龍谷 2007 No.64

Ryukoku VIEW

社会学部の「大津エンパワねっと」構想
平成19年度文科省現代GPに採択


 本学社会学部の「大津エンパワねっと」構想が、平成19年度文部科学省の現代GPに採択された。
 現代GPとは、「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」の略称で、文部科学省が社会的要請の強い政策課題に対応したテーマ設定を行い、各大学等から応募された取り組みの中から、特に優れた教育プロジェクト(取組)を選定し、財政支援を行うことで、高等教育の活性化が促進されることを目的とするもの。社会学部が応募したのは、「地域活性化への貢献〔地元型〕」というテーマで、採択率は2割という難関だった。
 社会学部の取り組みは、「学生力と地域力を相互に高め合う教育実践〜地域活性化の基盤をつくる「大津エンパワねっと」構想〜」というもので、ユニークで本格的な地域連携教育をめざす。
 「大津エンパワねっと」とは、「学生の伸びようとする力〔学生力〕」と「地域社会の自ら活性化しようとする力(地域力)」を融合することで、相互に高めあうことを意図した教育プログラム。地元大津市で、学生や地域住民をエンパワメント(潜在化している力を引き出す)し、地域ネットワークを構築していこうという思いから名付けられた。
 具体的には、大津市内で、中央地区(江戸時代の宿場町からの伝統をもつが、高齢化が深刻)と瀬田地区(高度成長期に住宅開発が始まり、現在も混住化と開発の問題あり)の2つをフィールドに設定。そこで、学生が地域住民・諸団体と協働して、地域課題を「発見」し、その「解決」のためのプロジェクトを企画・実行し、その成果を地域社会で「共有」するという連続性のある学習を進める。
 そのため、社会学部4学科の学生が受講できる「大津エンパワねっとコース」を新設し、その単位修得者には「龍谷大学まちづくりコーディネーター」の認定を行うというユニークな取り組み。
 取り組み責任者の筒井のり子教授は、「社会学部は、かねてより 現場主義 をモットーにしており、これまでも地元大津市の住民や機関との連携は行われていたが、あくまでも学科や個々の教員単位での取り組みだった。今回は、社会学部4学科の総合力を発揮することで、より地域社会に貢献できるのではないか。また、学科を超えた学生・教員の交流、さらに地域住民との協働で、より 社会参画力 あふれる人材を育てていきたい」と話す。
 社会学部では、「大津エンパワねっとコース」の充実にむけて、現在、地元大津市の住民や機関との協議を進めている。


平成19年度私立大学学術研究高度化推進事業に
本学から2件が採択されました


 私立大学学術研究高度化推進事業とは文部科学省が行う私学助成で、研究基盤の整備及び研究機能の高度化を図るため、ハイテク・リサーチ・センター整備事業、学術フロンティア推進事業、社会連携研究推進事業、オープン・リサーチ・センター整備事業の4つの事業が行なわれている。
 この度、龍谷大学からは、オープン・リサーチ・センター整備事業として、人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センター「仏教生命観に基づく人間科学の総合研究」が、また、学術フロンティア推進事業として、矯正・保護研究センター「21世紀・新『保護・矯正』プロジェクト 理論と実務の新たなる協働を求めて New "Corrections and Rehabilitation "Project in 21st. Century:An Innovation between Theories and Practices」が継続分として採択された。

人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センター
「仏教生命観に基づく人間科学の総合研究」

 縁起説を基に、生命の稀有性と相互依存関係にめざめ、生きとし生けるものへの慈愛と責任と感謝を培う教育をめざす。
 第一の研究目的は、仏教生命観に加えて、仏教人間観、仏教共生観の世界的意義を解明することにある。第二の研究目的は、仏教生命観、仏教人間観を水源としながら「21世紀の自然科学・技術時代における仏教思想の展開を再解釈」「仏教と心理療法の相互理解―人間性の慚愧と転成」「親鸞思想と仏教社会福祉」「仏教の人間観と自然観の統合」という新四領域に研究ユニットを再編成し、それら四つの課題を明らかにすることにある。

矯正・保護研究センター「21世紀・新『保護・矯正』プロジェクト 理論と実務の新たなる協働を求めて New "Corrections and Rehabilitation "Project in 21st. Century : An Innovative Collaboration between Theories and Practices」

 新たな世紀を迎え、犯罪と非行をめぐる環境は変化している。伝統的に日本の刑事政策は、法技術的側面を重視し、経験科学的・実証的な分析が十分でなかった。本共同研究においては、犯罪者処遇の実際を実践に即して調査するとともに、海外の犯罪情勢及び刑事政策を比較犯罪学・比較制度論の観点から分析し、ミクロ及びマクロな視点から、多様な問題点を析出し、民間の研究機関でなければできない自由で、創造的な政策の提言をめざしている。本研究の最終目的は「21世紀の刑事政策」と呼ぶに相応しい人道的、合理的、総合的な犯罪対策の構築と具体的政策の提案である。平成19年度からの継続事業の中では、理論と実務の新たな協働をめざして、12のプロジェクトを展開する。


文学研究科が臨床心理士1種指定校に採択

 「臨床心理士」とは、臨床心理学の知識や技術を用いて心理的な問題を取り扱う「心の専門家」である。
 臨床心理士になるためには財団法人日本臨床心理士資格認定協会が実施する臨床心理士資格試験を受験し、合格しなければならない。
 龍谷大学大学院文学研究科教育学専攻臨床心理学領域は、臨床心理士受験資格の指定大学院(2種)に認定されていたが、心の専門家に必要な一定水準以上の知識とスキルが期待できること、臨床心理士養成のための環境が整っている(大人と子どものこころクリニック)などの点から、2008年4月より、第1種の指定大学院としてスタートをきることになった。
 これにより、大学院修了後に1年以上の実務経験を経なければ得ることができなかった臨床心理士受験資格が、修了後すぐに取得可能となる。
 臨床心理士資格試験に向けては、修了生が定期的に開く勉強会が開催されており、教員も積極的に参加している。病院・クリニック、児童福祉施設、教育現場等で多彩な経験を積んだベテランの臨床心理士(本学教員)と、院生で定期的に行う「ケースカンファレンス」なども通じ、理論と実践を融合させた即戦力を養う。
 なお、指定大学院第1種は、2008年4月1日入学生より適用される(但し、2年間の遡及適用により、2006年4月1日、2007年4月1日入学生にも適用される)。


(財)大学基準協会 相互評価・認証評価の結果について

 2007年4月、龍谷大学は財団法人大学基準協会から、同協会が行う大学評価の基準に適合しているとの認定を受けた。
 認証評価とは国が認証した機関が行う、大学に対する評価であり、2004年度より全ての大学は7年毎にこの認証評価を受ける義務が課せられた(専門職大学院は5年毎)。
 評価内容は大学の理念や目的、教育、研究、教員・事務組織、学生生活支援、社会貢献から施設・設備や財務、意思決定など教育研究から大学運営にまで多岐にわたる。

 今般の認証評価を受けるにあたって、本学は2004年度から大学総体として、さらなる教育研究の充実化をはかるべく自己点検評価活動を行ない、「自己点検・評価報告書」を作成。2006年度、認証評価機関である(財)大学基準協会が行なう相互評価及び認証評価を申請した。
 大学基準協会による評価は約1年間に及ぶもので、本学が提出した報告書やデータの詳細な読み込みのほか、2006年秋期には実地視察が全キャンパスを対象に実施された。視察では授業や施設見学の他、教員とのヒアリング、学生への質疑などが行なわれた。
 そして2007年3月、本学は同協会より、協会が定める大学基準に適合している旨の評価を受けた。

 同協会からの評価結果報告では、学生が主体的に学ぶために設置した共同開講科目のカリキュラムやゼミ、グレード制やセメスター制などのきめ細かい教育への評価、また、学生が低年次からスタッフとして参加する「龍谷キャリアディベロップメントスタッフ制度」の有為性、キャンパスのバリアフリー化や多数の点字図書の所蔵など障がい学生へのサポート体制、詳しく平易に表した財務公開状況など、幅広い項目が長所として記載された。

認定マーク 同協会からの認定マークには
認定期間が記される。


学校法人龍谷大学が格付け <AA − >を維持

※R&Iは企業などを対象に格付けを行うコンサルティング社であり、学校法人における格付けは、長期的な財政の安定性・健全性が評価の対象となる。

 学校法人龍谷大学は、2005年5月9日に株式会社格付投資情報センター(R&I)の評価を受け、今年で3年連続「AA−(ダブルAマイナス)」(方向性 安定的)の格付けを取得した。
 本学は入学志願者も2年連続増となっており、特に来年度からは平安中学校・高等学校を付属化するなど学生確保においても安定性が認められた。また健全な財政運営のもとで2009年に迎える370周年の諸事業についても安定性が担保されているとの評価を得た。


ご存知ですか JABEEについて

※日本技術者教育認定機構
(Japan Accreditation Board for Engineering Education )〈非政府団体〉。
JABEEは世界のグローバル化に伴う、大学など高等教育機関が行う、技術者の国際的教育プログラムを評価する民間の評価機関である。


 本学では理工学部・物質化学科のカリキュラム「グリーンケミストリー21」が2003年に審査を受けて世界水準の教育プログラムであることが認定されている。
 これは化学系の関西の私立大学では最も早い認定であり、JABEEが認定した物質化学科の教育プログラムを修了すると自動的に技術士試験の一次試験が免除となる。


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