龍谷 2007 No.64

青春クローズアップ ルーマニアの民族舞踊チームとの異文化交流が実現・華舞龍

異文化交流とは英語でしゃべることだけじゃない。「踊り」でもできるんや!

昨年12月5日から11日の1週間、 ルーマニアの民族舞踊チーム「Floare de Colt(コルツの花)」と 瀬田学舎を拠点に活動する「華舞龍」(一般同好会)の異文化交流が実現。
「Floare de Colt」のステイ先やイベントの日程と会場、 さらには交流会や観光など、 スケジュールのすべてを華舞龍のメンバーが企画・運営した。
自分たちの力を信じて主体的に取り組み、「踊り」を軸に、 国境を越えて行なわれた交流で華舞龍のメンバーたちは何を考え、何を得たのか。
その成果は計りしれない。

華舞龍
2007年9月「長浜あざいあっぱれ祭り」にて。みんなで創りあげたこの演舞で「ハッスル賞」を受賞


思いがけない国際交流。
準備も運営も自分たちの手で。


 きっかけは昨年夏。同年4月から来日し、華舞龍に入会したルーマニアからの留学生アリアドナ・ペトリさんが、帰国を目前にして「国際交流をやろう」と言いだしたことが始まり。彼女がかつて所属していたルーマニアの民族舞踊チーム「Floare de Colt」との異文化交流を提案してきたのだ。メンバーたちは、「そんなことができたらいいなぁ」と夢のような気分でいたが、ルーマニアからの来日が可能ということで、話は一気に現実味をおびる。
 華舞龍では早速、国際交流担当を決めるなど、イベント成功に向けての活動を開始。まず取り組んだのが、生徒や教員たちのホームステイ先探し。身内や友人にお願いしたり、ポスターで呼びかけるなどして、なんとかホストファミリーを見つけることができた。
 また、発表の場を求めて、大津市の国際親善協会に出向くなど連日奔走。瀬田と深草のキャンパスのほか、大津PARCOの広場での披露が決まった。事前準備として、ルーマニア語をいくつか覚えたり、お国柄や文化についても勉強した。
 こうして、あっという間に国際交流の日が訪れた。「Floare de Colt」一行は、踊り手の高校生や大学生11名と、付き添いの教員6名、バイオリニストとアコーディオン奏者が各1名。全員が旅費を自己負担しての来日だった。

イベントは大成功。
でも、戸惑いも山盛り。


 イベント当日。バイオリンとアコーディオンの生演奏に合わせて踊るテンポの速いダンスは、今まで見たこともない異国の伝統舞踊。「それを目の当たりにして、泣いてしまうくらいの感動でした」。大津PARCOでは、「まるで僕らが前座のような感じ。彼らの踊りには、妬きもちを妬くくらいに見物客が集まった」。
 ここまで聞けば交流は至ってスムーズに行なわれてきた感があるが、ビックリや戸惑いは「しゃべりだしたらきりがないくらい」だそうだ。
たとえば、ホームステイは一家庭に一人ずつ割り振っていたが、ある女子高生はそれがイヤだと3日間泣いていた。ただ、踊りのときはそんなことがあったとは微塵も感じさせず、「プロ意識ってすごい!と思わされた」とか。
 また、朝起きない、お腹が減っていないからと出された食事を食べないなど、どこまでもマイペース。授業でも踊ってもらったが、教室では狭いので外の広いところでやってほしいと頼んだら、「外は寒いし風邪をひく」ときっぱり拒否されたことも。
 泣かれ、怒られ、様々なわがままを言われた7日間。それでも楽しい思い出はいっぱい。学生が企画したのだから、手作り感あふれるものにしたかったと、手製の旗を持って観光名所を案内したり、プリクラを撮ったり、カラオケで大合唱もした。身ぶり手ぶりを交えたコミュニケーションであったが、お互いの気持ちは伝わったと思う。
 彼らが帰国する際、「今度はルーマニアに来いよ!」と言ってくれた言葉が、メンバーに大きな喜びとさらなる勇気を与えてくれた。

大津PARCOでのイベント 大津PARCOでのイベント
大津PARCOでのイベント

一歩踏み出す勇気こそ
未来を切り拓くカギ。


 華舞龍は、京都学生祭典で行なわれる「京炎そでふれ」の踊り手として2005年に結成。その後、踊りの魅力にとりつかれた先輩たちによって継続され、今のメンバーたちも、地元をはじめ全国各地の祭りやイベントに駆けつけては、「よさこい」とミックスさせた「そでふれよさこい」を披露している。
 みんなで振りをつけ、練習し、ひとつの踊りを完成させていく。その楽しさ、充実感は何ものにも代えがたい。「僕たちの踊りを見て、大学生って元気やなぁ、オレも頑張らなあかんなぁ、と思っていただけたら」(西さん)。
 もちろん、「ベースである地域との交流も、踊りを通して深めていきたい」。とはいうものの、今年の大きな目標は、今度は自分たちがルーマニアに行く≠ニいうこと。「もう一度、みんなに会いたい」「あの感激を再び味わいたい」「アリ(アリアドナさん)との友情もずっとつづけていきたい」と、話はますますヒートアップ。
 やりたいことは共に協力し合い、頑張ることで実現できる。一歩踏み出す勇気さえあれば、ビックリするような未来が待っているかもしれない  華舞龍のだれもが、実体験を通してそれを学んだ。


濱口 恭平さん 濱口 恭平さん
国際交流担当
国際文化学部3年生・高知県立高知追手前高校出身

「日本の踊りとルーマニアの踊りを同時に伝えられるいい機会だった。ルーマニアに行くことができたら、日本代表として踊って見せたい」」
岡本 育さん  岡本 育さん 
国際文化学部1年生・大阪府立槻の木高校出身

「入ったばかりで貴重な経験ができてラッキー。ツアーガイドとして旗を持って先頭を歩いたことは楽しい思い出」


齋藤 瞳美さん 齋藤 瞳美さん
国際交流担当 
国際文化学部2年生・兵庫県立武庫荘総合高校出身

「自分たちが積極的にやってガッツリ交流して、言い尽くせないほどの成果が得られた。今後の自分にも活かしていきたい」
西 剛宏さん 西 剛宏さん
代表 
理工学部2年生・姫路市立姫路高校出身

「興味を持ち、アクションを起こしたら、世の中には楽しいことがいっぱいある。今回の異文化交流で自分自身が変わったと思う」


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