龍谷 2009 No.67

龍谷人

大橋史子(おおはしふみこ)さん 社交ダンスへの情熱と
将来の介護福祉の夢。
仲間の支えで両立できた4年間。


大橋史子(おおはしふみこ)さん
社会学部地域福祉学科4年生
京都文教高校出身

 きらびやかな衣装を纏いラテンダンスを踊る姿は、小柄な彼女がとても大きく見える。瀬田キャンパスで福祉を学ぶかたわら、京都大学の社交ダンスサークルに所属し、輝かしい成績を残してきた大橋史子さん。大橋さんの大学生活はダンスへの情熱と、将来、介護福祉の仕事に就くという夢を両立させる努力の日々だった。
 龍谷大学入学後に入った京都大学の社交ダンスサークル「ALL京都舞踏研究会」では大学の枠を超えて、中心選手として活躍。2008年に行われた秋期関西学生競技ダンス選手権大会では個人総合の部1位、現役最後の大会となった第53回全日本学生競技ダンス選手権大会ではチャチャチャの部で第9位に入賞。パートナーやサークルの仲間達と歩んできた4年間の競技生活を締めくくるのにふさわしい好成績をおさめた。
 一見、華やかに見える社交ダンスだが、高い競技レベルを維持し続けるためには過酷なトレーニングを必要とする。そんなとき、大橋さんの支えになったのは、家族、そして、龍谷大学でともに福祉を学ぶ友人達だったという。
 「努力が結果に結びつかないときなどは、体力的にも精神的にもつらく、ダンスをやめたいと思ったこともありました。でも、たくさんの仲間や家族が応援してくれていることが励みになって4年間続けてこれたのです」
 大橋さんが福祉に関心を持つようになったのは、中学生の頃。祖母が認知症となり、自宅で母が必死に介護をおこなう姿を目にしたことがきっかけだった。その頃から将来は介護福祉の道に進むと決めていたという。
 そして、龍谷大学のオープンキャンパスで見た、充実した介護福祉設備に興味を持ち、社会学部地域福祉学科へと入学する。
 「子供の頃から続けてきたダンスを大学でもがんばりたいという想いと同じく、介護福祉の道に進むことがわたしの大きな目標だったんです。1年生のときには、他大学のサークルに参加することで福祉の勉強と両立できるのかと不安になり、ゼミの先生や職員の方に相談にのっていただいたりしたこともありました」
 瀬田キャンパスでの講義と京都大学でのダンスの練習を往復する多忙な日々のなかで、大橋さんがほっとできる場所があった。福祉学科内にある福祉工学機器開発室だ。ここでは、介護福祉用の自助具について研究するサークル「WAKKA(ワッカ)」にも在籍し、将来の夢に向けて取り組むと同時に、ダンスで張り詰めた気持ちをほぐし、友人達とリラックスできる場だったという。
 卒業後には、特別養護老人ホームに介護職として就職が決まっている大橋さん。
 「実際の介護の現場に出ることに不安はあります。でも、それ以上に楽しみでもあるんです。実は、社交ダンスを始める以前は、引っ込み思案な性格で人とのコミュニケーションがとても苦手でした。でも、パートナーとの強い意志疎通が必要な社交ダンスで、対人能力も鍛えられました。社会人も参加するニュースターボールダンス選手権大会にも出場し、アマチュアラテンA級で1位を獲得できたことは、大きな自信に繋がりました。卒業後は、要介護者の方とうまくやりとりができるよう、ダンスの経験を活かしたいと思っています。介護福祉の現場では人見知りなんてしていられないですからね」
 社交ダンスと介護福祉。それぞれの目標に全力疾走した4年間は、卒業後の進路で思いがけず繋がっていた。ダンスはこれからも趣味として、自分の楽しみとして続けていきたいと話す大橋さん。春からは新しい舞台で彼女の笑顔が見られそうだ。

第53回全日本学生競技ダンス選手権大会で9位に入賞した時の演技。
第53回全日本学生競技ダンス選手権大会で9位に入賞した時の演技。
ALL京都大学舞踏研究会の仲間達と。
ALL京都大学舞踏研究会の仲間達と。


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