龍谷 2007 No.63

龍谷大学に初の海外拠点が誕生!新たな留学のチャンスに

バークレーは、サンフランシスコから地下鉄で約20分の湾の対岸にある大学街。街づくりにおいても先進的な自治体として、注目されている。  2006年8月に、アメリカ・カリフォルニア州バークレーに開設した本学初の海外拠点 Ryukoku University Berkeley Cente 「RUBeC」。 このRUBeCを活用して展開される本学独自の留学プログラム  BIE Program (Berkeley Internship and English Program)は、新たな留学の機会として、学生に有意義なものとなっている。
バークレーは、サンフランシスコから地下鉄で約20分の湾の対岸にある大学街。街づくりにおいても先進的な自治体として、注目されている。

新しい形のプログラムで自分自身を再発見

 このプログラムは、現地でのボランティアなど、様々なコミュニケーションを通して英語能力の向上を図り、また、多民族国家であるアメリカ社会での体験を通して、広い視野と柔軟な発想を学ぶことを目的としている。奨学金制度や、留学費用のの一部を大学が支援していることも特長で、現地に協定校職員が常駐している安心感も魅力の一つ。昨年8月に実施した初めてのBIE(5-week summer)  Programに参加した加藤正樹さん(法学部2年生)と石井陽子さん(国際文化学部2年生)に、このプログラムの魅力や留学を通して得たもの、感じたことを聞いた。

――実際にプログラムに参加してみていかがでしたか?
加藤
 教室の外に出て行く授業が多く、現地の人に英語でインタビューをしたり、社会見学で工場に行ったりできて、とても興味深かったです。
石井 英語が話せるか不安でしたが、アメリカ人の先生方が積極的に話しかけてくれ、不安は消えました。間違えてもいいからしゃべることが大切だと学びました。

――インターンシップでは何を経験しましたか?
加藤
 グライド・チャーチに行きました。ここは地元のホームレスの人や貧困層の人が食事をしたり交流する場なんですが、僕は給仕をしたりイベントを企画して日本文化について発表しました。皆さんと折り紙をやったり水墨画を描いたり、反応もよかったですよ。
石井 エディブル・スクールヤードという「食育」を教える中学校に行きました。自家栽培した野菜を使って子どもたちと一緒に畑の草抜きをしたり、キッチンで料理をしました。この学校は食育教育を通して家庭でも親に食事の大切さを気付かせる目的で運営されています。子どもと一緒に素材の味を生かした薄味の料理を作ると、みんなおいしいと言って食べてくれました。

――インターンシップで印象に残ったことはありますか?
加藤
 教会での食事の給仕ですね。みんな食べることに必死で、机が汚れていても気にしないんです。でも拭いてあげると「ありがとう」と笑顔で言われたり「どこから来たの?」とコミュニケーションができてうれしかったです。この体験でホームレスの人のイメージや僕自身の価値観が変わりました。社会から排除されている人たちがどういう生活をしているか実感できたのが大きかったです。授業でも貧困層の人たちはジャンクフードを食べるので肥満になりやすいということや、過去に黒人が相当差別されてきたことも背景にあると聞きました。これはテレビを見ているだけでは感じられないことだと思います。

――このプログラムで学んだことは?
加藤
 英語がうまく話せることより「自分に英語で伝えたいものはあるのか?」ということが重要で、人間としての深みや思想が大切だということに気付きました。
石井 私は石橋を叩いても渡らない性格でしたが、今回の留学で「挑戦すること」を学べたと思います。

――留学経験を今後どう生かしたいですか。
石井
 今回の経験で食育の大切さを知ったので、教育について研究したいと思い、春からは教育関係のゼミに進むことにしています。
加藤 日本人として日本社会に貢献したいです。留学前には考えもしなかったことですが、帰国してからその思いが強くなりました。

――これからBIE Programをめざす学生へメッセージを。
加藤・石井
 結果は恐れず、一歩踏み出してほしいです。不安はあっても何とかなるものです(笑)。失敗もあるけど得るものは大きいので、ぜひ挑戦してほしいですね。
 
石井陽子さん
石井陽子さん

加藤正樹さん
加藤正樹さん

◆BIE Programとは
 これまでの語学研修プログラムとは異なり、英語学習、インターンシップ(ボランティア活動)、講義を組み合わせた本学独自の留学プログラム。多民族文化が共存するアメリカ社会での現場体験を通じて、コミュニケーションを通した英語運用能力の向上と共に、広い視野と柔軟な発想を学ぶ。
 プログラムは、夏期休暇期間、春期休暇期間を利用した5-weekProgramと前期・後期のSemester Programといった1年間に4つのプログラムがあり、個人の学習状況に応じてプログラムに応募することができる。ただし、5-week Programは1、2年生優先(各プログラム30名程度を募集)。

BIE Program  「英語」「インターンシップ(ボランティア活動)」「講義」を有機的に配置することで、英語運用能力の向上を図る。また、広い視野と柔軟な発想を学ぶことを目的に現地コミュニティでのボランティア活動や講義科目を通して、多民族共生社会についてを知識と体験の両面から学ぶことができる。

◇英語学習「バークレー語学」
 ESI(※1)において「Communication Skills」を受講する。プレースメントテストによって5つのレベルにクラス分けられ、オーラルコミュニケーション、発音、聴解、アメリカ文化について、各国から来ている学生と共に学ぶ。Semester Programでは、「Communication skills」だけでなく、「Integrated Skills」も受講する。
※1 English Studies Institute
カルフォルニア大学バークレー校のExtension Programの元教員によって設立された語学学校。授業は、カルフォルニア大学バークレー校の敷地内で行なわれている。


◇インターンシップ(「バークレーインターンシップ」)
 コミュニティサービスでのボランティア活動を通じ、多文化社会の一面を知ると共に、英語によるコミュニケーション能力の向上と自分に対する自信を形成する。ESI教員の指導の下、それぞれが課題を設定し、チームワークで取り組む。コミュニティサービス先はGlide Church Community、Edible Schoolyardなどから選ぶ。現場体験以外に、「Seminar」と「Project Team Meeting」があるので、わからないことはこの時間に先生からアドバイスを受けることができる。
「Seminar」: コミュニティでの体験をディスカッションしたり、場面に適切な語彙や文法、表現を学ぶ。
「Project Team Meeting」:報告書を作成し、最終的にプレゼンテーションを行なう。

 〈インターンシップ一例〉
●Glide Church Community
 地域住民、高齢者や子ども達に「Cultural Studies」として日本文化を伝えたり、日曜に開催されるゴスペルに参加するなど、NPO団体職員と共に  コミュニティでの活動を通じてアメリカ社会の一面を知る。
●Edible Schoolyard
 農と食の教育による学校改革を行なったキング中学校にてNPO法人スタッフと共に「ガーデンテラス」のサポートをする。子ども達と共に自然とのつながり、共同作業の楽しさ、地域コミュニティとのかかわりを学ぶ。


◇英語学習「バークレー語学」
 龍谷大学の学生交換協定校であるIBS(※2)での講義。5-week Programでは英語能力により「Introduction of Contemporary American Society」か「Contemporary American Society」のいずれかを受講する。
 Semester Programの場合は、「Contemporary American Society and Religions」
「Cultural Diversities of Contemporary American Society」「Contemporary American Literature」を受講する。

※2 Institute of Buddhist Studies
 米国仏教大学院はBCA(米国仏教団)が設置した大学院レベルの仏教教育・研究機関であり、バークレーに本部が置かれるGTU(総合宗教大学院)の加盟校でもある。

 BIE Program参加者による報告会を開催

 昨年12月14日、初めてのBIE(5-week summer)Programに参加した学生らによる留学体験の報告会が行なわれた。この報告会では、参加学生のうち7名がインターンシップやESIでの授業、宿舎などについて報告をした。報告内容は、本学ホームページで公開している。
http://www.ryukoku.ac.jp/bie/

BIE Program参加者による報告会を開催

◆「RUBeC」に関するお問い合わせ◆
 国際部(深草学舎・4号館1階) Tel:075-645-7898 Fax:075-645-2020
 Email:ric@rnoc.fks.ryukoku.ac.jp


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