■優秀賞
教室にヘッセの詩集五月来ぬ
茨城県 梅田 恭平 茨城県立下館第一高等学校3年
【評】『デミアン』、『車輪の下』のヘッセには、青春の憂愁がある。その抒情詩集を教室で開く。五月が窓の内外に来ている。若者らしい句。(有馬朗人)
星飛んで校塔一基直立す
茨城県 北嶋 訓子 茨城県立下館第一高等学校1年
【評】直立の校塔、流れる星。強く明確な構図の一句である。夜の暗さの中、ふいに星が飛んでいく。黒々と佇つ校塔は、その後の静けさと夜の闇の深さを伝えてくる。(寺井谷子)
放課後のトランペットや夏に入る
大阪府 塩谷 紘世 大阪府立吹田東高等学校2年
【評】これまでは消音器をつけて教室で練習していたのであろう。空も雲も明るくなった緑の木陰に誘われて、放課後のひと時、思い切りトランペットを吹いている。「夏に入る」という季語が生きている。(茨木和生) |