まりました。任期は2004年4月1日から2年です。
 
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西垣泰幸教授
21世紀の経済・社会を担う人材を
 世界と日本の経済は、今大きな転換点に立たされている。「繁栄と所得の増大を最優先の課題としてきた20世紀の経済システムへの反省から、環境や資源、国際的な調和に配慮した『持続可能な経済発展』は今や世界的なキーワードとなり、多くの国々は21世紀の新しい経済・社会システムの確立を目指し、さまざまな改革を行なおうとしている。その糸口として、経済学への期待はますます高まってきている」と話す。
 1994年に着任。現在はREC副センター長や評議員を務める。専門分野は公共経済学。市場経済における政府の役割や政策を経済学的な観点から分析。環境政策、地方分権、公共投資と社会資本、公的年金、租税や財政赤字などを中心に研究している。また、京都府や京都市の環境政策や税制を検討する委員会のメンバーでもある。
 「経済学部は、経済・社会を理解しさまざまな政策を考えるための基礎理論である経済学の体系を軸として、情報、語学、問題解決・政策提案、フィールド調査など、21世紀の経済・社会において活躍するための能力を涵養することを教育の目的に、時代に対応したさまざまな改革に取り組む」と意気込みを語る。
 
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石田徹教授
捲土重来、そして新たな発展へ
 1979年に着任以来25年、教務主任や研究科長を歴任。学内でも教学部長の役職にあったなど法学部のみならず大学全体の教学に携わった経歴を持つ。
 専門分野は政治学。日本を中心にしながら福祉国家の国際比較や少子高齢社会に向けての公共政策について研究。日本公共政策学会などに所属し、理事や年報委員長、企画委員長を務めるなど学外での活動も精力的に行なってきた。
 「法学部は、学部全体としては幅広い教養を持った人材を養成することを目的としている。また専門の導入教育ではまず『法学とは何か』『政治学とは何か』の基礎・基本をきちんと学んでもらうことが大事。同時に大学院とも連携しながらより専門的に学修したい学生の要望にも応えるカリキュラムも用意する。また、経済学研究科と共同で開講したNPO・地方行政研究コースも拡充していきたい」と大学院も視野に入れた段階的・一体的な教育の重要性を指摘する。
 就任にあたり「大学をめぐる環境はますます厳しくなり、財政も逼迫していくのは必至。そういう時代において法学部“らしさ”はどこにあるべきなのか、それを追求していきたい。そして、昨年の法科大学院不認可の結果を真摯に受けとめ、2005年度の開設に向けて更に検討を重ね、最善の努力をしたい」と抱負を語る。
 
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須藤護教授
心豊かな国際人の育成を目指す
 1996年4月に国際文化学部を開設して以来、学部内の主要な委員を歴任し、カリキュラム改革、大学院設置、博物館学芸員課程の開講など本学部の発展に大きく貢献。また最近では、学部将来構想委員会委員長を務め、開設から8年間かけて構築してきた学部の基礎理念を踏まえながら、学部の将来像を検討してきた。
 専門分野は日本と東アジアの民俗学。現在は琵琶湖周辺で行なわれている近江地方の伝統行事と祭祀組織の研究と、中国雲南地方の少数民族の研究を中心に据えている。
 就任にあたり、「国際文化学部の方針は、異文化理解能力と異文化コミュニケーション能力を身につけた学生を社会に送り出すことだが、まだまだ学部の特性を生かす余地はいくらでもある。今後は基礎学力の向上に力を入れ、それを基盤にして国際文化関係の専門家が育つような教育環境を、また学問の楽しさや面白さを学生と共有できるような環境を作っていきたい」と抱負を語る。
 今後は、国際文化を多角的視点から研究・教育を行ない、物事を広く国際的・文化的に捉え、考察できる人材の育成を目指す。同時に、実用的な英語能力と文化に関する知識を習得するPEC(プロフェッショナル英語コース)の充実や、外国人留学生が日本人学生と共に、英語及びバイリンガルによる講義を受けるJAS(Japanese and Asian Studies Program)の開設に力を注いでいく。