龍谷 2007 No.64

龍谷人

ムニンワークス株式会社 龍谷大学発ベンチャーの挑戦
わが国初の本格的音楽CD交換サイト
diglog始動


ムニンワークス株式会社 代表取締役
永砂 和輝(さがすな かずき)さん
2006年法学部法律学科卒業
HPアドレス http://dig-log.jp/

永砂和輝さん
永砂和輝さん
松井俊輔さん
松井俊輔さん
伊藤久彰さん
伊藤久彰さん

 今年5月、龍谷大学の卒業生による大学発ベンチャーがまた1つ船出した。昨年9月に龍谷大学法学部を卒業した永砂和輝さん(24歳/代表取締役)が、同じく龍谷大学法学部を卒業した松井俊輔さん(25歳/CEO)、伊藤久彰さん(24歳/システムエンジニア)と共に立ち上げたムニンワークス株式会社(本社・京都市)だ。
 業務内容を一言で言えば、Web上での音楽CD交換コミュニティ(名称 diglog http://dig-log.jp/)。会員(登録無料)になって所有CDと欲しいCDを登録、サイト上にコレクションを作れば、マッチング・エンジンが交換相手を自動的に検索して知らせてくれるシステムだ。自分のCDを1枚あげると、他の会員からCDを受け取る権利を1枚分もらえる。費用はCDを受取る際に1枚当たり300円。クレジットカード、郵便振替、コンビニエンスストアで決済、これがムニンワークスの収益になる。
 現在、登録会員数は約1200人、3万5000枚を超す音楽CDが登録されている。1対1ではなく多人数間での交換、それも音楽好き同士での交換なので中古CDを探すよりも効率的で安価。自分の所有CDをリストとして整理できるうえ、他のユーザーのCDコレクションをのぞいたり直接コミュニケーションしたりして、今まで知らなかった自分の好みにぴったりの音楽に出会える可能性も高まる。
 永砂さんは高校時代から「将来は起業して社会に貢献する」のが夢。それを花開かせたのは、起業家スピリット育成に力を入れている龍谷大学の環境だ。REC(Ryukoku Extension Center)とそれによる各種プログラム、RECを中心に集まる独立心旺盛な多くの友人たちの存在である。
 3回生のときにREC主催のシリコンバレー視察ツアーに参加、そこで松井さんと知り合った。松井さんとはREC主催「ビジネスプランコンテスト」でも競い合い、このときは松井さんが優勝。RECのブースを借りてそれぞれのプランの実現可能性を探った。一方で経済産業省主催の起業家育成事業「ドリームゲート」にも参加、ベンチャー企業でインターンシップを体験するなど、着々と起業家スキルを磨いていった。
 卒業後、2人で「飲食店のリアルタイムクーポンシステム」で起業を図るが、1カ月後、アメリカでCD交換サイトが登場したことを知り、システムエンジニアだった伊藤さんを誘ってdiglogを立ち上げた。
 ムニンとは北欧神話に登場する「神にさまざまな情報を伝えるために地球を飛び回っている情報を集めるワタリガラス」で、記憶を意味する古ノルド語がルーツ。今後もITを活用、「現代のムニン」として人々の楽しく手応えのある暮らしの実現に寄与していきたいと願っている。投資家も募集中だ。



三浦 あかりさん たくさんの人に支えられている。
その感謝の気持ちを
音楽で返したい。


シンガーソングライター
三浦 あかり(本名:三浦明利)さん
1983年、奈良県吉野郡の寺院の娘として生まれる。
2006年、龍谷大学卒業。現在、同大学院文学研究科修士課程真宗学専攻。バンド"Moga Hoop"でギター・ボーカルを担当する一方、アコースティックサウンドでソロ活動を展開。

 シンガーソングライターとして京都・大阪を中心に活動する三浦あかりさん。話すたびにクルクルとつぶらな瞳が動き、彼女の世界に引き込まれていく。
 三浦さんがギターを手にしたのは中学2、3年のころ。高校でバンド活動をするようになってからも、夢中でギターマガジンの譜面をコピーするなど、独学で腕を磨いた。
 趣味の域からアーティストの域へと飛躍するきっかけとなったのは、大学2年でエレキバンド“Moga Hoop”を結成したときだ。ギタリストとして参加し、コンテストで次々にグランプリを受賞。たちまち活動の幅が広がった。「Moga Hoopは、とにかく楽しい。まるで、おもちゃ箱をひっくり返したような音楽」といたずらっぽくほほ笑む。
 その一方で大切にしているのが、2年ほど前から始めたアコースティックでの弾き語り。平和、人とのつながり、恋などをテーマに、自分の内から湧き出てくる想いを曲に込める。つややかな歌声、シンプルなギターの音色に、思わず心がキュンとなる。
 けれども、いつもそのメッセージが聴衆に受け入れられるとは限らない。伝えたいことが伝わらない、そんなもどかしさも体験した。それでもなお、「聴いた人の頭の中に、自然に映像が流れるような詩を書いていきたい」と、夢見るように語る。
 激しいビートを刻むバンドと、せつせつと情感を込めて歌い上げるソロ。「ギャップが激しい」と言われることもあるが、そのどちらもが三浦さん自身なのである。
 活動の基本は、気持ちを共有できるライブ。しかし、CDを出して気がついたことがある。それは、自分の音を持って帰ってもらえるということ。ライブに来られない遠くの人からメールで「あのCDよかったよ!」と言われると、うれしさがこみ上げる。「いろんな人が、いろんなところで、私の音楽を聴いてくれている」と、声が弾む。
 最近、大きなテーマとして取り組みはじめているのが、雅楽など伝統的な音楽とのコラボレーション。「古典的な音楽とポップスやロックなどが融合できたらステキでしょ 」。音楽をつくるにしても、ライブでも、たくさんの人に支えられている。だからこそ、「感謝の気持ちを、私の音楽で返していきたい」と語る三浦さん。
 新しい音楽を追求する彼女の次章の幕開けを、首を長くして待ちたい。

三浦 あかりさん 三浦 あかりさん


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