今年5月、龍谷大学の卒業生による大学発ベンチャーがまた1つ船出した。昨年9月に龍谷大学法学部を卒業した永砂和輝さん(24歳/代表取締役)が、同じく龍谷大学法学部を卒業した松井俊輔さん(25歳/CEO)、伊藤久彰さん(24歳/システムエンジニア)と共に立ち上げたムニンワークス株式会社(本社・京都市)だ。
業務内容を一言で言えば、Web上での音楽CD交換コミュニティ(名称 diglog http://dig-log.jp/)。会員(登録無料)になって所有CDと欲しいCDを登録、サイト上にコレクションを作れば、マッチング・エンジンが交換相手を自動的に検索して知らせてくれるシステムだ。自分のCDを1枚あげると、他の会員からCDを受け取る権利を1枚分もらえる。費用はCDを受取る際に1枚当たり300円。クレジットカード、郵便振替、コンビニエンスストアで決済、これがムニンワークスの収益になる。
現在、登録会員数は約1200人、3万5000枚を超す音楽CDが登録されている。1対1ではなく多人数間での交換、それも音楽好き同士での交換なので中古CDを探すよりも効率的で安価。自分の所有CDをリストとして整理できるうえ、他のユーザーのCDコレクションをのぞいたり直接コミュニケーションしたりして、今まで知らなかった自分の好みにぴったりの音楽に出会える可能性も高まる。
永砂さんは高校時代から「将来は起業して社会に貢献する」のが夢。それを花開かせたのは、起業家スピリット育成に力を入れている龍谷大学の環境だ。REC(Ryukoku
Extension Center)とそれによる各種プログラム、RECを中心に集まる独立心旺盛な多くの友人たちの存在である。
3回生のときにREC主催のシリコンバレー視察ツアーに参加、そこで松井さんと知り合った。松井さんとはREC主催「ビジネスプランコンテスト」でも競い合い、このときは松井さんが優勝。RECのブースを借りてそれぞれのプランの実現可能性を探った。一方で経済産業省主催の起業家育成事業「ドリームゲート」にも参加、ベンチャー企業でインターンシップを体験するなど、着々と起業家スキルを磨いていった。
卒業後、2人で「飲食店のリアルタイムクーポンシステム」で起業を図るが、1カ月後、アメリカでCD交換サイトが登場したことを知り、システムエンジニアだった伊藤さんを誘ってdiglogを立ち上げた。
ムニンとは北欧神話に登場する「神にさまざまな情報を伝えるために地球を飛び回っている情報を集めるワタリガラス」で、記憶を意味する古ノルド語がルーツ。今後もITを活用、「現代のムニン」として人々の楽しく手応えのある暮らしの実現に寄与していきたいと願っている。投資家も募集中だ。 |