龍谷 2009 No.69


RYUKOKU アカデミック Eye
今、子どもたちは・・・夜回り先生からのメッセージ
 
今、子どもたちは・・・夜回り先生からのメッセージ
2009年10月22日、鍋島センター長の紹介により、夜回り先生、水谷修氏(水谷青少年問題研究所所長・花園大学客員教授)を本学に初めてお招きした。参加者は700名を超えた。水谷修氏は、リストカットやドラッグ、引きこもり、心の病など現代の子ども達を取り巻く現実について訴えた。「子どもというのは、褒められた数が多ければ多いほど、非行犯罪、心の病から遠ざかる。子どもというのは受けた愛や優しさ、認められた経験が深ければ深いほど、非行犯罪、心の病に入ってもその傷は浅いでしょう」と水谷氏は語った。
 子ども達を取り巻く環境を良くするために、水谷氏は、夜11時以降朝まで携帯電話は親に預けること、子どもの前では喧嘩しないこと、心を病む子ども達に対してお寺などの宗教施設を開放することを提言した。「身近にいる生身の大人がそばに来てくれて、一緒に話を聞いてくれて、一緒に笑ってくれて、一緒に泣いてくれて、一緒に考えてくれて、ともに生きてくれることなんじゃないですか」と水谷氏は語り、講演全てが、聴衆の心を深く揺り動かした。
「インド文化圏のマイノリティと仏教」
「インド文化圏のマイノリティと仏教」  2010年度より、大学共同利用機関法人・人間文化研究機構が指定する地域研究推進事業(研究拠点形成事業)「現代インド地域研究」が、国内6つの研究機関(京都大学、東京大学、広島大学、国立民族学博物館、東京外国語大学、本学)を拠点として、今後5年間をかけて研究を推進する活動を本格化させる。龍谷大学拠点は、本学伝統のインド思想研究の蓄積を活かし、「現代政治に活きるインド思想の伝統」というテーマで取り組む。これに先立ち、昨年12月12日に「インド文化圏のマイノリティと仏教」と題して国際シンポジウムを開催した。
 バングラデシュから来日したダッカ大学バルア教授は、取材したばかりの映像を交えて、ベールに包まれたベンガル仏教徒の実態を明らかにした。また、インド人仏教僧でありインド青年仏教徒連盟会長のボーディ・ダンマ氏(写真)は「インドにおけるアウト・カースト民衆の生活と宗教」と題し、自身の被差別体験に触れつつ、南インドの仏教改宗運動について講演をおこなった。同氏の語る躍動的な民衆仏教の姿は、仏教の新たな可能性を提起するものであり、現代インド研究に貴重な視点を得たという感想も多く聞かれた。さらに、今後の研究方向に対する質疑応答も活発におこなわれ、本研究への期待の大きさを感じた。
「グローバル化と国境」
「グローバル化と国境」
近年、国家の枠組みを超えて、地球規模で多様な問題と現象が進行している。社会科学研究所は創設40周年を記念して、シンポジウム「グローバル化と国境」を2009年11月7日に開催し、約140名が参加した。
 現在、NHK解説委員長である藤澤秀敏氏は基調講演において、ジャーナリストの視点から「グローバル化とは何なのか」、「いかにグローバル化時代へ対応していくか」について報告された。
 次いで、西倉一喜法学部教授「グローバル化と非国家アクターの発展」、竹中正治経済学部教授「経済・金融のグローバル化時代のマネーと国境」、夏目啓二経営学部教授「人材は国境を越えて移動する」、川端正久社会科学研究所所長・法学部教授「紛争解決との関連で国境を再考する」の本学教員4名が報告。大林稔経済学部教授(アフリカ政治経済)がモデレーターを務めるパネル・ディスカッションでは、「グローバル化による光と影」、国家単位ではなく地球規模でのガバナンスいわゆる「グローバル・ガバナンス」について、国際政治・経済・金融・人材・国境・紛争などの側面から議論された。

「グローバル化と国境」
「"いのち"と刑事司法〜裁判員制度と死刑〜」
「"いのち"と刑事司法〜裁判員制度と死刑〜」
2009年12月12日、深草学舎において標記のテーマでシンポジウムを開催した。裁判員制度が始まり、これまで、自分は犯罪や刑罰とは無縁であると考えてきた普通の市民が、目の前の被告人の有罪・無罪を決定し、刑罰を言い渡すことになった。なかでも、死刑が問題となるような重大犯罪では"いのち"をめぐる難しい判断を迫られる。本シンポジウムは、このような転換期にあって、改めて"いのち"と刑事司法の問題を考えるために企画された。
 午前の部では、日本の死刑の現状について、映像や当事者の「生の声」を紹介した。午後の部では、日本の死刑の現状について、死刑冤罪の被害者である免田栄さんや犯罪被害者遺族の原田正治さんなどのお話をうかがった。このほか、アメリカの死刑研究者であるディヴィット・ジョンソン教授など、内外の研究者や弁護士の方々からも報告していただいた。また、元最高裁判所判事・団藤重光氏のメッセージも紹介した。180名を超える熱心な参加者とともに、"いのち"について考えることができた。
「"いのち"と刑事司法〜裁判員制度と死刑〜」

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