RYUKOKU SPORTS
硬式野球部

全日本大学野球選手権大会で14年ぶりのベスト4
最優秀投手賞、首位打者賞に輝く

首位打者賞
古本 武尊(ふるもと たける)さん
社会学部4年生
福岡大学附属大濠高等学校出身
最優秀投手賞
杉上 諒(すぎかみ りょう)さん
法学部4年生
神戸市立葺合高等学校出身
写真提供:龍魂編集室

投打に強さをみせつけ、手にした称号

全日本大学野球選手権大会において16打数8安打と打率5割で首位打者賞を受賞した古本さんは、見るからに豪快なスイングをしそうな鍛え上げられたがっちりした体格。取材の席でも、そのたたずまいや表情に強気なオーラがにじみ出る。「秋季リーグはけがでチームに迷惑をかけた。今年の春季リーグはチームに貢献して、優勝したかった」。その言葉どおり、春季リーグ開幕戦で2本の本塁打を打ったのを皮切りに、4割に近い打率で存在感を見せつけ優勝に貢献した。全日本大学野球選手権大会では強豪東海大学戦で、4打数3安打2打点と猛打賞の活躍をみせるなど、主砲のバットが火を噴き、ベスト4入りを牽引した。

一方、杉上さんは「打者の調子がよかったので、ピッチャーは最少得点に抑えたら勝てた。チームの勢いに乗って、実力以上のものが出ました」と、やや控えめな印象。しかし、持ち味である「まっすぐ主体の力で押すピッチング」の話になると気迫がこもる。185センチの長身を活かし、打者の胸元を一直線についていく白球のスピードは、時速148キロを記録。直球、変化球を巧みに使い分けながら全力で4試合を投げ、チームの躍進に貢献すると同時に、最優秀投手賞という大きな称号を手にした。

小学生で野球を始めた古本さんは早くから抜きん出た才能をみせ、高校では全国から注目されるほど。龍谷大学に入学早々、1年生の春季リーグからメンバーに選ばれていることからも、その期待度の高さがよくわかる。

しかし、その軌跡はいつも順風満帆だったわけではない。入部してしばらくは結果が出せず苦しんだり焦ったりもした。それを乗り越えたのは、人の3倍の練習であり、古本さんの強さは決して才能だけではない。

古本さんとは対照的に、高校時代はさほど目立った存在ではなかったという杉上さんは、大学に入ってからひたすら練習を重ね、徐々に頭角を現した努力の人。苦しい練習に耐えられたのは「野球が大好きだから!」と、屈託のない笑みがこぼれた。

4年生が結束、その思いに応えるために

そんな二人をはじめ、部員達にとって、〝全国での一勝〟は毎年追い続けた夢だった。それが、9年ぶりに念願の一勝を果たすと、その後も次々に勝利をものにする。

その強さの源は何だったのか。今回の快進撃には、いくつかの大きな要因があった。それは、折しも今シーズンは硬式野球部創部100周年の年であり、長年チームを率いた椹木監督のラストイヤーでもあったことである。今年はその重要な節目の年ということもあり、チームのモチベーションは高まっていった。

また、「4年生は後輩達に背中を見せろ」、という椹木監督の言葉どおり、4年生が結束したことも好調の要因となった。杉上さんは、「僕自身は、高校生のときにテレビで見ていたスター選手と対決できて楽しかった。こんな体験ができたのは、ベンチに入れない4年生が一生懸命裏方に徹してくれ、チームが一つになったおかげです」と、チームメートへの感謝の言葉を忘れない。

古本さんも、今シーズンのメンタル面での違いを話す。「メンバーを支えてくれる4年生の思いが伝わってきた。その気持ちに応えたいと、そればかり考えていたので、まさか僕が首位打者になれるとは思っていなかった」。そして二人は口々に、「今回の賞はみんなの思いが一つになって取ったもので、僕達はその代表としていただいただけです」と語ってくれた。

がむしゃらに、ひたむきに夢をつかめ

大きな成果を手にしたチームは、全国の大学から目標とされ、追われる立場となった。「春季リーグは、がむしゃらに戦ってつかんだ結果だったので、秋もがむしゃらに戦います」と、抱負を語る古本さん。「ミスショットの克服や、インコースの球をコンパクトに叩くためのバッティングなど、もっと練習して、さらに技術を高めていきたい」と、どこまでもひたむきだ。そこには、守りの姿勢など微塵もない。

また、杉上さんは、「謙虚に、また一から実践していきたい。自分のスタイルができてきたので、フィールディングや低めのコントロールなど細かいところを磨いて、ワンランク上のピッチャーになりたい」。こちらも、攻めの姿勢を崩さない。

「試合に臨む心構えを一言で言うならば」と聞くと、古本さんは、「自分の前にランナーが出たら絶対に帰す」。杉上さんは「打てるもんなら打ってみろ――という強気のピッチングをする」と、きっぱり。

次にチームがめざすのは、秋季リーグでの優勝と全日本でのベスト4以上。そして、二人が抱く将来の夢は、「プロの野球選手」になること。その夢に近づき、つかみ取るために、秋季リーグもがむしゃらに勝ちに行く。