龍谷 2010 No.70


RYUKOKU SPORTS

剣道部女子
 昨年11月におこなわれた全日本女子学生剣道優勝大会で見事、準優勝に輝いた剣道部女子。創部以来、最高の結果を成し遂げたその要因には選手全員の団結と、強豪相手にひるまず挑む強い気力があった。
 
楽な試合は一つもなかった
 創部以来、初の快挙を成し遂げた剣道部女子。1回戦から準決勝までは、厳しい対戦のなか、日頃の力を出しきって勝ち進んだ。
 「どのチームも各ブロックを勝ち抜いてきた強豪校ばかりですから、楽な試合は一つもありませんでした」増田祐幸監督がそう話すように道のりは決して平坦ではなかった。しかし、それを乗り越える原動力となったのは試合に臨む選手達の強い気力だった。
 女子主将の矢作彩織さんは「予選51大学のなかで12位以内に入賞しないと全日本大会出場の権利が得られなかった関西大会の方が、重圧感は大きかったですね。全国では私達は挑戦者の立場。毎日の稽古で積み重ねてきたことを出し切ることだけを、考えていました」と語る。
 関西大会ではベスト8と苦しんだ龍谷大学が、よもや全日本大会で初の準優勝を成し遂げるとは誰も想像できなかっただろう。挑戦者として、学生剣士らしい謙虚な気持ちで試合に立ち向かったことがチームを素晴らしい結果へと導いた。
 島本円さんは、試合を勝ち進むごとに、大舞台で戦うことの実感が湧いてきたという。「剣道部の仲間や応援に来てくれた多くの方々のことを意識すると、次第に気持ちが高ぶってきました。そうして緊張感を持てたことが良かったのかもしれません」。
 
全員で掴み取った準優勝
 全日本大会は5名で戦う団体戦。補欠として控える2名の選手を加えた7名のメンバーが試合に臨む。現在、剣道部女子の部員数は14名。部の全員が目標としてきた大きな舞台には、その半数しか出場することができない。増田監督は、全日本大会へ出場する選手の選考に心底悩み抜いたという。
 「今回、全日本大会に出られなかった選手のなかには、関西大会ではメンバーだった選手もいましたし、これが最後の試合となる4年生もいました。部員全員の実力が拮抗していて誰が出場してもおかしくないだけに、選考は本当に苦渋の決断でした」
 この全日本大会が入学以来、初めての公式戦となった井上典子さんは「メンバーに選ばれてとてもうれしかった反面、試合に出ることができない先輩や仲間のことを考えると、すごくプレッシャーを感じました」と振り返る。
 「厳しい稽古を一緒にがんばってきた仲間のためにも、大会当日は自分らしい剣道をすることだけを考えていました」と話すのは下井綾子さん。
 試合会場で一生懸命に応援する仲間達の気持ちを背負い、メンバーは必死にトーナメントを勝ち進んだ。
 「今回の結果を残すことができたのは、試合に出場した選手達が、メンバーに選ばれなかった部員達の想いをしっかりと受けとめていたからでしょう。全日本大会では、剣道部全員で戦い抜いていくんだという気持ちがとても強かったですね」(村穂コーチ)
 全日本大会のメンバーに選ばれなかった部員達は、試合当日までの期間もそれまでと変わらず稽古に励み、選手として出場する仲間を献身的に支えた。今回の準優勝はまさに剣道部全員が一丸となって掴み取った成果だと言える。
 
剣道部女子
剣道部女子
 
結果におごらず、初心を忘れずに
 昨年12月には、剣道部OB・OGを中心におよそ90名がお祝いに駆け付けて盛大な祝勝会が開催された。88年の歴史を持つ剣道部のOB・OGは約400名。今回の快挙は、部員達だけではなく歴代のOB・OG達にとっても大きな喜びだった。
 「試合結果ももちろん大切ですが、剣道を通じて周囲の人を敬う心や感謝する気持ちを持つことが何よりも大事」(増田監督)
 「いつも応援していただいているOB・OGや父兄の方々、大学の皆さんに祝勝会で良い報告ができたことが部員達にとってはいちばんうれしかったのではないでしょうか」(村穂コーチ)
 日々の稽古では、先輩が後輩を優しく気遣って、厳しい稽古を乗り切る支えとなっている。現在、ただ一人の1年生部員、濱本知佳さんは、「思うように自分の剣道ができずに悩んでいるときには、先輩達がさりげなく声を掛けてくれるんです。自分に後輩ができたときにも、同じように思いやりを持って接したいなと思います」と話す。
 先輩や同級生に悩みを相談することもある。「同じ剣道部の仲間だから話せることもあるし、互いに理解し合えるんだと思います。合宿のときには、先輩に勉強を教えてもらうことも多いんですよ」と中垣彩さん。
 今年の目標は「もちろん優勝です」と話す次期女子主将の加藤翔子さん。「でも、それが簡単なことじゃないのも十分に理解しています。今回の準優勝におごらず、再出発する気持ちでこれからの稽古に励みたいです」。
 次は追う立場から、追われる立場となる。しかし、あくまでも初心を忘れずに剣道と向き合う彼女達の姿勢は、きっと昨年以上の結果を実らせることだろう。
 
剣道部女子
むらほ こうじ
(左)村穂 幸司 コーチ
ますだ ゆうこう
(右)増田 祐幸 監督
矢作 彩織さん 女子主将
やはぎ さおり
矢作 彩織さん 
文学部4年生 日吉ヶ丘高等学校出身
加藤 翔子さん かとう しょうこ
加藤 翔子さん
経済学部3年生 八女高等学校出身
井上 典子さん いのうえ のりこ
井上 典子さん
経済学部3年生 八女高等学校出身
下井 綾子さん しもい あやこ
下井 綾子さん
経済学部2年生 PL学園高等学校出身
島本 円さん しまもと まどか
島本 円さん
経営学部2年生 帝京第五高等学校出身
中垣 彩さん なかがき あや
中垣 彩さん
経済学部3年生 八女高等学校出身
濱本 知佳さん はまもと ちか
濱本 知佳さん
文学部1年生 相生産業高等学校出身

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