龍谷 2008 No.65
BOOKS 新刊紹介

出版助成  

『日本語オノマトペ語彙における形態的・音韻的体系性について』
角岡賢一(経営学部教授)著者

 擬音語・擬態語をオノマトペと呼ぶ。日本語はこの種類の語彙が豊富で、体系的である。「ゆらゆら」など単純反復形語形が全体の四割を占めている。その他に促音「っ」・撥音「ん」・「ゆらり」の「り」などがオノマトペ語彙の目印である。本書では日本語オノマトペ語彙の体系性を、音韻論と形態論の観点から数量的にも分析している。
2007年2月刊/276頁/くろしお出版/5040円
『日本語オノマトペ語彙における形態的・音韻的体系性について』



『Japan’s Built-in Lexicon of English-based Loanwords』
ドールトン フランク(経済学部准教授)著書

 英語学習において頻出する英単語の中には、外来語としてすでに日本語に存在しているものもある。本書では、英語学習に有効な英語語彙とその効果をもとに日本の外来語を探求し、日本語借用語彙の調査結果、同語源語彙の逆説の分析、外来語使用に伴う障害、外来語同語源語彙を使う英語学習の機会などについて論じる。また、本書では広範囲にわたる外来語語源語彙が含まれている。
2008年1月刊/195頁/MULTILINGUAL MATTERS LTD/11134円
『Japan’s Built-in Lexicon of English-based Loanwords』



龍谷大学仏教文化研究叢書17
『歎異抄の教学史的研究』

矢田了章(文学部教授)・林智康(文学部教授)編

 『歎異抄』の教学史的研究においては、親鸞の教学をどのように受容し展開したかという問題と、この書が成立した初期真宗という時代状況との関連性という問題の両面が常に考慮されなければならない。本叢書はこのような視点に立ち、『歎異抄』の教学史的立場とその背景、思想的展開における問題を採り上げ、研究・考察したものである。
2007年9月刊/285頁/永田文昌堂/4200円
龍谷大学仏教文化研究叢書17 『歎異抄の教学史的研究』


共同研究活動  

龍谷大学国際社会文化研究所叢書5 
『国境を越えた村おこし日本と東南アジアをつなぐ』

加藤剛(社会学部教授)編著
 産業構造の変化ならびに人口の向都移動の結果、20世紀の後半以降、今や世界の各地で村落社会の衰退が進行している。本書は、2006年度国際社会文化研究所のシンポジウムが触媒となり企画された。「限界集落先進国」日本の研究者・NGO関係者など6人が、東南アジアで実践した村おこしのための草の根協働の経験を記録したものである。
2007年9月刊/202頁/NTT出版/1995円

龍谷大学国際社会文化研究所叢書5 『国境を越えた村おこし日本と東南アジアをつなぐ』



龍谷大学善本叢書26
『太平記』

大取一馬(文学部教授)責任編集
 『太平記』全四十巻は、南北朝期の争乱の様を華麗な和漢混淆文で描き出した最も長編の歴史文学である。本学大宮図書館所蔵の『太平記』十二冊は、室町時代の写本で巻一〜巻十二までの残欠本ではあるが、その書写も古く、天正本系統に分類される貴重な伝本の一つである。この度はこれを影印し、加美宏・浜畑圭吾両氏の解説を付して出版した。
2007年9月刊/779頁/思文閣出版/15750円
龍谷大学善本叢書26 『太平記』



龍谷大学仏教文化研究叢書16
『反省(會)雜誌V』

福嶋寛隆(文学部名誉教授)・藤原正信(文学部准教授)・中川洋子(文学部元非常勤講師)編
 『中央公論』の前身誌である『反省會雜誌』(『反省雜誌』)の翻刻。寄書・蒐録・雑録のうちで史料的意味が大きいものを選んで収録。併せて、会務報告や会員月表、諸規約の他、関係団体の広告なども収められてあり、反省会とその周辺の思想と行動、歴史状況との関わりを明らかにする上で欠くことのできない史料集。全3巻完結。2007年3月刊/692頁/永田文昌堂/17000円
龍谷大学仏教文化研究叢書16 『反省(會)雜誌V』



地域ガバナンスシステム・シリーズNo.10
『行政学修士教育と人材育成─米中の現状と課題─』

坂本勝(法学部教授)著者
 本書は、米国における行政学修士(MPA)教育による人材育成の現状と課題及び認証評価制度の概要について記述し、管理能力を身につけた人材育成の「特効薬」のように期待されている中国のMPA教育の現状と課題について検討している。また、米国と中国のMPA教育が日本の公共政策教育にどのような示唆を与えるかについて述べている。
2007年12月刊/102頁/公人の友社/1155円
地域ガバナンスシステム・シリーズNo.10 『行政学修士教育と人材育成─米中の現状と課題─』


◆みんなの本棚◆

『夏空彦』
 歌集『デプス』で寺山修司短歌賞を受けた著者の第5歌集。2002年から2005年の4年間の40代中盤の短歌483首を収める。短歌の叙情と調べを追求した歌群。
大辻隆弘(1985年文学研究科哲学専攻修了・歌人・三重県)
2007年7月刊/210頁/砂小屋書房/3150円
『夏空彦』



『兄国 えくに(新現代歌人叢書53)』
 1993年から2005年までの短歌を収めた著者第6歌集。既刊の歌集に未収録の歌のなかから改めて500首の歌を選び、13年間の著者の歌の歩みをあとづけている。
大辻隆弘(1985年文学研究科哲学専攻修了・歌人・三重県)
2007年7月刊/128頁/短歌新聞社/1000円
『兄国 えくに(新現代歌人叢書53)』



『岡井隆と初期未来 若き歌人たちの肖像』
 昭和20年代末期、短歌同人誌「未来」に集まった若き歌人たち。彼らの間には激しい葛藤があった。歌人・岡井隆の青春を精緻に追跡した評伝。
大辻隆弘(1985年文学研究科哲学専攻修了・歌人・三重県)
2007年8月刊/388頁/六花書林/
3150円


『岡井隆と初期未来 若き歌人たちの肖像』


「龍谷」出版情報  

『日韓新たな始まりのための20章』
田中宏(経済学部教授)編者
 〈嫌韓流〉現象とは何か。日韓関係や在日コリアンについてのその言説を多角的・批判的に分析し、今こそ知っておきたい見方を提供する。
2007年1月刊/144頁/岩波書店/1785円



『注釈・子どもの権利条約28条 教育についての権利』
戸塚悦朗(法科大学院教授)共著
 教育についての権利に関する国際水準の研究書。註釈活用のための解説にも注目できる。外国籍の子どもの権利、高等教育への権利の事例研究も含む。
2007年11月刊/183頁/現代人文社/2625円



『線形代数入門 理論と計算 徹底ガイド』
松本和一郎(理工学部教授)著者
 ベクトル空間の代数構造と具体的計算のための教科書である。話題を基礎にしぼり、理論をおろそかにしない一方、合理的計算方法を徹底追求した。       
2007年10月刊/197頁/共立出版/2310円



『統治者と国家 アフリカの個人支配再考』
落合雄彦(法学部教授)共著
 アフリカにおいて「一時代を作ってきた統治者、システムや制度に強い影響力を振るう突出した個人」に焦点をあてて考察した論文集。
2007年12月刊/429頁/アジア経済研究所/5460円



『アメリカン・ルネサンスの現在形』
西山けい子(社会学部准教授)共著
 十九世紀の中・後期の、ポー、ホーソン、メルヴィル、エマソンらアメリカン・ルネサンスの代表作家たちの表現と時代や社会の関係を再考する論文集。
2007年11月刊/316頁/松柏社/3675円



『スポーツトレーニングの常識を疑え!』
長谷川裕(経営学部教授)共著
 従来のアメリカ一辺倒のトレーニング理論ではなく、日本人に合った新たなトレーニング理論を日本トレーニング指導者協会の設立に関わった研究者・指導者がわかりやすく説きほどく。
2007年9月刊/253頁/ベースボールマガジン社/1785円



『トレーニング指導者テキスト 理論編』
長谷川裕(経営学部教授)共著
 トレーニング指導を科学的根拠に基づいて行なうのに必要な基本的な知識をわかりやすく解説。  
2008年1月刊/211頁/ベースボールマガジン社/2940円



『トレーニング指導者テキスト 実践編』
長谷川裕(経営学部教授)共著
 プログラム作成、トレーニングの実技指導、測定・評価、トレーニング運営、情報収集など幅広く、トレーニング指導の実務を解説。
2008年1月刊/247頁/ベースボールマガジン社/2940円



『生命保険数学』
山岸義和(理工学部助教)翻訳
 本書は、アクチュアリーをめざす人のための入門書である。アクチュアリーは、保険会社の数理計算に責任を持つ専門職である。名著の翻訳。
2007年6月刊/238頁/シュブリンガー・ジャパン/3675円



『政治経済学』
小峯敦(経済学部准教授)共著
 初学者向きの標準的な経済学のテキスト。第1章「国民所得の決定」と第14章の1「現代経済学の潮流を守るケインズ派」を執筆した。
2007年10月刊/309頁/成分堂/3150円



『さらば、“近代民主主義”─政治概念のポスト近代革命』
杉村昌昭(経営学部教授)翻訳
 本書はイタリアの思想家アントニオ・ネグリガ近代政治思想を批判的に総括し、ポスト近代の新たな民主主義の確立への展望を指し示した画期的な書物。
2007年12月刊/251頁/作品社/2520円



『外国人の定住と日本語教育〔増補版〕』
田尻英三(経済学部教授)共著
 外国人の定住問題と日本語教育を扱った他に類を見ない本。関連するブックガイドとウェブサイトを増補した。
2007年10月刊/203頁/ひつじ書房/2100円



『Applying Theory and Research to Learning Japanese as a Foreign Language』
角岡賢一(経営学部教授)共著
 日本語擬音・擬態語を第二言語として教える際、反復型や「り・ん・っ」が付く型など頻度順に整理する方法による提案を行なった。
2007年11月刊/274頁/Cambridge Scholars Publishing/GB£39.99



『シンカのかたち 進化で読み解くふしぎな生き物』
遊磨正秀(理工学部教授)監修
 いつも四つ児で生まれるアルマジロ、歩くヤシ、シロアリを騙すカビなど、擬態や寄生といった術を駆使する多様な生物が、「進化」の世界を案内する。
2007年5月刊/220頁/技術評論社/1659円



『琵琶湖ハンドブック』
遊磨正秀(理工学部教授)共著
 琵琶湖への理解と関心を高め、美しく豊かな琵琶湖を取り戻す活動につなげるため、最新の知見や情報を幅広く収集し、琵琶湖の姿を分かりやすく紹介。
2007年5月刊/256頁/滋賀県/無料



『国際平和と「日本の道」─東アジア共同体と憲法九条』
田中則夫(法科大学院教授)共著
 本書は憲法9条をめぐる問題状況を、日本国内における政争の焦点としてだけでなく、むしろ世界とアジアの動向との関連の中でとらえ直すことに焦点をおきつつ、日本が向かうべき展望=日本の道を考えようとしている。
2007年10月刊/199頁/昭和堂/2520円



『クマクズの森 南方熊楠の見た宇宙』
松居竜五(国際文化学部准教授)著者
 東京のワタリウム美術館での展覧会に合わせて、南方熊楠の生物学や民俗学における研究を写真とともに紹介したもの。
2007年11月刊/128頁/新潮社/1575円



『孫文と南方熊楠』
松居竜五(国際文化学部准教授)共著
 ロンドンで出会い交流を続けた南方熊楠と孫文について、日・中・豪・米の研究者が最新の資料に基いて討論した成果をまとめたもの。
2007年8月刊/250頁/汲古書院/4725円



『南方熊楠 菌類図譜』
松居竜五(国際文化学部准教授)共著
 国立科学博物館所蔵の南方熊楠のキノコのスケッチを120点紹介したもの。熊楠のキノコ研究に関する論考も掲載している。
2007年9月刊/135頁/新潮社/3990円



『聖徳太子事典〈コンパクト版〉』
平林章仁(文学部教授)共著
 聖徳太子の実像を、時代・家系・政策・思想・氏族・史跡・伝記・文献・地図などから、最新の研究成果をもとに描く。
2007年10月刊/322頁/新人物往来社/5040円



『日本古代史地名事典』
平林章仁(文学部教授)共著
 『和名類聚抄』国郡別による地名配列とその世界観に準拠した古代史地名事典。文献史学、歴史地理学、木簡研究などの最新成果を反映。
2007年10月刊/960頁/雄山閣/15750円



『仏法ひろまれ』
林智康(文学部教授)著者
 「世のなか安穏なれ 仏法ひろまれ」(親鸞聖人御消息)のごとく、今こそ仏法を通した世の中の安穏が望まれる。15篇から成る短篇法話集である。
2007年8月刊/115頁/探究社/1365円



『ドイツ文化史への招待』
國重裕(経営学部講師)共著
 中欧を舞台にくりひろげられてきた、近代ドイツの芸術と社会のせめぎあいの歴史を啓蒙期から現代まで、様々なトピックから紹介するドイツ入門書。
2007年10月刊/290頁/大阪大学出版会/2000円



『English Sonnets from Carew to Coleridge』
桂文子(法学部教授)共著
 主に18世紀に書かれたソネットを探りあげ、詩人小伝、原詩、対訳、註釈を施し、鑑賞へ誘う。写真、図版も豊富で研究資料としても活用できる。
2007年12月刊/215頁/英宝社/2730円



『農が拓く東アジア共同体』
北原淳(経済学部特任教授)共著
 FTA交渉など東アジア共同体の形成可能性の中での農業生産の調整と持続性を探究。
2007年11月刊/325頁/日本経済評論社/2100円



『保育所の廃止』
田村和之(法科大学院教授)著者
 公立保育所の廃止・民営化に関する最近の裁判の動向を探求し、何が問題か検証している。
2007年5月刊/107頁/信山社/997円



『水俣五〇年─ひろがる 「水俣」の思い』
丸山徳次(文学部教授)共著
 水俣病公式確認から50年目の2006年「水俣・和光大学展」が開催され、それに連関した講演を中心に最首悟らが編集した論集。原田正純らの論考を含む。
2007年12月刊/364頁/作品社/2940円



『労働法を考える この国で人間を取り戻すために』
脇田滋(法学部教授)著者
 非正規雇用、長時間・不払労働など、「労働法のない世界」が広がるなかで、「働くルール」の必要性をわかりやすく説明したユニークな労働法入門書。
2007年10月刊/238頁/新日本出版社/1680円



『アメリカ〈帝国〉の失われた覇権 原因を検証する12の論考』
清水耕介(国際文化学部准教授)共著
 一国主義的方法論に傾きがちなアメリカ研究に対し、本書は様々な視点からアメリカを相対化する12の論文を収録している。
2007年8月刊/409頁/三和書籍/3675円



『鉄道─関西近代のマトリクス』
田口律男(経済学部教授)共著
 鉄道というシステムが関西近代の文化や文学に与えた影響について討議した日本近代文学会関西支部主催シンポジウムの報告書。
2007年11月刊/63頁/和泉書院/945円



『「歎異抄」に問う─その思想と展開─』
矢田了章(文学部教授)編
 何故『歎異抄』は、親鸞の著述と比してさえ現代人を引きつけるのか。教学史的立場を基本に、思想・展開と受容における問題に焦点をあて論じた。
2007年9月刊/295頁/永田文昌堂/5000円



『熊野比丘尼を絵解く』
根井浄(文学部教授)編者
 熊野信仰を全国に布教した熊野比丘尼の実像を解明。絵画史料、文献資料など、図版250点以上を収録した。日本仏教史上の彼女たちを位置づけた。
2007年11月刊/523頁/法蔵館/6300円




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