龍谷 2009 No.69

 
CLOSE UP 青春クローズアップ
「ほっこりひろば」で活動する田中由起さん。

ボランティアで子育てを支援

    子育ての地域環境
田中 由起さん
たなか ゆき
田中 由起さん
社会学部4年生
滋賀県立甲西高等学校出身

高校時代、所属していたボランティア部の活動を通じて福祉に関心を持ったという田中さん。社会学部地域福祉学科に入学後は、その関心が次第に児童福祉へと移っていったという。
 「福祉にはとても多くの分野があるので、入学して間もない頃は自分がどの道に進めばいいのかわからなくなったこともありました。でも、姉に子どもが生まれたことをきっかけに、子育てをする地域環境全体を含めた児童福祉の分野に興味を持つようになったんです」。
 田中さんの二人のお姉さんは、ともに結婚後、実家のある滋賀県で出産し、子育てをしている。その様子を近くで見ていた田中さんには、地域環境における子育てのしづらさについて徐々に問題意識が芽生えてきたという。
 「買い物などに不便な地域に住んでいた姉達は、車が無いために子どもを連れて出かけることもできず、次第に家に閉じこもりがちになっていきました。当然、お母さん同士の交流も持ちにくくなるし、悩みを一人で抱え込んでしまうようになっていく。実家の近くに住んでいる姉達でもこんなに大変なんだから、他府県から来た人はどんなに苦労しているんだろうと考えるようになったんです」。
 そんな思いを抱えながらボランティアとして参加した「ほっこりひろば」には、保育士やほかの子育て支援センターでの豊富な経験を持つスタッフも多く、田中さんにとっては実践的な学びの場となったという。
 「子どもって、1ヵ月でも見違えるほど成長しますよね。その子どもに合った接し方や遊び方を考える必要があるし、それをお母さんにもわかりやすく伝えていかなければいけない。スタッフの皆さんのお仕事を見ているだけでもとても勉強になるんです」。

   自分にも、まだできることはあるんじゃないか
現在、「ほっこりひろば」に登録している龍大生のボランティアスタッフは約10名。月に一度の運営会議にも参加し、児童福祉のプロにまじってイベントの企画や施設の設営などにも関わっている。「ほっこりひろば」の事務局長、松村雅子氏は学生の自主性を大切にした施設運営を心がけていると話す。
 「ひとくちに児童福祉と言っても、取り組んでみたい活動は学生さんごとに違いますからね。なるべくその方の関心に合った内容で参加してもらえればと考えています。イベント企画の持ち込みなどをしてくれる方もいて、皆さん積極的に関わってくれていますね。私達スタッフが気づかなかった、ふとした親子の様子を気にかけたりと、若い人達の視点に驚かされることもあります」。
 福祉現場と大学が協働する新しい試みを体験したことで、田中さんは本格的に児童福祉の道を志すようになったという。卒業論文は、子育てがしづらい地域での問題とその解決をテーマに執筆。その取り組み事例として「ほっこりひろば」の活動内容や利用者のお母さん達へのインタビューなどをまとめた。
 現在は卒業直前に受験する予定の、社会福祉士と精神保健福祉士の資格試験を控え、勉強漬けの毎日だという田中さん。「ほっこりひろば」で出会った同じ目標を持つ龍大生ボランティアとの交流も、大きな励みになっているという。
 「卒業してからも、『ほっこりひろば』には関わり続けていきたいですね。今は自分が知らないことや、わからないことが多すぎてあまり力になれていないかもしれないけど、もっと経験を積んでいけば、自分にもまだできることはたくさんあるんじゃないかって思うんです」。
 
 地域密着の児童福祉
 ボランティアで子育てを支援

新興住宅地の開発が進む瀬田キャンパス近隣では、若い世帯の流入が増える一方で、育児を支援するための施設が不足しており、子育てに悩みを持つ家族も少なくはない。そんななかショッピングセンター・フォレオ大津ー里山に昨年5月、子育て広場「ほっこりひろば」が開設された。
社会学部地域福祉学科の田中由起さんは、この施設の運営に開設当初からボランティアとして参加している。
 

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