龍谷 2006 No.62
青春クローズアップ フィギュアスケートの選手から審判員に龍大でさらにステップアップをめざす

文学部英語英米文学科3年生 山井真美子やまいまみこさん

Figure Skating

山井真美子さん
本学ホームページ「龍谷人紹介」Vol.7で山井さんを紹介。
http://www.ryukoku.ac.jp/ryukokubito/index.html
審判員、国体監督、学生と3役をこなす日々
 氷上の花、フィギュアスケート。スポットライトを浴びて舞い滑る選手の周囲には、目に見えない多くの人々のサポートがある。
 選手から審判員へ。つまり、支えられる側からスケート界全体を支える側へと転身したのが山井真美子さん。2001年、龍大短期大学部を卒業と同時に日本スケート連盟の審判員に登録。広告代理店に勤務しながら、審判員としての経験と実績を重ねてきた。そして今春、母校の龍大文学部へ編入学。さらに自らのステップアップをめざす。
 「荒川静香選手が金メダルを取り、日本人でも世界のトップに立つことができました。審判員という道を選んだ私も最高峰の知識や情報を持つ人でありたい」と目を輝かせる。
 ズバリ、目標は国際審判員だ。現在、国内の審判員は約700人。そのうちISU(国際スケート連盟)が認める日本人の国際審判員はわずか30人ほど。審判員には6段階のレベルがあり、1つのレベルで3〜6年間ジャッジの経験が必要。さらに筆記試験や全日本大会での実地試験「トライアルジャッジ」を経て進級できるという厳しいもの。
 現在、山井さんは3段階目。今シーズンは4段階目のA級昇格試験に挑戦予定。同時に今年度は全日本大会の予選である近畿ブロック大会、第62回冬季国体予選会の審査などを担当する予定である。同レベルの審判員の中で、25歳という年齢はかなり若い方だ。
 「引退した選手は、アイスショーなどのプロスケーターやコーチになる人が多く、私の世代には審判員が少ないことも選択の理由でした」
 今年、全国の審判員の中から24人が日本スケート連盟強化スタッフの一員に選出されたが、山井さんもその1人。さらにシーズンが始まると兵庫県国体代表監督という顔も持つ。選手たちを直接指導するほか、マネージャーのような裏方仕事もこなす。
 「本当に多くの人たちに支えられて選手を続けてきたのだと今は痛感しています」

恩師の長光さんと
恩師の長光さんと

スケート連盟の役員として審判員の仕事だけでなく、氷上で自ら実演しながら指導することも
スケート連盟の役員として審判員の仕事だけでなく、氷上で自ら実演しながら指導することも

授業の合間、様々な国から来た外国人留学生たちと。
授業の合間、様々な国から来た外国人留学生たちと。
「一緒に授業を受ける留学生がいい刺激になります」と山井さん
母のように慕うコーチと一緒に
 山井さんは何ごとにもベストを尽くす頑張り屋さんだ。短大時代は全日本学生選手権9位、関西インカレ2位という成績を残すほど、スケートの練習に励みながらも、4年制並みの120単位を取得したことでも分かる。
 「とことんまで頑張りすぎて、選手時代はケガだらけ。就職してからも仕事のしすぎで体をこわしました」と苦笑しながら、「龍大では大勢の留学生がハードな生活を送っています。3ヵ国語、4ヵ国語を話せる人も多い。留学生と比べると私はまだまだ」ときっぱり。
 実は、今回の取材には山井さんの育ての親でもあるコーチ、長光歌子さんも同席していただいた。長光さんは元全日本ジュニアチャンピオンでJOCの強化スタッフ。そしてトリノオリンピック日本代表の高橋大輔選手の専任コーチでもある。山井さんと高橋選手はきょうだい弟子≠セったそうだ。
 「龍大で頑張っているのを見ていると、真美子らしいなと思いますね。自分が輝ける場所をとことん探して編入学したのでしょう。彼女は正義感が強く公平な人。何ごとも強烈な好奇心を持って臨むので、きっと素晴らしい審判員になってくれるはず」と期待を寄せる。
 踊りが上手で表現力がずば抜けていた山井さんをお手本に、高橋選手は「踊ることが恥ずかしくなくなった」と飛躍を遂げたそうだ。
 高校卒業後、龍大に進学したのも長光さんの教え子の多くが龍大に在籍していたことが理由だとか。
 「仕事で忙しい母親に代わって色々なことを支援していただいた。今の私があるのは先生のお陰」と山井さんは全幅の信頼を寄せる。こちらの質問の答えに迷った時に、長光さんの方を見る山井さんの表情は、中学生に戻ったようで可愛らしい。

交換留学でスケートのすべてを学びたい
 この春は、龍大の保護者会である「親和会」の奨学金を得て、1ヵ月間アメリカへ研修留学を果たした。
 「各地のスケートリンクを訪ねてインタビューしたり、リンクの上に立ったり。ますます国際審判員への夢が強くなりました。アメリカでは一つのスケート場にリンクが4面もあり、様々なトレーニング施設も充実していて、日本とは環境がまるで違っていましたね」と振り返る。
 現在は英語関連科目を中心に、コミュニケーションスキルを磨くための講義を集中的に受けている。
 「入学してから、私には知識が足りないこと、学びたいことがたくさんあることを感じました。来年度は交換留学生としてアメリカへ行きたい」と今は選考に備える毎日。
 「国際審判員になるために語学力や素養を身に付けるのはもちろんですが、スケートに関する事を全部学びたい。そして身に付けたことを日本のスケート界に生かしたい。将来はアメリカと日本の橋渡しになれればいいな」
 龍大という学びのリンクで、山井さんの夢はますます広がっていく。

←トップページへ戻る