高校時代の「失格」をバネに
8月25日開幕の世界陸上選手権大阪大会(以下、世界陸上)日本代表として、渕瀬真寿美さんが女子20km競歩に出場した。
今年1月に行われた日本選手権で日本記録を樹立。故障上がりで迎えた大会で、彼女自身「夢にも思っていなかった」という世界陸上への切符を手にした。在校生が世界陸上に出場するのは、龍谷大学史上初めてという快挙である。
渕瀬さんが競歩と出合ったのは高校時代。陸上競技部で故障したとき、リハビリとして行なったのが最初だと言う。実は、それまで「競歩」という競技があることさえ知らなかった。なのに、その競技に惹かれた。「人と一緒だと気を遣ってしまう。一人で黙々と練習するのが好き」。部員の中で他に選手のいない競歩は、そんな気性に合っていたようだ。
競歩の特徴的なルールは2つ。一つは、両方の足が同時に地面を離れてはならないこと。もう一つは、足が着地してから体の真下に来るまで膝を伸ばしておくこと。これに違反するとイエローカードが出て、累積すると失格になる。
渕瀬さんには苦い思い出がある。高校3年生のインターハイ予選で、1位でゴールしたのに失格となった。「そのときの悔しさ、このままでは終われないという気持ちが、私をここまで連れてきました」。根っからの負けず嫌いなのである。 |