龍谷 2007 No.63
RYUKOKU VIEW


第18回新春技術講演会 「21世紀のかくれた主役たち」を開催

基調講演する村田製作所の坂部行雄氏
基調講演する村田製作所の坂部行雄氏
地元企業や行政との交流と大学の研究成果の発信を目的とする「新春技術講演会」(科学技術共同研究センター・龍谷エクステンションセンター主催)が1月10日、大津プリンスホテルで開催された。

 瀬田学舎の理工学部開設を機に1990年から毎年行なっているこの講演会は今回で18回目を数える。今年は「21世紀のかくれた主役たち〜安全・快適をささえるテクノロジー〜」を統一テーマに、日常生活を影で支える身近な技術について紹介した。

 近畿経済産業局の久貝卓局長のあいさつのあと、株式会社村田製作所の取締役常務執行役員で材料開発センター長を務める坂部行雄氏が「『ふしぎな石ころ』新たな挑戦」と題して基調講演を行なった。電子セラミックスメーカーで世界レベルにある同社の発展の歴史や電子材料開発についての話のほか、同社が開発した自転車型ロボット「ムラタセイサク君」の紹介もあり、会場に集まった技術者や経営者、研究者など約400人が興味深く聞き入っていた。

 引き続いて、堤一義・理工学部機械システム工学科教授が「学習する人間/学習する機械」、藤田和弘・理工学部情報メディア学科助教授が「劣化画像復元、そして、メディア・フォレンシック」と題して最新のテクノロジーについてそれぞれ講演を行なった。
 会場では技術相談や理工学部教員の研究トピックスを紹介したポスターセッションもあり、参加者は新たな技術の動向を探っていた。

龍谷賞は青木敬介氏 龍谷奨励賞に武内勇氏、坂本卓氏

顕真館で行なわれた表彰式を終えた(左から)坂本氏、青木氏、武内氏ご夫妻
顕真館で行なわれた表彰式を終えた
(左から)坂本氏、青木氏、武内氏ご夫妻
同窓会組織の校友会(太田信隆会長)は第17回龍谷賞に青木敬介氏、龍谷奨励賞に武内勇氏と坂本卓氏を選び、昨年11月5日に深草学舎で開かれた「ホームカミング・デー」で贈呈式を行なった。

 青木氏は1957年に文学部国文学専攻を卒業。兵庫・西念寺住職の傍ら瀬戸内海の環境保全に取り組む市民団体「播磨灘を守る会」の代表を務め、瀬戸内海の汚濁調査や啓蒙運動など35年にわたり展開してきた。仏教の視点から自然の豊かさや環境を守ることの大切さを説くなど、環境市民団体の先駆けともいえるその実践活動が高く評価された。

 武内氏は1973年経済学部経営学科卒業。ベンチャー企業のミレニアムゲートテクノロジーを設立し、めっき技術の高度化に取り組んできた。医療用のDNAチップの開発で「新事業挑戦者内閣総理大臣表彰」を受け、また同社は中小企業庁「元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれるなど今後の成長に注目が集まっている。

 坂本氏は1995年文学部哲学科卒業。在学時のオランダ留学中にトルコから逃れてきたクルド人たちと知り合ったのをきっかけに、卒業後、フリーカメラマンとしてクルド民族問題にかかわる。現在はクルド問題を中心にレバノン、コソボ、アフガニスタン、イラクなど各地の紛争地で精力的に取材活動を続け、世界に現地の最新情報を発信している。

 龍谷賞は、社会に貢献し顕著な業績を上げた卒業生を表彰することを目的に1990年に創設。模範となるべき卒業生に贈る龍谷賞と将来を嘱望される卒業生に贈る龍谷奨励賞のほか、卒業生に限定せず社会に貢献した人を表彰する龍谷特別賞の3つがある。龍谷特別賞は、過去に作家の五木寛之氏や画家の平山郁夫氏などに贈られているが、今回は該当がなかった。

里山の多様性と歴史を考える 国際シンポジウム『里山とは何か』を開催

ヴォルフガング・ホルツナー教授の講演
ヴォルフガング・ホルツナー教授の講演
里山に関する総合研究を進める里山学・地域共生学オープン・リサーチ・センター(里山ORC)は昨年12月16日、国際シンポジウム「『里山とは何か』自然と文化の多様性」を深草学舎で開催し、国内外の研究者5人がこれまでの研究成果を発表した。

 日本で生まれた「里山」という言葉は、今や「SATOYAMA」として海外でも知られ、世界的にも関心が高まってきている。そこで里山ORCでは、里山の自然と文化の多様性やその歴史を考え、人々の自然観などの国際比較を通して里山の役割を考えようと今回初めて国際シンポジウムを開いた。

 まず講演に立った里山ORCセンター長の宮浦富保・理工学部教授は「日本の里山の現状」と題し、里山を失った熊が人里に現れるようになった事例などに触れながら里山の有効性について言及。続いて、ウィーン農芸大学で環境研究・自然保護研究センター長を務めるヴォルフガング・ホルツナー教授が「里山と生物多様性の保護」をテーマにオーストリアの事例を紹介し、自然と文化の多様性をうたう里山の概念が国際的に広がればとコメントした。

 その後、江南和幸・理工学部教授が「江戸の市民が見た自然」、韓国のパク・チョルホ江原大学校教授が「韓国における里山の山菜・雑穀利用とそれに関わる文化」、須藤護・国際文化学部教授が「里山 人と神と動物たち」をテーマに講演し、会場を訪れた約300人は人と自然の共生をめざす里山の可能性について理解を深めていた。

フランス語を新たに加え「外国語コンテスト」を開催

フランス語で「オー・シャンゼリゼ」を歌う伊藤史織さん(文学部英語英米文学科2年生)は龍谷大学賞を受賞。
フランス語で「オー・シャンゼリゼ」を歌う伊藤史織さん
(文学部英語英米文学科2年生)は龍谷大学賞を受賞。
大学で初めて学ぶ外国語の発表機会を設けようと初修外国語科目運営委員会(委員長・竹内真彦経済学部助教授)が主催する「外国語コンテスト」が昨年12月20日、深草学舎で行なわれ、初修外国語を履修する学生約250人が日頃の学習成果を披露した。

 このコンテストは、外国語学習に対するモチベーションを高めるため、1999年に「中国語暗誦・スピーチコンテスト」として初めて開催。2004年度にドイツ語・スペイン語、2006年度からフランス語が新たに加わっている。優秀者には「龍谷大学賞」「親和会長賞」「国際センター長賞」が贈られており、受賞の自信から留学を希望する学生も現れるなど成果が上がっている。
 コンテストは、4カ国語が各会場に分かれ、ドイツ語とスペイン語が暗誦、フランス語が朗読と歌唱、中国語が暗誦と自作スピーチをそれぞれ実施。学生たちはドイツ語で民謡「野ばら」や「ハイジ」の一節を暗唱したり、フランス語で「オー・シャンゼリゼ」を熱唱したりと身近な外国文学や音楽から異文化への理解を深めていた。

 このコンテストを取りまとめた竹内助教授は「毎年多くの学生が参加してくれるのは非常に喜ばしいこと。聴衆を前にしても臆することなく外国語を話せる自分に誇りを持ってほしい」と話す。

 大学では、社会に役立つ実践的なコミュニケーション能力と高度な国際感覚を養うため、英語をはじめとする外国語教育を重視。留学奨学金の支給や昨年8月からはアメリカ・バークレーの「RUBeC(ルーベック)」で独自の留学プログラム「BIE Program(ビーアイイープログラム)」をスタートさせるなど留学制度を充実させている。



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