龍谷 2010 No.70


青春クローズアップ
 
華舞龍
まぶしい笑顔に隠された感謝が 国を超え 感動を呼ぶ
華舞龍

 
華舞龍

お客さんを感動させたい
踊る表情には笑顔が満ちている。愛想笑いではない自然体の微笑みに、こちらも思わず笑顔になってしまう。
華舞龍の魅力は、そんなメンバー一人ひとりの溢れんばかりの笑顔だ。
 「踊りを通して笑顔が生まれることで、お客さんとの壁が取り外されるような気がします。踊っている途中にお客さんとぱっと眼が合い、お互いに笑い合う瞬間なんて、すごく嬉しいですね」。
 このほど、華舞龍の代表に就任したばかりの平野恭兵さんは語る。よさこい踊りをアレンジしたエネルギッシュな演舞は、振り付けも曲も衣装も完全オリジナルで、毎年テーマをがらりと変える。舞台は、関西をはじめ、よさこいの本場、高知や北海道、静岡、愛知など、全国各地の祭りが対象。2005年の結成当初は、お願いして祭りに参加させてもらっていたが、現在は定期的に各所から参加要請があるという。
 まさに祭りあるところに華舞龍あり。「感動させたい」という思いは国内にとどまらず海までも渡り、「華舞龍エクスチェンジプログラム(通称KEP)」として、毎年欠かさずに国際交流もおこなっている。2010年度はスイス、インターラーケン市を訪問。市長や地元の高校生など多くの人々の前で演舞を披露し、その注目度の高さから地元の新聞にも取り上げられた。
 「お客さんに笑顔になってもらうこと、感動してもらうことが華舞龍の第一の目的。それには、人種の隔たりなどないと思いますから、華舞龍の活動には国内も海外も関係ありません。より多くの人に踊りを広めていきたいですね」
スイス・インターラーケン市を訪問(2010年8月 スイス・インターラーケン市を訪問(2010年8月)
 
こいや祭りで咲いた「大笑」の花
 笑顔と演舞で海外の人まで魅了する華舞龍だが、「絶対に最高賞を獲得する」と強い思いで臨んでいるのが、毎年大阪で9月に開催される「こいや祭り」である。大賞を「大笑」と掛けて、全ての人が楽しむことを主眼にしていることや、ヒップホップ、フラダンス、盆踊りなど踊りであればどんなジャンルでも参加可能というノリの良さで際立った祭りだ。何より、観客の投票で受賞チームが決められることが最大の特長で、観客の感動がアイデンティティーである華舞龍にとっては、獲得しないわけにはいかない最高の賞なのである。
しかし、結果はいつも入賞すら叶わない状態。このまま夢で終わらせたくない、今回こそ絶対に叶えたいと、2010年は大賞獲得を華舞龍の一番の目標にした。
夢の実現には全てにおいてレベルアップしなければならない。そこで振り付けや隊列、練習を取り仕切る「振り班」は自費で東京、三重へと足を運んで優秀なチームの練習をつぶさに観察し、練習時のモチベーションの高さの違いに気づいた。より本番を意識した真剣な練習をチームに持ち帰る。練習がつらくて泣きだすメンバーがいても、叱る時は叱る。ほぼ毎日という練習に、メンバー達は神経を集中させた。泣いて悩んでぶつかりながらも、誰ひとり途中で投げ出す者はおらず、ともに苦しい練習を乗り切った。
踊りは、テーマを華舞龍の「華」に絞り、北風と太陽に扮した踊り子達が力を合わせ、桜を咲かせる様子を物語風に仕立て、観客に伝わりやすいように工夫した。一つひとつの華が咲いて1本の桜になるというイメージも、メンバーそれぞれの力や思いを一つにする華舞龍にぴったりだった。
こいや祭り当日、ステージに上がる時にはメンバー全員足が震えた。だが、本番はまさに風に踊る桜のごとく、観客を魅了した。衣装が桜色と淡く、ステージ上で目立つか心配だったが、鮮やかな色でアピールするほかのチームと却って区別がつき、観客に強い印象を残せた。何より、踊りのキレや一体感は圧倒的で、みごと「大笑」という満開の桜を咲かせることができた。
「練習の積み重ねで、ある程度の自信はついていました。けれど、華舞龍の名が呼ばれた時は本当に夢見心地でしたね。これも、チーム一丸となった結果だと思います」。
 
全ての演舞に感謝を
平野 恭兵さん

ひらの きょうへい

平野 恭兵さん
社会学部2年生
福知山高等学校出身

 華舞龍は今も、初代代表の言葉をチームコンセプトとして守り続けている。「〜感謝、誇り、情熱〜そのために最高に熱くなろう」。なかでも一番大切なものが「感謝」だと、平野さんは言う。
 「踊らせてもらっている幸せを、親にも、チームメンバーにも、そしてお客さんに対しても感謝したい。入部したての頃はとにかく自分が楽しむことばかり考えていましたが、何度か舞台に上がっていくうちに、気づきました。みんながいるから自分は演舞ができるんだと」。
 感謝の心が踊りへの情熱となり、笑顔となる。それが観客の感動へとつながっていく。国際交流で受け入れられるのも「大笑」受賞も、そんな華舞龍の「感謝」が、心に響くからかもしれない。
 平野さんを中心に新編成で臨む2011年は、どんなゴールをめざしているのだろうか。
 「こいや祭りの2年連続「大笑」受賞が目標です。まだまだ成長できるチームだと思っているので、これからどんな風に大きくなれるか、わくわくしています」。
 感謝の宿る演舞が感動を呼ぶ。彼らはこれからも、世界中を笑顔にしていくことだろう。
 
 

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