夢かと思った
強豪を破っての全国大会出場
10月の関西合唱コンクール会場で、「全国大会出場合唱団は、龍谷大学混声合唱団ラポール」と告げられたとき、一番驚いたのは舞台上の中本さんと木原さん。「えぇーっ!!」と叫んで顔を見合わせ絶句してしまう。
合唱団結成から40数年の歴史あるラポールは年々メンバーも増え、今では80人余りの大所帯。恒例の12月の定期演奏会には、会場を聴衆でいっぱいにできる人気と実力も付いている。しかし毎年、関西合唱コンクールで最高位を取ろうとしても、関西学院グリークラブをはじめとする強豪に夢を打ち砕かれてきた。
もちろん今年のコンクールでも、関西学院グリークラブは当然のように金賞。龍谷大学のラポールも同じく金賞を取ったが、ラポールのメンバーは誰もが「全国大会出場校は他大学が果たすであろう」と思っていた。だから、全国大会出場を知らされたとき、「すげえ、夢じゃないか!?と半信半疑の状態でした」(中本さん)。ラポールが全国大会出場の切符を手に入れたのは20年ぶりのことだった。
今年、彼らが歌ったのは、課題曲のバード作曲『Cibavit eos(良い麦で養ってくださる)』と平家物語をモチーフにした千原英喜作曲『那須与一』。「同じ楽曲でも、その日のコンディションで歌声はがらりと変わる。だからこそ、その一瞬に心を込めるんです」(春日井さん)。歌が好きでたまらない者同士、心を一つにして獲得した勝利であった。 |