龍谷 2006 No.62
BOOKS 新刊紹介

出版助成  

『源氏物語と物語社会』
安藤徹(文学部助教授)著

 物語内社会と物語外社会という二つの「物語社会」を節合し、諸言説を相対化しつつ、『源氏物語』の現実感がいかにして達成されるのかを分析し、さらにこの物語の〈求心力〉と〈遠心力〉とを測定する。〈うわさ〉やメディア、読みの歴史といった視座から、「物語学」の新たな助奏としての「物語社会学」を構想しようとする試みである。
2006年2月刊/459頁/森話社/6930円
『源氏物語と物語社会』



『刑事訴訟における事実観』
豊崎七絵(法学部助教授)著

 「刑事訴訟における事実をいかに把握すべきか」という事実観の問題について論じた研究書。従来の二項対立的事実観(絶対的真実と相対的・制約的な訴訟的事実とを想定する思考枠組み)が無辜の不処罰を合理化することを批判的に検討した上で、この事実観に替わる新たな事実観、すなわち被告人の公正な裁判を受ける権利を保障し得る規範的・構成的事実観を提起する。
2006年2月刊/480頁/日本評論社/7350円
『刑事訴訟における事実観』



『国際エネルギー・レジーム』
松井賢一(国際文化学部教授)著

 本書は国際レジーム論を適用して、国際石油市場、核不拡散・原子力発電、地球温暖化、電力市場自由化の問題を包括的に分析するとともに、レジームに組み込まれる事例として戦後の日本のエネルギー政策を取り上げ、海外要因との関係で論じている。分析の視点として知識という要因を中心に据えている。
2006年2月刊/267頁/エネルギーフォーラム
/3150円
『国際エネルギー・レジーム』



『イタリア不動産法の研究』
岡本詔治(法科大学院教授)著

 本書の課題はイタリア不動産所有権の構造的特質と機能を明らかにすることである。第T部では、近代的土地所有権の成立経緯及び近代以降の都市的土地所有権の歴史的推移をフォローして、土地所有制度の現代的な課題を論究している。第U部では、所有権の取得時効制度と不動産登記制度の特質を具体的に明らかにしている。
2006年2月刊/329頁/晃洋書房/5040円
『イタリア不動産法の研究』



『都市テクスト論序説』
田口律男(経済学部助教授)著

 「都市」とは私たちの身体が世界の諸物と出会う場所なのかもしれない。とすれば文学テクストには、「都市」のダイナミクスがぎっしり詰めこまれているはずである。この本は、志賀直哉、芥川龍之介、江戸川乱歩、古井由吉、横光利一、夏目漱石、霜多正次、目取真俊などのテクストを追いながら、文学テクストに刻印された「都市」のダイナミクスを吟味しつつ、日本近代文学の代表的なテクストを多角的に読みかえたものである。
2006年2月刊/472頁/松籟社/2940円
『都市テクスト論序説』

共同研究活動  

人間・科学・宗教オープンリサーチセンター研究叢書第2巻
『仏教生命観の流れ―縁起と慈悲』
鍋島直樹(法学部教授)・長上深雪(社会学部教授)・嵩満也(国際文化学部教授)編
 この書では、仏教生命観の縁起と慈悲が、釈尊から、大乗仏教、華厳思想、唯識思想、浄土教、特に親鸞にどのように展開しているかを解明した。また、現代世界の科学と宗教の相互関係、仏教社会福祉と仏教生命観の関係、仏教生命観からみた環境問題についても考察している。
2006年6月刊/245頁/法蔵館/3780円
人間・科学・宗教オープンリサーチセンター研究叢書第2巻『仏教生命観の流れ―縁起と慈悲』



龍谷大学矯正・保護研究センター叢書第4巻  
『犯罪統計入門 ―犯罪を科学する方法』
浜井浩一(法科大学院教授)編
 近時マスメディアで伝えられる「治安悪化」。しかし、治安は本当に悪化しているのだろうか。すべての政策の根拠として統計が用いられるように、治安にかかわる政策も犯罪統計の分析なしには行なうことはできない。本書は、「犯罪白書」執筆経験者である共著者を中心に編まれた、犯罪統計と犯罪学入門の決定版である。
2006年1月刊/280頁/日本評論社/2940円
龍谷大学矯正・保護研究センター叢書第4巻 『犯罪統計入門 ―犯罪を科学する方法』



龍谷大学社会科学研究所叢書第71巻
『ネットワーク・イノベーションとマーケティング』
佐藤研司(経営学部教授)編
 通信や情報処理に関連する技術革新は目を見張るものがある。企業間における取引においても、対消費者との関係においても、前提となる「情報」という道標が重要な役割を果たしている。生産と消費を結びつける役割を担うマーケティングという視点で、ネットワーク化された社会の検証を試みる。
2006年3月刊/164頁/晃洋書房/2100円
龍谷大学社会科学研究所叢書第71巻『ネットワーク・イノベーションとマーケティング』



龍谷大学社会科学研究所叢書第68巻 
『コモンズ論再考』
鈴木龍也(法学部教授)・富野暉一郎(法学部教授)編
 人間社会本来の共同性を破壊し、暴走する現在の社会システム。その抑止の論理、対抗の論理として「コモンズ」が注目を集めている。しかし、「コモンズ」は真に我々の希望の星なのであろうか。「コモンズ論」は社会科学的な検証に耐え得る理論なのであろうか。本書は多様に展開される「コモンズ論」について、「公・共・私」の再構築という視点から再検討する。
2006年3月刊/269頁/晃洋書房/3045円
龍谷大学社会科学研究所叢書第68巻 『コモンズ論再考』



龍谷大学社会科学研究所叢書第67巻
『持続的変革をめざして―経営品質向上プログラムのすすめ―』
大西謙(経営学部教授)編著
 「経営品質向上プログラムをどのように有効に使えば企業の持続的変革に結びつくのか?」をねらいに、経営品質向上プログラムの根底をなしている考え方を検討するとともに、その有効性について読者が考える際のヒントを提供しようと試みた。社研指定研究(2002〜2004年度)の11人による成果である。
2006年3月刊/248頁/晃洋書房/3045円
龍谷大学社会科学研究所叢書第67巻『持続的変革をめざして―経営品質向上プログラムのすすめ―』



龍谷大学社会科学研究所叢書第66巻
『21世紀の企業経営』
夏目啓二(経営学部教授)編著
 日本とアメリカで企業不祥事が相次いでいる。企業のガバナンスや企業倫理、企業と社会の在り方が問われている。この日米の企業不祥事は、IT革命とグローバリゼーションの結果であった。本書の関心は、まさにこの同じ時代にあり、この時代の企業経営の在り方にある。本書は、龍谷大学社会科学研究所の共同研究の成果である。
2006年3月刊/271頁/日本評論社/3675円
龍谷大学社会科学研究所叢書第66巻 『21世紀の企業経営』



龍谷大学社会科学研究所叢書第65巻
『アフリカ国家を再考する』
川端正久(法学部教授)・落合雄彦(法学部教授)編
 アフリカ諸国が独立を達成して半世紀、岐路に立つアフリカ国家が内外で再考されている。現代アフリカ政治経済研究の先端をいく内外の研究者による国際共同研究の成果、現代アフリカ国家論集である。20世紀のアフリカ国家の過去が総括され、世紀転換期のアフリカ国家の現在が分析され、21世紀のアフリカ国家の創造が展望されている。
2006年3月刊/389頁/晃洋書房/5040円
龍谷大学社会科学研究所叢書第65巻『アフリカ国家を再考する』



龍谷大学仏教文化研究叢書14
『反省(會)雜誌U』
福嶋寛隆(文学部名誉教授)・藤原正信(文学部助教授)・中川洋子(元非常勤講師)編
 『中央公論』の前身誌である『反省會雜誌』(『反省雜誌』)の翻刻。社説・論説を収録した既刊(T)に続き、論説・特別寄書・史論などを収めた史料集。仏教改革に尽した古河老川やチベット探検の能海寛をはじめ、新進気鋭が健筆をふるったが、島地黙雷・赤松連城ら宿老の演説も掲載。また、加藤弘之(前帝大総長)・井上哲次郎(哲学者)・沢柳政太郎(文部官僚)・田岡嶺雲(文芸批評家)・喜田貞吉(歴史家)・姉崎正治(宗教学者)なども執筆。
2006年3月刊/604頁/永田文昌堂/17000円
龍谷大学仏教文化研究叢書14『反省(會)雜誌U』

「龍谷」出版情報  

『チャイナハンズ』
西倉一喜(法学部教授)訳
 米国きっての中国通が、CIA要員から駐中国大使までの経歴を通じて中国との取り組みを描いた回顧録。複雑な米中関係の実相を知るための必読書。
2006年4月刊/382頁/草思社/2625円



『小泉「構造改革」と自律の地域づくり〜持続可能な滋賀を求めて〜』
高橋進(法学部教授)共著
 市町村合併などの自治体再編の動向と自治体リストラ、その中での滋賀県政と滋賀の経済・福祉・教育の状況を分析し、持続可能な滋賀と今後の自治の在り方を提起。
2006年3月刊/187頁/滋賀自治体問題研究所/1000円



『労働法2[第5版]』
萬井隆令(法科大学院教授)編
 労働者保護法のテキスト。判例の層開や法改正を踏まえて改訂した。
2006年1月刊/342頁/法律文化社/3570円



『材料開発のための顕微鏡法と応用写真集』
中野裕美(理工学部実験講師)共著
 顕微鏡を用いた材料解析手法及び写真集から成っている。最先端材料の解析例が写真付きで説明されている。
2006年3月刊/272頁/丸善/10500円



『希土類の機能と応用』
中野裕美(理工学部実験講師)共著
 原料から材料まで、希土類に関する材料で今注目されているトピックスが書かれている。
2006年1月刊/365頁/シーエムシー出版/68250円



Japan,s Diversity Dilemmas
李洙任(経営学部教授)編
 日本社会の外国籍居住者の受け入れ体制が社会、経済的要因によって大きく影響を受けながら変化してきたことを指摘し、入管法などの外国籍居住者の法的地位の変化、年金等の社会福祉制度における諸問題、そして教育、政治における共生の模索などをテーマに学際的に考察した論集。
2006年1月刊/276頁/Iuniverse/5784円



『新版パブリック・アクセスを学ぶ人のために』
松浦さと子(経済学部助教授)共著
 世界の人々が手にしている放送を市民が使うシステム。私たちがメディアの担い手になる社会創造のためのパブリック・アクセス入門書。
2006年6月刊/328頁/世界思想社/1995円



『みらいに架ける社会学―情報・メディアを学ぶ人のために』
松浦さと子(経済学部助教授)共著
 社会の「関係性」を読み解き社会学の見方を解説する、メディア・情報を学ぶ人のための入門書。情報社会におけるNPOの役割についても考える。
2006年2月刊/246頁/ミネルヴァ書房/2730円



『近世国書板本の研究』
日下幸男(文学部教授)編著
 はしがき、影印(親鸞聖人善光寺如来告物語、京之水、和歌難波津、板本広告集成)、解題、日本撰述仏書の分類、研究室蔵書刊記集成(−)、あとがき。
2006年3月刊/395頁/龍谷大学文学部日下研究室/非売品



『ILOとジェンダー』
戸塚悦朗(法科大学院教授)著
  ILO(国際労働機関)の対日本勧告を手掛かりに、日本の男女賃金差別と性奴隷問題の国際的位相を明らかにするジェンダー問題を考える上で必読の書。
2006年3月刊/300頁/日本評論社/2940円



『宗教の祈り親鸞の願い』
高田信良(文学部教授)著
 〈宗教学〉の視座から、現代の〈宗教多元状況〉と〈日本人の宗教観〉の課題を問い直し、〈親鸞精神〉の普遍性を探究した宗教エッセー集。
2006年5月刊/167頁/法蔵館/1575円



『言外と言内の交流分野』
東森勲(文学部教授)共著
 小泉保博士の傘寿記念論文集で、日本語学、英語学、認知言語学、関連性理論、談話分析など、最新の研究者による興味深い論文を集めたものである。
2006年4月刊/624頁/大学書林/10500円



『親鸞読み解き事典』
林智康(文学部教授)共編者
 平成23年(2011)に親鸞聖人750回大遠忌を迎えるにあたり、親鸞聖人に関する事典を刊行。執筆者六人とも龍谷大学大学院出身で、画期的事典。
2006年4月刊/400頁/柏書房/3360円



『京都学の企て』
糸井通浩(文学部教授)編
 豊かな文化に満ちた京都、その自然、歴史・信仰・文学・伝承…そして京野菜まで、魅力的な特徴を掘り起こそうと試みた、知的探求の書。知恵の会編。
2006年5月刊/291頁/勉誠出版/2520円



『グローバリゼーション・新自由主義批判事典』
杉村昌昭(経営学部教授)訳
 フランスの著名な月刊新聞『ルモンド・ディプロマティック』の社主イグナシオ・ラモネが中心となって編集した画期的な事典の翻訳。世界が見える事典。
2006年7月刊/400頁/作品社/2940円



『働くということ―社長七人の大学講義』
吉村文成(国際文化学部教授)編
 滋賀の企業経営者ら10人によるリレー講義「現代社会と経営」の講義録。それぞれの生き方と経営哲学が、学生たちに大きな感動を与えた。
2006年4月刊/242頁/文理閣/1680円



『英日比較文法からはじめる大学基礎英語』
角岡賢一(経営学部教授)著
 大学生対象の英語教科書。日本語と英語の文法を比べながら実習する構成となっている。書き下ろしの文章題によって読解力も養う。
2006年4月刊/77頁/松柏社/1890円



『ことばは生きている―選択体系機能言語学序説』
角岡賢一(経営学部教授)共著
 選択体系機能言語学の入門書。理論全体を、メタ機能・教育への応用・テクスト生成などの観点から説明。筆者の担当は音調体系が具現する意味。
2006年5月刊/163頁/くろしお出版/2520円



『魔術師のたいこ』
荒牧和子(社会学部教授)訳
 フィンランド極北の地に暮らすサーメ人の民話を題材にしたファンタジー。極地の民族に固有の自然観と喜怒哀楽が情緒豊かに描かれている。
2006年6月刊/120頁/春風社/1575円



『多読で学ぶ英語』
荒牧和子(社会学部教授)訳
 日本の大学クラスに対応可能な「多読プログラム」実践方法が詳細で正確なリサーチと理論に基づいて解説されている。
2006年7月刊/272頁/松柏社/3150円



『06〜07フラットパネルディスプレイ製造プロセス技術&プロダクトデータ』
(CD―ROM付)
木村睦(理工学部助教授)共著
 次世代フラットパネルディスプレイとして注目されている薄膜トランジスタ有機ELディスプレイの駆動方法について、動作原理・特長・課題を説明する。
2006年6月刊/404頁/プレスジャーナル/42000円



『アジア市場のコンテキスト―受容のしくみと地域暗黙知―【東アジア編】』
川端基夫(経営学部教授)著
 「冬ソナ」はなぜ国境を越えたのか。東アジアの消費市場の謎を「地域暗黙知」という概念を用いて解読する。昨秋刊行の【東南アジア編】の続編。
2006年7月刊/300頁/新評社/2625円



『彼方への閃光』
國重游(本名 裕経営学部講師)著
 『連祷/静物』に続く二冊目の詩集。
2006年1月刊/62頁/書肆山田/2100円



『増補版・基礎コース憲法』
平野武(法学部教授)共著
 日本国憲法の基本原理を解説すると同時に具体的事件に触れながら現在生じている問題を紹介し、検討する入門書。旧著の判例・資料を増補している。
2006年4月刊/199頁/晃洋書房/2310円



『新・生活と法』
平野武(法学部教授)共著
 人が生活の中で出会う法律問題をやさしく解説する。社会状況の変化、法律の改正に対応して旧著を全面的に書き改めた。資料も最新のものにした。
2006年2月刊/160頁/法律文化社/1995円



Japanese Studies in Economic and Social History Series,Vol.2
佐々木淳(経済学部助教授)共著
 日本の社会経済史研究を海外に発信すべく社会経済史学会で編集された論文集の第2巻で、日本工業化における「伝統」の約割に焦点をあてている。
2006年5月刊/342頁



『中日関係出了什麼問題―中日関係にどんな問題が生じたのか―』
卓南生(国際文化学部教授)共著
卓南生(国際文化学部教授)共著
 本書は中国の代表的日本研究者・呉学文教授との対談録。内容は日中国交回復と戦争賠償、中国の日本ブーム、教科書問題、昨今の「政冷経熱」、日中関係の今後の展望、日中関係とアジア太平洋地域の平和など多岐にわたる。
2005年9月刊/196頁/北京大学出版社/23元



『卓南生日本時論文集』全3巻
卓南生(国際文化学部教授)共著
 1960年代から今日まで40年間にわたる日本に関する研究と論評の集大成。日本社会の諸方面と思潮の変化を考察した『日本社会』、日本政界の重大事件と歴代政権を論評した『日本政治』、日本の外交とりわけアジア外交を詳細に分析した『日本外交』の3巻からなる。
2006年3月刊/1685頁/中国知識出版社/118元

◆みんなの本棚◆

日本の遺跡7
『今城塚と三島古墳群
―摂津・淀川北岸の真の継体陵』
 高槻市教育委員会に所属し、「しろあと歴史館長」を務めながら徹底した地元郷土研究を行ない、摂津・淀川北岸の真の継体陵を明らかにする。
森田克行(1974年文学部卒業・高槻市教育委員会・大阪府高槻市)2006年2月刊/171頁/同成社/1890円
日本の遺跡7『今城塚と三島古墳群―摂津・淀川北岸の真の継体陵』



『聖護院
―大峰・葛城の行者―
 中淳志写真集』
 バーミヤン石窟群に壁画が残存していることを報告の後、2003年バーミヤン西方に仏教寺院を発見し、直後から修験道の本質を本書にて発表。
中淳志(1981年法学部卒業・写真家・京都府相楽郡)
2006年3月刊/87頁/東方出版/1890円
『聖護院―大峰・葛城の行者― 中淳志写真集』


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