龍谷 2007 No.63
RECのツボ

大学の知的資源や各種施設を広く開放することなどを目的に様々な取り組みを行なっている龍谷エクステンションセンター(REC〈レック〉)。
今回はREC事業の4本柱である「生涯学習」「産官学連携」「福祉フォーラム」「学生ベンチャー」にまつわる最新ニュースを紹介します。

生涯学習

龍谷大学の生涯学習講座が大阪でも受講可能に 「RECコミュニティカレッジ大阪」を新たに開講

 市民を対象にした生涯学習講座を展開しているRECでは、2005年度の「コミュニティカレッジ東京」に引き続き、関西圏での生涯学習講座の充実をめざして2006年度から「コミュニティカレッジ大阪」を開講している。

 大阪で初めて開いた講座のシリーズ名は「いま仏教文化が面白い」。大阪市中央公会堂ではじまった第1回(1月6日)には、正月明けにもかかわらず約150人が参加。龍谷大学アフガニスタン学術調査隊の代表を務める入澤崇・経営学部教授が「アフガニスタンの仏教遺跡」と題して開講し、昨年10月に世界遺産バーミヤーン遺跡西方で行なった調査活動や古代アフガニスタンの仏教世界を紹介した。

 第2回(2月3日)には、蓮池利隆・古典籍デジタルアーカイブ研究センター研究員が「タジキスタンの仏教遺跡」を、第3回(3月3日)には、佐藤智水・文学部教授が「黄土高原の石仏を訪ねて」をテーマにそれぞれ開講し、受講生は中央アジアや中国・黄土高原に広がる仏教文化について熱心にメモを取っていた。

 次回のコミュニティカレッジ大阪は、最新の研究成果を集約した『親鸞読み解き事典』(柏書房)の編著者、林智康・文学部教授らによるシリーズ「親鸞聖人を読み解く」の開講が決まっている。

《RECコミュニティカレッジ大阪》
シリーズ 「親鸞聖人を読み解く」
<第1回> 5月12日(土)
 テーマ:「親鸞聖人の教えと実践」
 講 師:林智康・文学部教授
<第2回> 6月2日(土)
 テーマ:「世界的な視野から見た親鸞聖人」
 講 師:嵩満也・国際文化学部教授
<第3回> 7月14日(土)
 テーマ:「親鸞聖人の生きた時代」
 講 師:岡村喜史・文学部助教授
 会 場 大阪ビジネスパークツイン21
 20階会議室(大阪市中央区)
 時 間 午後3時〜午後4時30分
 受講料 一般1,500円・会員1,000円
       (1回あたり)
【資料請求先】REC(京都)
【電   話】075-645-7892
 
大阪市中央公会堂で行なわれた「コミュニティカレッジ大阪」
大阪市中央公会堂で行なわれた「コミュニティカレッジ大阪」


福祉フォーラム

装いも新たに福祉フォーラムがリニューアル 記念講演会&シンポジウムを開催

臨済宗神宮寺の住職としても精力的に活動する高橋卓志氏の講演
臨済宗神宮寺の住職としても精力的に活動する高橋卓志氏の講演
 社会福祉のさらなる発展をめざして開設した福祉フォーラムも2007年度で10年目を迎える。事務局が置かれているRECでは、これを機会に新たな体制を整備することにし、再出発する福祉フォーラムをアピールしようと講演会とシンポジウムを開催した。

 12月9日に瀬田学舎で開かれた講演会には、本学の卒業生でチェルノブイリ連帯基金事務局長としての活躍がよく知られる高橋卓志・長野県NPOセンター代表が「現代社会における共生と自立〜いのちと向き合う・まちと向き合う〜」と題して講演。また、シンポジウムでは、労働福祉や介護支援、家庭相談など、実際の現場で中心的な役割を果たしている専門家らが「福祉現場から、いのちを語る・まちを語る」をテーマに、福祉現場の現状と課題について議論を行ない、福祉フォーラムが今後果たす役割に期待した。

 福祉フォーラムは1998年、社会学部に地域福祉学科・臨床福祉学科を開設したのを機に会員制組織としてスタート。「福祉コミュニティづくり」を創出することを目的に、啓蒙活動や研究会、産官学連携事業を展開し、学内外の諸機関と共同しながら福祉の向上に寄与してきた。しかし10年が経った今、福祉を取り巻く環境は一変し、体制の見直しが必要となっていた。

 今回リニューアルされた福祉フォーラムは、「共生」と「協働」をキーワードに、互いに知恵を出し合う「協議の場」、福祉ネットワークの形成を図る「交流の場」、新しい取り組みを創り出す「創造の場」、専門職やNPO、市民活動を支える「支援の場」を関係させながら新しいまちづくりに取り組んでいくことにしており、来春から会員を募集する予定にしている。

【福祉フォーラムへの問い合わせ】
福祉フォーラム事務局(REC滋賀内) 電話077-543-7744
http://rec.seta.ryukoku.ac.jp/fukushi/


産官学連携

経産省「戦略的基板技術高度化支援事業」に全国の私大で唯一の採択

 龍谷大学が事業管理者として申請した研究開発プロジェクト「金型・治工具の耐高面圧化に資する拡散・表面被覆融合処理技術の開発」(総括研究代表者・青井芳史理工学部講師)が、経済産業省の「戦略的基盤技術高度化支援事業」に全国の私大で唯一採択された。

 経済産業施策の目玉として今年度新たにスタートした戦略的基盤技術高度化支援事業は、日本のものづくりの基盤となる産業の高度化を図り、製造業全体の国際競争力の強化や新たな事業を創出することが目的。2006年4月に公布された「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく施策の一環で、大学をはじめとする研究機関と高度のものづくり基盤技術を持つ中小企業の連携による革新的かつハイリスクな研究開発が期待されている。

 第1期にあたる今回の応募総数は323件で80件が採択。そのうち大学が事業管理者を務めるものは本学と静岡大学、大阪府立大学の3件にとどまり、大学として全国で初めて、また、私立大学では唯一の採択となった。

 産官学連携を進めるRECでは、従来から中小・ベンチャー企業に光をあて、特に滋賀や大阪府東部地域の中小企業を支援しており、今回のプロジェクトもその取り組みの中から誕生した。今後は、研究開発成果技術の事業化により、自動車産業や機械産業など幅広い分野において大きな波及効果が期待される。

「金型・治工具の耐高面圧化に資する拡散・表面被覆融合処理技術の開発」とは・・・

 自動車・機械産業等の分野で小型・軽量化を目的に高張力鋼(こうちょうりょくこう)などの難加工材が用いられているが、これを加工する金型・治工具の磨耗が激しく問題となっている。本研究では、このニーズに対し、金型・治工具の高強度化・高耐久性を実現する技術を開発する。具体的には、単独ではニーズに応じられない熱処理技術と表面被覆処理技術それぞれの高機能化を図るとともに、両技術を融合させた新技術を開発することにより、部材産業の高度化に貢献する。

<研究開発プロジェクトメンバー>
龍谷大学(事業管理者)・(有)ケンテック・(株)カオス・国友熱工(株)・住友鋼管(株)・山科精器(株)・滋賀県工業技術総合センター・同志社大学


学生ベンチャー

ビジネスプランコンテスト「プレゼン龍」を開催 「お菓子な絵本屋さん」がグランプリに

表彰式でメンバーへの感謝の気持ちを述べる山田さん(左から2人目)とチーム「NECTAR*」のメンバー
表彰式でメンバーへの感謝の気持ちを述べる山田さん(左から2人目)とチーム「NECTAR*」のメンバー

 RECが主催するビジネスプランコンテスト「プレゼン龍(ドラゴン)」が昨年12月9日、深草学舎で開催された。

 学生の起業家精神の育成や大学発学生ベンチャーの創出を目的に2001年度から始まったこのコンテストは今年度で6回目。16件の応募のうち事前審査を経た7組が起業家や大学教授、学生ら400人の審査員を前に独自のビジネスプランを競い合った。

 今回グランプリに輝いたのは、文学部英語英米文学科3年生の山田希さん(奈良県立生駒高校出身)ら龍大生と関西学院大の学生6名でつくるチーム「NECTAR*(ネクター)」が提案した「お菓子な絵本屋さん」。絵本に登場する「お菓子」と「絵本」を販売するビジネスで、読み聞かせスペースの設置や絵本教室などの定期的イベントを開催するというもの。準グランプリにはチーム「システムサポート」のWEBを使った「車の『試着』ができるポータルサイトサービス」が選ばれた。

 「NECTAR*」の代表を務めた山田さんは「このアイデアは私の絵本好きがこうじて生まれました。RECの講座で知り合ったメンバーと最後まで一丸となって具体化できたことは本当にうれしい」と受賞の喜びを素直に話す。

 学生ベンチャー育成事業を進めるRECでは、起業家として求められる資質や能力を身に付けることを目的にした「アントレプレナーシップ養成講座」を開講するなど、チャレンジ精神旺盛で創造性豊かな学生起業家の輩出に力を入れている。


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