龍谷 2006 No.62
RYUKOKU VIEW


「インターンシップ支援オフィス」を開設し、龍谷大学独自の「協定型インターンシップ」始まる

RUBeCが開設された浄土真宗センターの外観
RUBeCが開設された浄土真宗センターの外観
 キャリア開発部は4月から、インターンシップに関する学内外の総合窓口の強化を図るため「インターンシップ支援オフィス」を開設し、学生相談や各企業とのネットワーク構築を進めている。
 インターンシップ支援オフィスでは、従来からのインターンシップ制度に加え、各企業との連携を強めた「協定型インターンシップ」を今年度から導入。協定型インターンシップは、ゼミ形式による実習先・業界職種研究やグループディスカッションを通してインターンシップ参加の動機付けを明確化するとともに、問題発見や仮説の構築能力を養成するねらいがある。
 6月24日には事前授業が行なわれ、実習生50名が出席。夏休み期間を利用して行なわれる実習に備え、学生らはビジネスマナーの習得やリスクマネジメントの理解を深めた。また、「龍谷大学の建学の精神」と題して講演を行なった神子上惠群学長は「本学の学生として誇りを持ってインターンシップに参加してほしい」と呼びかけた。

西本願寺・宗祖降誕祭で平安学園吹奏楽部と祝賀演奏会

西本願寺前から堀川通りを行進するバトン・チア「SPIRITS」
西本願寺前から堀川通りを行進するバトン・チア「SPIRITS」
 宗祖親鸞聖人の誕生日を祝う「降誕会」が開かれた西本願寺で5月20日、龍谷大学吹奏楽部とバトン・チア「SPIRITS(スピリッツ)」が平安学園吹奏楽部と合同で祝賀演奏会を行なった。
 この祝賀演奏会は、降誕会を若い力で盛り上げてもらおうと西本願寺の宗門校である本学と平安学園とが協力し、今年初めて実施した。
 本学吹奏楽部と平安学園吹奏楽部は阿弥陀堂前でロックンロールメドレーやアニメソングなどを演奏。その後、スピリッツを加えてJR京都駅までパレードをすると、沿道から大きな拍手を浴びていた。
 場所を京都駅内室町小路広場に移した演奏会場には、本学卒業生で落語家の林家染二さんが司会で登場。ここでも両校の吹奏楽部約100名による迫力ある演奏とチアによる華やかな演技が披露され、会場の子ども連れや観光客らは手拍子を送るなど休日のひとときを楽しんでいた。

海外拠点「RUBeC」が米・バークレーに開校 充実した留学プログラムを展開

ビジネスマナー講習で学生同士がお辞儀の角度を確認
ビジネスマナー講習で学生同士がお辞儀の角度を確認
 龍谷大学は、教育・研究の海外拠点として、アメリカ・カリフォルニア州バークレーに「Ryukoku Uni-versity Berkeley Center(RUBeC〈ルーベック〉)」を8月に開設し、英語学習やボランティアなどを組み合わせた独自の留学プログラムを開始している。
 このプログラムは、コミュニケーションを通した英語能力の向上とともに、多民族文化が共存するアメリカ社会での現場体験を通じ、広い視野と柔軟な発想を学ぶことが目的。
 早速、ボランティアワークに参加した学生らは、アメリカの小・中学校での実習や、高齢者の方々に日本文化を伝えたりデモンストレーションをするなど、コミュニティ活動を通じてアメリカ社会を体感した。
 「RUBeC」には龍谷大学のスタッフが常駐しており、個別相談など留学サポート体制も万全。奨学金制度や留学費用の手頃さが評判で、5週間プログラム(8/13〜9/22)には定員を上回る29名の学生が参加。1学期間プログラム(9/25〜2/11)には39名が参加する予定だ。

「アジア文化の伝承と発信」を統一テーマに大宮図書館改修記念行事を開催

「所蔵稀書と図書館歴史資料」展の陳列品の珍しさに食い入るように眺める来館者
「所蔵稀書と図書館歴史資料」展の陳列品の珍しさに食い入るように眺める来館者
 大宮図書館が今年1月、リニューアルオープンをしたのを記念して、「アジア文化の伝承と発信」を統一テーマにした大宮図書館改修記念講演会や特別展観などが開催された。
 5月19日に行なわれた記念講演会では、本学と姉妹友好関係を締結している中国・大連図書館の張本義館長が「大連図書館とその蔵書」と題して講演。大連図書館の概要や西本願寺第22代宗主・大谷光瑞師が寄贈した「大谷文庫」など大連図書館が所蔵する貴重資料について解説した。
 引き続き、岡田至弘・理工学部教授による「龍谷大学デジタルアーカイブの発展―コンテンツ管理からコンテンツアクセスへ」の講演では、龍谷大学デジタルアーカイブ研究センターが中国・トルファンにあるベゼクリク石窟寺院の壁画を復元した制作過程の話や、現在進めている故黒澤明監督の作品に関する貴重な資料などをデジタル化する「黒澤アーカイブ」の取り組みを紹介した。
 また、5月18日から31日まで開催された特別展観「所蔵稀書と図書館歴史資料」では、第3次大谷探検隊員の藤谷晃道氏(1886―1976)がインドで収集した仏像などを初公開。その他、本学が所蔵する国宝『類聚古集』(最初に万葉集を分類・編集した孤本)をはじめ『平家物語』『源氏物語絵巻』『解体新書』などに中国・大連図書館が所蔵する貴重資料を加えた計65点を出展。期間中に訪れた約1700名の来場者の目を楽しませた。

パキスタン出土仏頭や九条武士典籍など初公開 「死を越えた願い−黄金の言葉」を開催

今回特別に展示された仏陀頭部(パキスタン・タラベル
今回特別に展示された仏陀頭部(パキスタン・タラベル
出土A.D.3〜4)について説明する鍋島教授
 人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センターは6月12日から8月4日の間、深草学舎至心館の研究展示館パドマで「死を超えた願い―黄金の言葉」展を開催し、日本初公開となるパキスタン出土の仏頭などを展示した。
 この展示会は、釈尊や親鸞聖人への信仰や、九条武子、石見の才市ら念仏者たちが残した言葉を通して、自分自身の死あるいは愛する人との死別の悲しみをいかに受け止めればよいのかを学べるよう鍋島直樹・法学部教授(真宗学)が企画した。
 展示品には、中世の日本人がどのように死を迎えたかを立体的に現した国宝「山越阿弥陀図」(永観堂禅林寺所蔵)の原寸大復元屏風や「山越阿弥陀図と無常院ミニチュア」(「龍谷」61号で紹介)が並べられたほか、九条武子が記した典籍も初公開された。
 さらに、ガンダーラ美術を専門に扱う歐亞美術(東京都)の協力を得て、アフガニスタンやガンダーラ地方の仏教遺跡で出土した仏陀頭部や仏陀涅槃図など日本で初公開となる石仏8点を特別に展示。来館者は1700年の時を超えた今も温かさと安らぎを与えてくれる仏頭の表情に見とれていた。
 会期中には、幼くして両手両足を失いながらもたくましく生きた中村久子の波瀾万丈な生涯を知ってもらおうと、中村久子女史顕彰会代表の三島多聞氏による講演も行なわれ、会場に訪れた約500人が、逆境を生き抜く中で彼女が残した短歌「手はなくも 足はなくとも み佛の そでにくるまる 身は安きかな」の意味をかみしめていた。
 鍋島教授は「展示品や先人たちが残した黄金の言葉から、仏の慈愛に抱かれた命のかけがえのなさに気づいてもらえたのでは」と話す。



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