龍谷 2007 No.63

RYUKOKU SPORTS アメリカンフットボール部 SEA HORSE すごいぞ奪還!悔しさをバネに、1部リーグ復帰

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「写真提供:龍谷大学アメリカンフットボール部」

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ぶっちぎりの強さを発揮

 龍大アメリカンフットボール部シーホースが、今年度のスローガンに掲げた言葉はズバリ「奪還」だった。
 3年前の2004年、創部以来、28年間の悲願が実り、関西学生1部リーグに昇格。2年間を1部リーグで戦ったが、昨年度は入れ替え戦で敗退し、2部リーグに降格してしまった。
 「再び1部リーグへ!」「この1年間で奪還しよう!」の強い願いのもと、今季の龍大はぶっちぎりの強さを見せた。秋季リーグでは7戦全勝、12月16日に行なわれた大阪産業大学との入れ替え戦でも、44対16と圧勝。見事、目標の「奪還」を果たしたのだ。
 喜びに溢れるシーホースの主要メンバーから、今季の戦いや後輩たちに託す思いを聞いた。
 まず、61人の部員を率いた主将の川上亮さんは「一番大事な4年で2部に落ちた時は正直つらかった。でも、もう1度、後輩たちに1部でやらせてあげたい、自分たちが歴史をつくるんだという強い気持が実ったのだと思います」と勝因を語る。
 他のメンバーも「1部と2部は実力も注目度もかなり違う。1部でプレーした記憶が鮮明なうちに必ず戻らないといけない、という気持が大きかった」(甲斐敦士さん)。「いろいろな勝ち負けを経験できたことで、人間的に成長できた。今となっては苦しんだこともいい思い出」(堀哲也さん)と言葉をかみしめるように振り返る。

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チームワークと合理的な練習の成果

 最上級生として、チームのムードづくりも重視したそうだ。もともと和気あいあいとした雰囲気が身上のシーホース。新入学生を対象にしたフレッシャーズキャンプにもチーム全員がヘルパーとして参加。学生部から信頼を集めている。
 「泊り込みで参加するので一人ひとりの責任感が養われ、練習以上に有意義だと思っています。今年はとくにチームワークを意識して取り組みました」とムードメーカーの中川靖士さんは笑顔で語る。
 「僕らは楽しんでフットボールをやることができた。切羽詰った状況も自分たちで考え切り抜けられたのは、村田コーチの指導法のおかげです」と副将の西啓介さん。
 村田斎潔ただゆきコーチは、99年から週1回、アドバイザーとしてシーホースを指導。2000年にヘッドコーチに就任したが、昨年から龍大のアメリカンフットボール部専任の嘱託職員としてチームに深くかかわるようになった。
 日本のスポーツ界には、いまだに怒鳴る、けなす、時には鉄拳が飛ぶこともあると聞く他チーム。しかし、龍大では「怒られたことはありません。だからこそ、自分で考えないと成長できない」とメンバーは口をそろえる。
 本場アメリカの大学においても、コーチとして高い評価を受けた村田コーチの指導法は合理的だ。試合の反省や相手チームの分析にAV教室を利用してのイメージトレーニング、選手間の競争力を付けるためポジションごとの順位付け、生協食堂のシーホース特製メニューなどが取り入れられている。
 苦しさを乗り越えて、のびのびとプレーできた背景には、全員が自分で考えて成長する力を身に付けた成果だといえるだろう。


川上亮さん キャプテン(法学部4年生) 川上亮さん キャプテン(法学部4年生)
ポジションRB(ランニングバック)


シーホースは体の小ささを動きやスピード、技術でカバー。ウエイトトレーニングのおかげで社会人になっても通用する選手が多くいます。卒業後もバックアップしていきたい!

堀哲也さん(経営学部4年生) 堀哲也さん(経営学部4年生)
ポジションOL(オフェンスライン)


2部リーグの最優秀ライン賞をもらいました。ケガで試合に出られない時に、支えてくれたのが後輩たち。人間としても成長し甲子園ボウルに出場して欲しい!

中川靖士さん(経営学部4年生) 中川靖士さん(経営学部4年生)
ポジションWR(ワイドレシーバー)


関西学生オールスターと社会人リーグが戦った「エビスボウル」で、敢闘賞をもらいました。70ヤードを走って活躍しちゃった(笑)。1部では気持の上で勝ったチームが勝つ!

西啓介さん(国際文化学部4年生) 西啓介さん(国際文化学部4年生)
ポジションLB(ラインバッカー)


後輩たちは今季、1部というゲートに立つことができる。正直いってうらやましい……。1部はしんどいところですが、しんどい時の1勝はでかいぞ!

甲斐敦士さん(文学部4年生) 甲斐敦士さん(文学部4年生)
ポジションLB(ラインバッカー)


龍大で初めてアメフトを経験。まったくの初心者を使い物になるようにしてくれたことに感謝。適材適所で成長できるこのチームに入れて良かった!

村田斎潔ヘッドコーチ 村田斎潔ヘッドコーチ

日本人はもともとスポーツを楽しむという意識が低く、とくにアメフトは格闘技より強いメンタリティーが求められています。しかし、龍大生は面白そうに練習や試合をしている。最初はショックで(笑)、本当にうらやましかった。それが彼らの良いところ。長所はそのままに戦略・戦術など足りない部分を補うのが僕の役目です。これから1部リーグでプレーできるというのは、大学日本一にも手が届くということ。チャンスは必ずあります。

赤松徹真部長(文学部教授) 赤松徹眞部長(文学部教授)

7年前からシーホースを見守っていますが、今季は特にチームづくりが良かったと思います。秋口からはどんどん力がついていることを感じました。2年間、1部で戦った経験を生かし、選手一人ひとりの能力を向上させた村田コーチの指導力が大きかったのでしょう。
彼らは、学内でフレッシャーズ・キャンプをサポートするだけでなく、瀬田キャンパスで行なわれている子どもたちを対象にしたRECコミュニティカレッジ講座の「子供のためのフラッグフットボール教室」でも活躍し、地域貢献もしてくれています。そうしたことも誇りに思っています。

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