龍谷 2010 No.70


RYUKOKU SPORTS

男子柔道部
60周年の記念大会となった全日本学生柔道優勝大会(7人制・無差別)で、男子が初のベスト8を達成。毎年、日本武道館で行われる“学生柔道大会の花”ともいえる大会で、創部以来の快挙を成し遂げた。
 
激闘の末につかんだ栄光
男子柔道部  本大会は、例年ならば地区予選を勝ち抜いた大学のみの舞台となるが、今回は記念大会ということで、希望校は全てOKというオープン参加形式。柔道を志す学生達の憧れの場、東京の日本武道館には全国から228校が集結し、激しい勝ち抜き戦が繰り広げられた。そんな特別な大会で、龍谷大学の男子柔道部が初めてベスト8に輝いた。
 「学生時代も、監督になってからも、ベスト16の経験はあるがベスト8は初めて」と、堀田幸宏監督。なぜなら、そこにはいつも関東勢の厚い壁が立ちふさがっているからだ。
 今年の龍谷大学の戦力も、特にずば抜けた選手がいるでもなく「たたき上げのチーム」と言う。高校時代の実績はほとんどない部員達を、鍛えに鍛えてきた。堀田監督は、「まずは勝つ上で必要なこと、当たり前のことを、きっちりとやる」が信条。横着をせず、妥協のない練習をする。体重を増やして身体を大きくすることも厚い壁を越えるための試練。無差別の試合では、体重がある方がどうしても有利になるからだ。
 めざしたのは、「主将の鈴木や140キロのエース堀など軸になる選手がいたので、あとのメンバーが何とかつなげるような戦い」だった。
 そうして臨んだ大会は、初戦が大きな山場となった。対戦相手の桐蔭横浜大学は昨年のベスト8という厳しい組み合わせ。ねばりの柔道、我慢の柔道で次につなげるという堀田監督の指示どおり、全員が一丸となり激闘。その団結は、チームに勝利をもたらした。
 2日目は新潟大学を前日の勢いそのままに下し、3日目へ。最終日、最初の相手である創価大学に4対2で勝ったところでベスト16。三試合目も意気は上がるが、相手は強豪チームとして名を馳せる大東文化大学。予想どおりのシーソーゲームが展開する。しかし、当たり前のことをきちんとやってきた成果を、メンバー全員が発揮。遂に3対2で勝利して、ベスト8を手中にした。
 
みんなでとった優秀選手賞
 準々決勝では今大会準優勝の国士舘大学に敗退するも、関東勢がひしめくなかで、ベスト8に食い込んだことは、龍谷大学柔道部に新たな歴史の1ページを書き加えることになった。
 同時に、主将の鈴木明大さんが優秀選手十人のなかの一人に選ばれ、チームは二重の喜びに包まれた。鈴木さんは4年生ということで無差別での最後の試合。自分が先頭に立って戦っていこうとしたひたむきさが、今回の賞につながったのかもしれない。
 鈴木さんは、こう語る。「受賞はうれしいですが、自分一人でとった賞ではありません。みんながやってくれたから自分もがんばれたのだと思います」
 試合当日は、地元の他大学に比べて部員の数も少ないし、声援も負けている。けれど、横に監督や仲間がいてくれる。そして試合中も彼らの声が聞こえる。「それだけで十分勇気づけられました」とも。そして、自分の特長は、「組み手などを粘り強くできるところ。簡単に投げられない」と鈴木さん。すかさず堀田監督が「ほんとに粘っこいですよ」と言うと、それまで硬い表情だった鈴木さんが、ようやく照れくさそうな笑顔を見せた。
 鈴木さんが柔道と出会ったのは小学校1年生のとき。「気づいたら柔道をしていたという感じです。嫌になることもあったけれど、途中でやめたら格好悪いじゃないですか」。一つのことをやり遂げてみたい。その思いが、今を後押ししている。
  男子柔道部
 
これからが真価を問われるとき
 龍谷大学の柔道は、泥臭く、まずは失点しない。そして取れるところはきっちり取るというスタイル。圧倒的に強い東京勢、関東勢に負けない精神を鍛えるには、日々の練習、準備をしっかりやって、力を出し切ること。それを証明するかのように、初戦に勝ってから、選手達はどんどん逞しくなっていった。
 「大会期間中は、取りこぼしのないよう細心の注意を払いました。大東文化大学を下したときも、ベスト16の壁を破ったという実感はすぐには湧かなかった」。堀田監督のその言葉から、一戦一戦への必死さが伝わってくる。
 大きな成果を収めた喜びは存分に味わいたい。「しかし、結果を出したからには、真価が問われる。これからがさらに大切です」と表情を引き締める堀田監督。続けて「国士館大学と当たって、誰一人勝てなかった、唯一負けなかったのが鈴木だけ。まだまだですし、フロックだと言われないためにも、これからもうちらしく練習量で戦っていきます」
 今大会以来、選手達には良い意味でのプライドと自信が備わってきたようだと堀田監督は見ている。「うちのようなチームでも、やればできるということを、皆さんが感じて自分達の励みにしてくだされば」
 謙虚な言葉のなかにも、次への闘志がこもっていた。
男子柔道部
 
堀田幸宏 監督

ほりた ゆきひろ

堀田 幸宏 監督
龍谷大学文学部を2002年に卒業、柔道部OB。
学生部職員として柔道部の監督を務める。

「いつも応援してくださるOBの皆さん、保護者の皆さんなど、多くの支援者の皆さんのおかげでここまで来られました。心から感謝いたします」
鈴木 明大さん

主将
すずき あきひろ
鈴木 明大さん
経済学部4年生 育英高等学校出身

「今のチームはメリハリのある明るいチーム。やるときは熱心に、楽しむときはとことん楽しむ。そこからチームの団結力が生まれているのかも」
蛯谷 和陽さん

えびたに かずあき

蛯谷 和陽さん
文学部4年生 富山商業高等学校出身

「日本武道館で強豪大学と肩を並べることができたことを誇りに思います。後輩達には、さらなる上をめざしてほしい」

門脇 光佑さん

かどわき こうすけ

門脇 光佑さん
文学部4年生 草津高等学校出身

「冷静だったのか、みんなの声援がよく聞こえました。柔道部の歴史のなかで初めてのことができたというのは、4年間の一番の思い出」
堀 耕平さん

ほり こうへい

堀 耕平さん
文学部3年生 龍谷大学付属平安高等学校出身

「1回戦から強豪と当たったことで、みんなの気持ちが一つになれた。ただ最後の試合で負けたので、団体戦というのは負けない柔道をしないといけないと反省」
木 皓平さん

たかぎ こうへい

木 皓平さん
経済学部2年生 京都学園高等学校出身

「無差別なので、でかい相手にも勝ち切れる柔道を身につけていきたい。関東勢は強いけれど、これからも挑んでいきます」
日比野 龍矢さん

ひ び の たつや

日比野 龍矢さん
法学部2年生 比叡山高等学校出身

「初戦で先鋒に使ってもらい、チームに良い流れをつくりたいと思っていました。来年は他の大学が構えてくるでしょうから、先に攻めて相手をあわてさせたいです」
楳生 拓也さん

うめ ふ たく や

楳生 拓也さん
文学部2年生 上宮高等学校出身

「準々決勝では大将としての役割を果たせずに悔しい思いをしました。今大会での悔しさを忘れず、今後の練習に活かしたいです」

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