龍谷 2008 No.66
BOOKS 新刊紹介

出版情報  

『現代保険業研究の新展開 競争と消費者利益』
井口富夫(経済学部教授)著者

 保険の機能と保険事業者の役割を明確に区分することが保険業研究にとって必要不可欠である、という視点から本書全体が書かれている。経済学の一般的な分析手法を用い、保険研究の出発点に立ち返って、現代保険業が抱える諸問題を検討している。とりわけ、保険業における消費者利益を確保・増大させる方策を探っている。
2008年2月刊/193頁/NTT出版/3990円
『日本語オノマトペ語彙における形態的・音韻的体系性について』



『夏目漱石と個人主義 
-<自律>の個人主義から<他律>の個人主義へ-
亀山佳明(社会学部教授)著者

 夏目漱石は、近代日本の価値観は集団主義的なものから個人主義的なものに変化してゆかざるを得ない、と考えていた。しかし、西洋風の<自律>の個人主義は、他者を絶えずライバルとみなす自尊心の病を生じさせるゆえに、それを超える<他律>の個人主義の思想に行き着くことになった。これこそが、晩年に彼の唱えた「則天去私」に通じる世界観ではなかったか。
2008年2月刊/283頁/新曜社/3150円

『Japan’s Built-in Lexicon of English-based Loanwords』




共同研究活動  

龍谷大学社会科学研究所叢書第78巻
『ヨーロッパ私法の展開と課題』

川角由和(法科大学院教授)、中田邦博(法科大学院教授)編
 債権法の現代化を課題とする日本民法学にとってヨーロッパ私法の展開を捉えることはきわめて重要である。本書は、『ヨーロッパ私法の動向と課題』(2003年)の続編として、ヨーロッパ契約法研究会による比較法的な作業をまとめたものであり、この分野をリードする研究書となっている。
2008年3月刊/696頁/日本評論社/7875円

龍谷大学国際社会文化研究所叢書5 『国境を越えた村おこし日本と東南アジアをつなぐ』



龍谷大学社会科学研究所叢書第79巻
『中国の環境問題と法・政策
-東アジアの持続可能な発展に向けて-
北川秀樹(法学部教授)編著
 急速な経済発展とともに深刻化しつつある中国の環境問題を取り上げ、法・政策の視座から論じたものである。執筆者は中国の環境研究の第一線で活躍する日中双方の中堅、若手の研究者である。序論の「環境問題と法・制度」に続き、「環境汚染と紛争」、「生態環境保全」、「公衆参加」、「地球環境問題」の5部、19章からなる。多くの領域にまたがる環境法・政策の現状と課題を体系的に理解するのに役立つ書である。
2008年3月刊/438頁/法律文化社/6090円
龍谷大学善本叢書26 『太平記』



龍谷大学社会科学研究所叢書第80巻
『若者の雇用・社会保障 
主体形成と制度・政策の課題
脇田滋(法学部教授)他 編著
 貧困と格差、長時間労働と非正規雇用など、若者が希望をもてない状況が広がっている。本書は、若者の雇用と社会保障を中心に制度・政策の課題を論じている。類書と違うのは、執筆者の多くが関連した社会的実践に深くかかわっていることであり、「若者を励まし、若者とともに問題を解決する」という視点を重視していることである。
2008年3月刊/264頁/日本評論社/5775円
龍谷大学仏教文化研究叢書16 『反省(會)雜誌V』



人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センター研究叢書7
『仏教と生命倫理の架け橋』

鍋島直樹(法学部教授、人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センター長)、
井上善幸(文学部准教授)編

 バイオテクノロジーの進歩する時代に、かけがえのない命を守るにはどうすればよいかを、仏教の縁起、智慧、
慈悲の真理に照らして真摯に探究した書。日米、タイの仏教学者や神学者の論文は、創造性に富んだ視座を与えてくれる。石塚伸一氏は「未来の日記」である遺伝子情報について見据え、井上善幸氏は親鸞の慈悲理解の背景について考察する。
2008年7月刊/237頁/法蔵館/3780円

地域ガバナンスシステム・シリーズNo.10 『行政学修士教育と人材育成─米中の現状と課題─』


◆みんなの本棚◆

『百済王氏と古代日本』

 古代日本国家より百済王という特異な姓を与えられた渡来氏族。その政治、文化面における動向を藤原南家との関係を中心に考察した。
大坪秀敏(1971年文学部卒業・龍谷大学史学会会員・大阪府)
2008年1月刊/344頁/雄山閣/6300円

『夏空彦』



『まちづくりNPO成功の秘訣』

 兵庫県、奈良県のまちづくりNPOを対象にアンケート調査を実施。その結果から、運営に成功するための組織づくり、運営体制を考察した研究報告。
平櫛恵美子(1973年法学部卒業・行政書士・奈良県)
2008年3月刊/52頁/牧歌舎/1260円

『兄国 えくに(新現代歌人叢書53)』



『カウラの風』
 太平洋戦争中、豪カウラの捕虜収容所で日本兵が集団脱走を試み231人が死んだ。筆者は、生存者に取材し、事件の背景や心の奥底を描き出す。
土屋康夫(1973年経済学部卒業・岐阜新聞論説委員兼編集委員・岐阜県)2004年2月刊/294頁/KTC中央出版/1680円


『岡井隆と初期未来 若き歌人たちの肖像』


「龍谷」出版情報  

『普及版 日本が知らない戦争責任』
戸塚悦朗(法科大学院教授)著者
 旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する日本政府の対応を非難する米国議会等の決議が相次いだ。それがなぜなのか、立法解決が可能かなどの問題に答える。
2008年4月刊/381頁/
現代人文社/2940円



『プリンス ホーエンシュティール・シュヴァンガウ 世の救い主』
桂文子(法学部教授)翻訳
 ロバート・ブラウニングの問題作、怪帝(?)ナポレオン三世を扱った劇的独白詩。本邦初訳。ナポレオン三世が娼婦相手に独白する自己弁明。
2008年1月刊/213頁/
英宝社/2310円



『徹底批判G8サミット-その歴史と現在』
杉村昌昭(経営学部教授)翻訳
 日本ではよく知られていないが、G8サミットは国際法の根拠のない私的な会合にすぎない。本書はその不法な会合の問題性を余すところなく描いたもの。
2008年6月刊/215頁/
作品社/1890円



『アフリカ政策市民白書2007〜アフリカ開発会議(TICAD)への戦略的提言〜』
大林稔(経済学部教授)編著・共著
 1993年から実施されたTICAD(アフリカ開発会議)を振り返り、日本の対アフリカ政策がアフリカ民衆に届くものとなるよう提言をまとめた。
2008年3月刊/109頁/
晃洋書房/1365円



『モラリア7』(プルタルコス著)
田中龍山(文学部講師)翻訳
 紀元後一世紀に活躍したプルタルコス(プルターク)による倫理論集。『ソクラテスのダイモニオンについて』『神罰が遅れて下されることについて』等を所収。
2008年2月刊/382頁/
京都大学学術出版会/3850円



『最先端照明・光源技術全集』
木村睦(理工学部教授)共著
 照明の基礎や評価から各種の光源まで、広範かつ詳細に解説。本著者は、有機ELの駆動方法と動作原理について、系統的かつ包括的に説明している。
2008年2月刊/336頁/
技術情報協会/86100円



『ラボレベル・研究初期で必要となる発光素子、発光デバイス開発のための基礎技術・装置・測定、評価法』
木村睦(理工学部教授)共著
 大学や研究所で研究初期に揃えるべき装置と評価方法について詳解。本著者は、薄膜トランジスタに関して、有機ELの応用事例を挙げて説明している。
2008年3月刊/280頁/
情報機構/64050円



『FPDの比較と製造プロセス〜各種部材への要求特性と性能評価』
木村睦(理工学部教授)共著
 液晶・プラズマ・ELなどのディスプレイの動作原理や製造工程を詳解。本著者は、有機ELの駆動方法と画素回路について、包括的に説明している。
2008年5月刊/399頁/
情報機構/71400円



『釈尊の教えとその展開-インド篇-』
相馬一意(文学部教授)共著
 仏教概論のテキストとして使用すべく、仏教思想の展開を略説した。インド・中国・日本にわたる流れのうち、前半のインドの部をまとめたもの。
2008年3月刊/208頁/
本願寺出版社/1260円



『言語とパワー』
(著者:ノーマン・フェアクロー)
脇田博文(国際文化学部教授)翻訳・共著
 「批判的談話分析」入門書。言語とパワー(権力)、とりわけ現代社会における言語使用と不平等なパワー関係を種々のテクスト例を用いて分析。
2008年3月刊/341頁/
大阪教育図書/3780円



『劣化画像の復元・ノイズ除去による高画質化』
藤田和弘(理工学部准教授)監修・共著
 劣化画像復元・ノイズ除去に関する技術的資料として、京都工芸繊維大学、九州工業大学、関西大学の先生方とともに、まとめた書籍。
2008年3月刊/199頁/
トリケップス/52290円



『出来事のポリティクス-知-政治と新たな協働』
村澤真保呂(社会学部准教授)翻訳
 ポストフォーディズム時代に大きく変容した労働環境を分析し、思想史的文脈から新しい労働と社会のあり方の可能性を考察した書物。
2008年6月刊/382頁/
洛北出版/2940円



『脱オリエンタリズムと中国文化<日中社会学叢書(1)>』
北原淳(経済学部教授)共著
 「東アジアにおける農村=都市関係の変化」を担当。近代化のアジア的特色をフォローするのが共著全体の主旨。
2008年2月刊/247頁/
明石書店/3150円



『人的資源管理論のエッセンス』
西川清之(経営学部教授)翻訳
 アメリカの人的資源管理論のテキストの翻訳書。人的資源管理論の全領域をコンパクトに解説。わが国の人事制度との比較に最適。
2008年6月刊/278頁/
中央経済社/2940円



『古事記を読む』
平林章仁(文学部教授)共著
 神々の誕生から推古天皇までの「歴史」を記す古事記。出雲神話やヤマトタケルなど多彩な物語を、歴史・文学など多方面から実態に迫り魅力を考える。
2008年6月刊/236頁/
吉川弘文館/2940円



『プリメール民法1 入門・総則(第3版)』
中田邦博(法科大学院教授)共著
 法人法等の改正を受け、また第2版以降の判例と学説の展開を踏まえて改訂した。最新の情報を提供する民法教科書。
2008年3月刊/348頁/
法律文化社/2940円



『政府・地方自治体と市民社会の戦略的連携-英国コンパクトにみる先駆性』(地域ガバナンスシステム・シリーズNo. 7)
的場信敬(LORC博士研究員)編者
 英国で活発に展開される戦略的パートナーシップ型政策のひとつ、「コンパクト(セクター間の関係性を定義づける協約)」の取り組みの紹介。
2008年3月刊/91頁/
公人の友社/1050円



『市民と自治体の協働研修ハンドブック』(地域ガバナンスシステム・シリーズNo. 9)
土山希美枝(法学部准教授)著者
 龍谷大学LORCで試行された「協働研修」の手法を紹介し、その成果を広く社会に還元するためのハンドブック。研修の模様を収録したDVD付き。
2008年4月刊/90頁/
公人の友社/1680円



『参加と協働の地域公共政策開発システム』(地域公共人材叢書第1巻)
白石克孝(法学部教授)編者
 「持続可能な地域社会を実現するローカルガバナンス」をテーマに、地域公共性概念と公民関係の検討を通して地域公共政策開発の方向性を提示する。
2008年4月刊/240頁/
日本評論社/3150円



『地域公共政策をになう人材育成-その現状と模索』 (地域公共人材叢書第2巻)
大矢野修(法学部教授)・土山希美枝(法学部准教授)編者
 協働型社会における地域公共政策の過程を担う「地域公共人材」の重要性を提起し、その教育・研修の現状と展望を国際比較を通して分析する。
2008年4月刊/215頁/
日本評論社/3150円



『地域公共人材教育研修の社会的認証システム』 (地域公共人材叢書第3巻)
富野暉一郎(法学部教授)編者
 協働型社会における「地域公共人材」の教育・研修システムの質保証および人材の社会的最適配置を実現する社会システム設計に関する議論と提言。
2008年3月刊/224頁/
日本評論社/3150円



『Handbook of Research on Ethnic Minority Entrepreneurship:A Co-evolutionary View on Resource Management』
李洙任(経営学部教授)共者
 エスニック・マイノリティビジネスに関するハンドブックで、世界の少数派の経済活動を解説する著。40章で、korean Minority Entrepreneurs in Japan を担当し、「ハンディ」をばねにした在日コリアンの起業家精神を考察している。
2008年2月刊/835頁/Edward Elgar Publishing/
$370



『浄土真宗本願寺派 アジア開教史』
上山大峻(元学長)監修
赤松徹眞(文学部教授)、
新田光子(社会学部教授)、
小島勝(文学部教授)、
三谷真澄(国際文化学部准教授)
野世英水(非常勤講師)、
藤能成(非常勤講師)共著
 第2次世界大戦前・戦中のアジア地域における浄土真宗本願寺派の開教の事績と戦後の非戦・平和への取り組みについて、はじめて本格的に論じている。
2008年3月刊/372頁/
本願寺出版社/2457円



『韓国語 動詞と形容詞の使い方辞典』
泉文明(国際文化学部教授)監修
 韓国語学習でキーポイントの一つとなる用言活用に着目して、作成した。活用表と活用パタンを文レベルで示し、自然な定着をねらった。教科書と辞書の中間的な存在。
2008年4月刊/491頁/
三省堂/2415円




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