龍谷 2008 No.66

学部News (2008.4月〜9月)
文学部経済学部経営学部法学部
理工学部社会学部国際文化学部短期大学部法科大学院

文学部  
呉 善花(オ ソンファ)氏 特別講演会を開催

呉善花氏

呉善花氏
「日本民族の特徴」をテーマに講演される呉善花氏
 去る6月26日、文学部では、文学部・短期大学部同窓会の寄付講座である『教育学特殊講義(a)-キャリア開発論-』の授業に、呉善花(オ・ソンファ)氏を招いて「日本民族の特徴」をテーマに、特別講演会を開催した。
  呉氏は、韓国の済州島に生まれ、1983年に来日。大東文化大学に留学し、卒業後、東京外国語大学大学院修士課程を修了。現在は、拓殖大学国際学部の教授である。『攘夷の韓国 開国の日本』、『スカートの風』をはじめ、数多くの著書があり、「第5回山本七平賞」を受賞するなど、文筆家としても知られている。
  講演は、韓流ブームを巻き起こした『冬のソナタ』の「ヨン様」の話題を皮切りに、日本人と韓国人の違いについて、文化や礼儀、性格など、それぞれの特徴を分かりやすく紹介。呉氏が来日以来24年にわたり、日本を見てきて感じたことや、研究者としての視点から捉えた日本の姿について耳を傾けることで、理解しているようで理解していなかった「日本」を考える貴重な時間となった。特に、「日本は受身思想である」との呉氏の意見を聴いて、「日本人が捉える日本と、外国人が捉える日本には大きな違いがある」と感じた学生も多かったことだろう。
  この講演会によって、学生一人ひとりが、自身で新たな価値観をみつけられるきっかけになったのではなかろうか。

経済学部  
新学科完成年度に向け多様な教育を展開中

第1回経済学部アドバイザリーボード・シンポジウムの様子(発表者 渡利夏子氏)
 経済学部は2006年4月に学科改組をおこない、現代経済学科と国際経済学科の2学科の編成になった。今年は、新学科設立3年目を迎え、教育活動のさらなる充実をめざしている。
 新学科では、第1セメスターから第8セメスターまで「演習」を配置し(入門演習、基礎演習T・U、演習T・U、卒業研究)、学生一人ひとりにきめ細かな学修指導ができるよう継続した少人数教育を実施している。
  また、演習T(第4セメスター)以降の、専門ゼミでは、それぞれの専門領域で活躍している教員の指導のもと、多様な活動が展開されている。その例としては、北海道や長崎県といった、遠方にある他大学との合同研究の継続的な実施をはじめ、NPO・NGO団体や地方自治体と協力したフィールド調査、インターンシップ、地域団体・地元小学校との共同事業の実施、国内外へのゼミ合宿などがあげられる。新学科「第1期生」である現在の3年生(現代経済学科:333名、国際経済学科:224名)は、これらの活動を実践しつつ、卒業研究(卒業論文)に向け、各自、テーマを決定している段階である。
  2009年度に、新学科の完成年度を迎える経済学部は、今後もこのような演習活動を中心に質の高い教育を実践し、卒業後に多様なフィールドで活躍できる「人材」の育成をめざす。

経営学部  
「プログラム科目」、いよいよ始まる!

現地研修に向けた発表会の様子
現地研修に向けた発表会の様子
  経営学部では、2008年4月から新カリキュラムをスタートさせた。新カリキュラムでは、グローバル化する世界経済と、変化の激しい時代に活躍できる人材の育成を重点目標にしている。
  この新カリキュラムの目玉となるのが、経営コースに設置された「プログラム科目」である。プログラム科目とは、企業経営の現場へ学生を派遣し、今、企業現場で起きている課題を発見させ、それに対する解決策を考案させる授業である。
  今年の夏休みには、企業経営における日中比較をテーマとした「現代中国のビジネス」を中国(大連)で、経営資源としての「地域」の重要性を知ることをテーマとした「地域と企業」を北海道(網走)でそれぞれ実施した。
  去る8月1日、「現代中国のビジネス」参加者は、現地で報告するケース・スタディの発表練習会を実施した。この練習会では、参加学生が6月から2か月かけて作成したケース・スタディを報告。報告の後には、参加者同士で活発なディスカッションがおこなわれた。この練習会は、現地実習に向けたものであったが、報告内容・ディスカッションとも充実した内容であった(写真参照)。
  一方、「地域と企業」の参加者は、8月4日から7日まで、東京農業大学の教員による事前講義を受け、夏休み期間中に現地で報告するケース・スタディを作成し、9月12日から現地実習に取り組んだ。経営学部では、社会人基礎力を身につけた学生の輩出をめざして、これからも様々な教育活動をおこなっていく。

法学部  
実りある大学院進学を支援するため、
学部生の大学院科目履修制度がスタート


大学院科目履修制度
  法学部では2008年度から、卒業年次生のうち一定の資格を有する者に限り、学部における修学に影響のない範囲で、本学大学院法学研究科の科目履修を認める制度がスタートした。
 この制度で修得した単位は、学内推薦入学試験を経て、法学研究科入学後にNPO・地方行政研究コースに登録した場合、法学研究科の修得単位として認定される。この制度を活用する事で、原則として2年間の在学を要する修士課程を、1年で修了することも可能となる。
 本制度は「より高度な内容の科目を履修し、大学院進学までの学修に弾みをつけたい」、「早くから自治体やNPOにインターンシップに行って、自分の知識や興味の幅を広げたい」という学部生の声に応えたものであり、2008年度前期は2名の学部生が、この制度を利用して法学研究科科目を履修した。自治体やNPO団体の現職社会人学生も参加する授業では、常に現場を知る生の声が飛び交っており、学部生は多様な知的刺激を受けるとともに、大学院での学修にむけての意欲を高めている。
  NPO・地方行政研究コースは「理論と実務を架橋する」大学院教育として、60の自治体・NPO団体と連携協定を結び(2008年5月現在)、地方自治体や市民活動など、21世紀の地域社会において求められる高度な専門能力を持つ、地域公共政策のスペシャリスト育成に力を注いでいる。2007年度には、文部科学省の「大学院教育改革支援プログラム(大学院GP)」に採択され、学内外から大きな期待が寄せられている。

理工学部  
理工学部開設20周年記念
坂井利之初代学部長 特別講演


坂井利之初代学部長

 2008年度に開設20年目を迎えた理工学部では、開設20周年記念事業の一環として、2008年7月23日、瀬田学舎1号館において、初代学部長・坂井利之本学名誉教授による特別講演がおこなわれた。坂井氏(当時、京都大学教授)は、1986年8月に、山口昌哉本学名誉教授(当時、京都大学教授・故人)を通じて、千葉乗隆本学元学長(故人)と吉田茂芳本学元副学長に「これからの理工学部はどうあるべきか」と問われたのをきっかけに、1989年4月の理工学部開設の中心的な役割を果たし、また、初代学部長として、理工学部の立ち上げと理工学研究科の設置にも尽力した。
  「理工創設期のあれこれと先を見すえて」と題した講演では、当初3学科での開設を予定していたのが4学科になった経緯や、設置申請時に3年生向けの学外実習を実現するための保証(受け入れ先の承諾)を得ようとした際の苦労話などを交え、「理学部と工学部の両方を作れないから理工学部を作るのではなく、理学者と工学者を近い距離に置いて、連携を図るための学部を作る」、「開設後の設備の更新までを含めて研究環境を充実させ、最先端の研究を教育に反映させる」の2点を目標として、学部開設に取り組んだ道のりを紹介した。
  講演には、歴代の学部長をはじめ、理工学部開設に関係の深い人々が招待され、現職の教職員とともに講演に耳を傾け、理工学部の将来について、思いを新たにしていた。また、特別講演終了後には、退職した先生との施設見学ツアーや出席者による懇親会も開かれ、理工学部の過去・現在・未来について熱い議論が交わされた一日となった。

施設見学ツアーの様子
施設見学ツアーの様子

社会学部  
格差社会にドロップ・キック!!

講師の作家・映画監督の森達也氏(左)と望月成晃選手(右)
講師の作家・映画監督の森達也氏(左)と望月成晃選手(右)

 去る7月16日、龍谷大学社会学部学会主催の講演会「格差社会にドロップ・キック!!」がおこなわれた。当日は、多数の学生が会場となった瀬田学舎4号館209教室へと詰めかけた。
  この日は、講師にプロレスラーの望月成晃選手(DRAGON GATE所属)と、作家で映画監督の森達也氏を迎えて、「現代社会とプロレス」をテーマに、熱い議論が交わされた。
  トークセッションで、森氏は、メディアでのプロレスの取り上げられ方について、「『虚』と『実』が入り乱れたプロレスを観る事で、私達は今までとは違う視点を持つことができるのではないか」と語った。
  これに対して、望月選手は、自身のプロレス体験をもとに「プロレスには観る人を納得させる『説得力』が必要だ」とし、自身のプロレスにおける信念を語った。試合当日にチャンピオンベルトを忘れたというエピソードも披露し、場内を爆笑の渦に巻き込んだ。また、望月選手の試合の様子もビデオで上映された。
  前期授業の最終日におこなったイベントであったが、学生のほか、学外からの聴講者も多く、イベントは盛況のうちに終了。学生スタッフたちは、今回の成功を糧に、後期のイベントに向けて早くも動き出している。

【社会学部20周年設立記念シンポジウム】
日 時:2008年10月26日(日)10時〜15時
場 所:龍谷大学瀬田学舎4号館209号室
テーマ:「社会的排除を考えるー子ども・若者の場合ー」
(1)基調講演
  講   師:山田昌弘氏(中央大学教授)
(2)シンポジウム
  パネリスト:山縣文治氏(大阪市立大学教授)
        宮本みち子氏(放送大学教授)他
  コーディネーター:亀山佳明本学社会学部教授
【社会学部20周年設立記念講演会】
日 時:2008年11月2日(日)14時30分(受付開始14時)
場 所:龍谷大学大宮学舎清和館3階ホール
講演者:大田昌秀氏(前沖縄県知事・元参議院議員)
テーマ:平和と学問ー日本留学やアメリカ留学で体験したことー

国際文化学部  
今年も多くの学生が
海外留学へ出発します!!


最終講義の様子
 国際文化学部では、学生の外国語能力の向上や、異文化を理解するためのフィールドワークの機会として、海外留学を推奨し、毎年多くの学生が海外で学んでいる(2007年度に半期以上の長期留学を経験した学生は132名)。これら長期留学者のなかでも、自己応募で留学する国際文化学部の学生については、留学先での学習方法や心構え、渡航時の注意事項などを伝える「留学前オリエンテーション」を、3回にわたり実施している。
  学生のなかには、「とりあえず、海外の大学で学びたい」と留学を考える者も多いことから、何を目的に学び、何を得て帰国したいのか、そして、将来その経験をどう活かしたいのか、そのための計画は具体的にできているのかなど、単に憧れだけの留学にならないよう、「自分にとっての留学の意義」を改めて考えてもらう機会としている。
  また、オリエンテーションでは、留学から帰国した学生に経験談を語ってもらう時間を設け、現地での友達の作り方や、ホームステイ先での家族との接し方、安全管理や健康管理についてなど、学習以外の日常的な生活についても説明している。
  2008年度後期に、長期留学へ出発する予定の国際文化学部の学生は77名(交換留学・BIEプログラムを含む)。行き先は、アメリカ、カナダをはじめ、オーストラリアやニュージーランド、フランス、スペイン、スウェーデンなど多岐にわたる。まさに、地球をキャンパスにして学ぶ国際文化学部の学生。留学による貴重な経験で、より大きく成長して帰国することを心から楽しみにしている。


短期大学部  
花壇管理事業で障がい者の就労支援を

大型プランターへの共同植え込み作業もおこなった
大型プランターへの共同植え込み作業もおこなった

 今年3月、深草学舎中央広場において精神障がい者の就労を支援する「花壇管理事業」が開始された。
  これは、本学が花壇設営を業者に委託する際に、業者が社会福祉法人「伏見ふれあい福祉会」と契約し、同会の精神障がい者授産施設に通所する人達を雇用するよう働きかけて実現したもの。深草学舎中央広場に設置された、直径1.5メートルと1メートルの大型プランター計21基には、「京都ふれあい工房」の利用者と、短期大学部学生の共同作業によって植え込みがおこなわれ、四季折々の美しい花が深草学舎に彩りをそえている。
  今回の取り組みは、障がい者雇用の場を創出するとともに、短期大学部教員が事前・事後指導をおこない、短期大学部の学生がボランティアとして参画し、障がい者交流・地域交流を交えた福祉教育活動の一環として位置づけられるもの。2年前にオープンした知的障がい者の就労を支援するカフェ「樹林」に続いて、「ノーマライゼーション(障がいのある人とない人が支え合い、活かしあって暮らし、働く社会こそノーマルな社会であるという考え方)」の理念を実践する事業として、いま、学内外から注目を集めている。

※花壇管理事業が産経新聞(2008年3月15日)に掲載されました。

短期大学部の特色ある授業を、短期大学部ホームページ「授業探訪記」に連載中です。
http://www.human.ryukoku.ac.jp/

※「龍谷大学短期大学部」で検索してください。


法科大学院  
龍谷大学法科大学院、第2ステージへ。

研究生用共同自習室
研究生用共同自習室
  龍谷大学の法科大学院は今年で4年目を迎え、第2ステージに入った。今期は「4つの改革」のスローガンのもと、以下4点の事業や制度の改革をおこなった。
(1)系統的・効果的な学習を実現するた めのカリキュラムの見直し、これに ともなう法学既修者認定制度の改善
(2)成績優秀者の授業料免除、法学部同 窓会の給付奨学金の新設などの財政 的支援の拡充
(3)入学直後からスムーズに学習を始め るための事前学習会の拡充
(4)研究生制度の開始による修了後の学 習支援体制の充実
  この3月に送り出した修了生39名のうち、24名が新司法試験を受験し、13名が短答試験をクリアし、最終合格者は2名(いずれも法学未修者)であった。
  新司法試験は、5日間で公法、民事法、刑事法の3分野の短答試験を受け、さらに憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法及び刑事訴訟法の各分野から出題される必須試験に、法律選択問題を加えた8つの問題に論述で答えるという過酷なものである。受験者のがんばりに敬意を表したい。
  今年は第1期生だけが受験したわけだが、これからは、2年目、3年目(法科大学院修了者は、修了後5年間に3回受験できる)の再チャレンジ組が加わるので、3・4年後には、ほかの法科大学院と比較が可能になる。今後の修了生の健闘に期待したい。

理工学部・社会学部
瀬田学舎開学20周年記念式典を開催
理工学部・社会学部の開設20周年各種イベントが幕開け

 龍谷大学350周年事業の一環として開学した瀬田学舎は、今年20年目を迎え、理工学部と社会学部では各種イベントの開催を予定している。
  その幕開けとして、7月19日、樹心館において法要を執りおこない、4号館で滋賀県知事・嘉田由紀子氏の講演会を開催した。
  まず、四ツ谷理工学部長の開会の辞、若原学長の挨拶、目片信大津市長の祝辞に続いて、滋賀県知事の嘉田由紀子氏による講演「滋賀県における文理連携の地域貢献を期待して」がおこなわれた。
  瀬田学舎は、滋賀県からの誘致を受け、多大な支援のもとに開学が実現した経緯がある。今回は、開学20年の節目に、現役の県知事を招くことで、本学に期待される役割について再確認するねらいもあった。
  講演内容は、環境社会学者として、また県知事として、同氏が滋賀県と関わってきた経験に基づき「自然科学的な視点と人文・社会科学的な視点とを組み合わせることが重要であり、滋賀県がその適地である」事を示唆する、大変印象深いものであった。
  当日は、学内外から約400人の参加があり、長上社会学部長の閉会の辞で、盛会のうちに終了した。
  今後の両学部における講演会やシンポジウムなどの20周年記念イベントは、両学部の右記のホームページで案内している。

講演をおこなった嘉田由紀子滋賀県知事 理工学部
http://www.rikou.ryukoku.ac.jp/20th/index.html


社会学部
http://www.soc.ryukoku.ac.jp
講演をおこなった嘉田由紀子滋賀県知事



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