龍谷 2006 No.61

Ryukoku view


ビジネスプランコンテスト「プレゼン龍」を開催
グランプリは「結婚式のプレゼント」
結果発表後の集合写真
結果発表後の集合写真。前列左3人目から皆川さん、坂宗さん、栗村さん
 学生の起業アイデアを発掘するビジネスプランコンテスト「プレゼン龍」が昨年12月10日、深草学舎で行なわれた。
 この催しは、龍谷エクステンションセンターが学生の起業家精神の育成や大学発ベンチャー企業の創出を目的に2001年度から毎年開催しており、5回目となる今回は35組が応募。第1次、第2次審査を通過した8組が専門審査員や一般審査員ら約400名を前に、独自のビジネスプランをプレゼンテーション形式でアピールした。
 今回グランプリに輝いたのは、社会学部コミュニティマネジメント学科2年生の皆川純子さん(大阪市立高校出身)、栗村亜希子さん(大阪府立住吉高校出身)、坂宗良美さん(滋賀県立甲西高校出身)のチーム「KASHI☆MASHI」が提案した「結婚式のプレゼント」。結婚式を挙げられなかった2人のために、友人や親族が結婚式を企画し、2人にプレゼントするというウエディングサービスだ。
 代表者を務めた皆川さんは「自分1人や、メンバーだけの力ではなしえなかった。ゼミ(東田晋三教授)の仲間が応援してくれたおかげです」と述べると、メンバーは涙を浮かべ、喜びを分かち合っていた。
 準グランプリには、田舎暮らしを体験できる宿泊施設やサービスの提供を考えたチーム「エココロ」の「田舎暮らし仲介業『日暮しの里』」。優秀賞には、良質な事故現状車を再生、販売するチーム「178MOTORING」の「事故現状車販売専門店」がそれぞれ選ばれた。



朝日・大学パートナーズシンポジウム
「人をつなぐ 未来をひらく 大学の森」を開催
龍谷大学の会場
金沢大学と中継した龍谷大学の会場には約250人が詰めかけた
 龍谷大学、金沢大学、朝日新聞大阪本社が共催した朝日・大学パートナーズシンポジウム「人をつなぐ 未来をひらく 大学の森−里山を『いま』に生かす−」が昨年12月17日、龍谷大学深草学舎と金沢大学角間キャンパスをテレビ会議システムで結んで開催された。
 身近な自然であり、人々の生活にも深くかかわってきた里山について考えようと開かれたこのシンポジウムでは、京都大学名誉教授で森林文化に詳しい河合雅雄氏が「森あそびのすすめ」と題して基調講演を行ない、「子どもたちが遊ぶ環境は、テレビゲームなど人工化している。子どもが自然離れする前に、大人が子どもに自然を返す努力が必要だ」と提言。その後、里山を持つ両大学の取り組みについて事例報告があった。
 龍谷大学では、2004年度に文部科学省の私立大学学術研究高度化推進事業に採択された「里山学・地域共生学オープン・リサーチ・センター」を中心に、里山をめぐる人間と自然の共生に関する総合研究を推進し、生態系保全と環境教育のための里山モデルの構築を目指している。現在は、教員や学生のほか市民グループや子どもたちが中心となり、瀬田学舎に隣接する里山「龍谷の森」の保全活動をとおして自然の大切さを学んでいる。
 「森のある大学:市民と大学人が作る共生きの森」と題して報告を行なった江南和幸・理工学部教授は「『龍谷の森』で子どもたちに木を切ることで森が再生するということを知ってもらった。森にはコンピューターゲームにない知の冒険と命の発見がある。森がつくる癒しの力の研究は始まったばかりだが、高齢化社会の真っ只中にある日本の救世主となるだろう」と新たな研究の可能性を語った。



第17回新春技術講演会
「科学技術の『未来への贈り物』」開催
的川氏
「匠の心で冒険心を失わずに取り組んでほしい」と訴える的川氏
 新年恒例となった新春技術講演会(科学技術共同研究センター・龍谷エクステンションセンター主催)が1月11日、大津プリンスホテルで開かれた。
 産官学の連携強化を目的に、1990年から毎年この時期に行なっている講演会も今年で17回目。会場には研究者や技術者、経営者ら約400名が集い、最新の技術動向、技術政策、研究トピックスを紹介する講師の話に耳を傾けた。
 基調講演に立ったのは宇宙航空研究開発機構(JAXA)執行役で宇宙科学研究本部対外協力室長で教授の的川泰宣氏。「ペンシルから50年…日本の宇宙開発の過去・未来」と題した講演で、日本の宇宙開発の幕開けとなるペンシルロケットの水平発射実験のエピソードなどを交えて宇宙開発の展望について語った。
 その後、中沖隆彦・理工学部教授が「環境調和型プラスチック材料の開発と今後の課題」、村田正・理工学部教授が「無線通信に関する最近の話題」と題し、それぞれの研究成果を発表した。
 講演の合間には、理工学部の研究成果をパネルでも紹介し、併せて、技術相談や経営相談も実施するなど、企業や行政と大学間で相互の情報交換・意見交換が行なわれた。



「山越阿弥陀図・祇園精舎無常院」を
ミニチュア模型で再現
「祇園精舎無常院」
再現された「祇園精舎無常院」。中央奥に置かれているのが「山越阿弥陀図」
 人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センターは、中世の日本人がどのように死を迎えていたかを知ってもらおうと、平安から鎌倉時代にかけての終末期ケアの様子を再現した「山越阿弥陀図・祇園精舎無常院」のミニチュア作品を作製し、1月12日から2月10日まで「いのちへの慈愛 宮沢賢治・民家の世界」(本誌13頁参照)で特別公開した。
 作品は、浄土宗西山禅林寺派総本山・永観堂禅林寺(京都市左京区)の全面協力のもと、同寺が所蔵する国宝「山越阿弥陀図」を精密に写真印刷し、ミニチュア造形作家の小幡耕一氏や人形作家の津田玲子氏ら4人と2年がかりで仕上げた。作品は高さ85cm×横150cm×奥行き102cmで、実際の4分の1の大きさ。再現には、副センター長の鍋島直樹・法学部教授(真宗学)が、平安時代中期の天台宗僧侶・源信が著した『往生要集』にある「無常院」の記述を参考にした。
 「無常院」とは、死期が迫った病人が人生を振り返り、阿弥陀如来の来迎を一心に願う施設で、鎌倉時代には多くの寺院で設けられていたという。作品には「山越阿弥陀図」が安置され、阿弥陀の両手から垂らされた人間の五感を意味する五色の糸を握る病床人とそれを看取る僧侶を配置。阿弥陀の眉間にある白毫にはLED(発光ダイオード)が使われ、薄れ行く意識の中でもその光で阿弥陀に導かれる世界を表現している。
 作品を監修した鍋島教授は「家族より医療機器に囲まれて死を迎えることが多くなった現代人に、心の絆の大切さを考えてほしい」と話す。
 センターでは5月に「死を超えた願い−アフガニスタンの仏像・無常院ミニチュア再現」(仮題)を開催し、2003年に原寸大で屏風に仕立てた「山越阿弥陀図」と併せて展示する予定。




←トップページへ戻る