龍谷 2009 No.68
青春クローズアップ│大津エンパワねっと

青春クローズアップ│大津エンパワねっと

青春クローズアップ│大津エンパワねっと
龍谷大学のキャンパスがある大津市を舞台に、地域住民と学生が関わり合い、ともにまちづくりに取り組む教育プログラム「大津エンパワねっと」。2007年度、文部科学省の現代的教育ニーズ支援プログラムの採択を受け社会学部でスタートし、この秋開かれる報告会で、第1期生は修了を迎えます。大学と地域住民で作る初の体験的な教育プログラムとして、学生も教員も手探りのなか、第1期生は、何を感じ、学んだでしょうか?代表の筒井のり子教授が、4人の学生に授業の成果について迫りました。


夏祭りに喫茶店…
人と人との接点を築く


青春クローズアップ│大津エンパワねっと

筒井 「大津エンパワねっとコース」の中心となる「地域エンパワねっと実習」は、地域住民・諸団体と協働して、地域課題を『発見』していく「実習1」(2年後期)と、その『解決』のためのプロジェクトを企画・実行する「実習2」(3年前期)からなります。
 「実習2」で生まれた約10のプロジェクトの中から、今回は4つのグループの方に集まってもらいました。皆さんは、地域のどんな課題に気づき、どんな取り組みをしてきましたか?

大和 「大津の魅力再発見」をテーマに、大津市の中央地区での世代間交流と商店街の活性化に取り組みました。「実習1」で住民の方から「商店街にベンチがない」という意見をもらっていたので、最初はベンチを作ろうかと考えましたが、それでは世代間交流につながらないだろうと見直し、お年寄りも子どもも楽しめる「カルタ遊び」に決めました。大津にちなんだ読み札、絵札を住民の方に書いてもらい、最終的には7月25日の「夜市」という地域のお祭りで皆さんにカルタを楽しんでもらいました。

平泉 僕のグループは自治会と世代間交流をテーマにして、「実習1」では、自治会の行事のお手伝いをしました。その時は既存のイベントに便乗しただけだったので、「実習2」では、自分達が主体になって何かを提案しようと、誕生したばかりの自治会に協力を申し出たところ、快く受けてくれました。自治会長を中心に話し合いを重ね、今回は夏祭りを一緒におこなう事が決まりました。住民の方には模擬店を開催してもらい、僕達は子ども達に楽しんでもらうゲーム作りをし、お互いに協力し合いながら夏祭りを作り上げていきました。

山田 僕のグループの場合、まず住民の方にアンケートやインタビューをし、地域の持つ課題を調べました。そのなかで「学生が地域にもっと参加してほしい」という意見が多い事に気づき、学生、住民問わず地域のイベントに参加できるような環境づくりをテーマにしました。10月24日に開かれる地域主催の「子ども鉄サミット」に学生が参加する事、住民の方には同じ時期に開催される龍谷祭に来てもらう事を目標に、看板を立てて告知をするなどして、様々な仕掛けを思案中です。

三井 地域の方々が自治会やエリアに関係なく、幅広く交流できるように、町家キャンパス「龍龍」のスペースを使って、喫茶店を2回オープンしました。地域の方々にはお茶菓子の提供や看板づくりなど、オープン前からサポートをしてもらいました。


イベントを立ち上げる事よりも
その後どう関わっていくかが大事


筒井 地域の方には様々な形で協力していただきましたが、こういった実習に対する住民の方の反応を受けて、どういう事を学びましたか?

大和 「大津カルタ」では、読み札、絵札を地域の方に書いてもらうために、最初イベントを開いたのですが全然人が集まらなかったんです。そこで子育て支援センターや、商店街に足を運んで協力してもらい、なんとか「夜市」の前日にカルタが集まりました。私達が関わった中央地区は歴史のある古い町なので、保守的な部分があると思います。こちらから積極的に働きかけていく事で徐々に受け入れられていったように思います。

三井 最初スムーズに受け入れてくださっても、私達が今後どうしていくかというのが明確でないとダメですよね。イベントを立ち上げればとりあえずその場は盛り上がるでしょう。でも、それだけで終わってしまうと、地域の方は何のために協力しているのかがわからなくなる。活動が一段落した時、地域の方からは「これからどうするの」「どう関わっていくの」という質問がくるのは当然の事。協力していただいた分は、私達もきっちりお返しするような関係を作らないといけないと感じましたね。

筒井 三井さんが取り組んだ喫茶店では、「スペースを使ってイベントを開きたい」といった住民の方からの要望も出てきました。イベントを通して、改めて出てくる反響や課題もありますよね。

三井 実習も終わり、就職活動も始まりますし、これから住民の方と上手く関わりを保てるかは難しいかもしれません。だからこそ、上手く後輩にバトンタッチできるかどうか、というのも課題になってきます。

大和 「夜市」では、お年寄りの方と子ども達が「大津カルタ」で遊んでいるのを見かけ、普段接点のない人同士がつながる場面を実現できた事にやりがいを感じました。でも問題は、それをこれからどう続けていくかなんですよね。


1期生は土台づくり
本当の意味での良い関係は
『これから』築くもの


筒井 初めてのプログラムで戸惑う事も多かったと思いますが、実習の方向性について今後どういう展開を期待しますか?次の実習生達に送りたいメッセージは?

山田 自分達がやってきた事をそのまま引き継いでもらいたいとは決して思っていません。失敗も多いですし、今の形で続ける事がベストだとは思えないですしね。むしろ、いろんな挑戦を地道に続けて、ようやく見えてくるものだと思います。僕自身、実習は終わりますが、その後も活動できる事がエンパワねっとの魅力だと思っています。後輩と一緒にやれる事があれば積極的に関わっていきたいですね。

平泉 地域の方にはこれまでお世話になっていますので、プライベートでも声がかかれば今後も参加しようと思いますね。せっかくの縁ですから、協力できる事があれば協力したい。そうやって継続的に大学と地域がつながっていけば、将来、良い関係を築けるのではないかと思っています。僕らは1期生なので、その土台作りの立場だと思っています。地域と大学の懸け橋に少しでも役に立てれば良いですね。


  筒井のり子教授│社会学部地域福祉学科  

筒井のり子教授

社会学部地域福祉学科


  大和 雅子さん   大和 雅子さん   大和 雅子さん   大和 雅子さん  
 

みつい ちさほ

三井 千沙穂さん

社会学部3年生
山田高校出身

 

ひらいずみ まさき

平泉 昌輝さん

社会学部3年生
和歌山高校出身

 

やまだ りょうすけ

山田 涼介さん

社会学部3年生
桃山高校出身

 

おおわ まさこ

大和 雅子さん

社会学部3年生
松本蟻ヶ崎高校出身

 


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