親和会だより

就職戦線を乗り切る〜親子で考える進路選択〜◎鈴木紀子氏

 昨年の11月4日、大阪市内の帝国ホテルで行われた龍谷大学大学懇談会で、「私のしごと館」の鈴木紀子さんを講師に、就職活動に関する講演が約800名の参加者を対象に、約1時間に渡って開催された。保護者にとって貴重なアドバイスとなることから、以下で、その要旨を紹介したい。

鈴木紀子氏
◆プロフィール
1950年東京に生まれる。1972年跡見学園女子大学文学部卒業後(株)大林組勤務、1976年結婚のため退職。1980年雇用促進事業団(現雇用・能力開発機構)勤務、事業主を中心とした雇用管理、能力開発を支援する業務に従事し、組織と人とのかかわりの大切さを知る。2000年からキャリア形成支援関係業務に携わりキャリア形成の重要性を痛感する。2003年から私のしごと館勤務、中学生高校生を始め大学生や若い求職者などのキャリア形成支援の業務に携わり今日に至る。著書として『未来を探そう!〜立ちすくむ若者たちと戸惑う大人たちへのメッセージ〜』(ごま書房)を出版。

■今の若者の傾向とは
 とても自尊心が強いけれど、自分に自信がない。だから周囲に対して不安感が強く、仲間とはうまくコミュニケーションをとることはできるが、年齢差のある大人との接点を持つことができない。小さな失敗でつまずいても、そこからの復元力に乏しい。大学生活は小学校から16年間の集大成。新しい飛行機が滑走路に出て、大空に飛び出すようなもので、大学や保護者のサポートが必要だ。
 そのため、子どもと同じ目線で就職や将来について考えていただきたい。私たちの所にやってくる学生は、いくら強がりを言っていても、一番親(保護者)を頼りにしている。就職活動というのは、学生にとってはじめて本物の社会と接することなので、その不安感が非常に大きいことを、わかってあげていただきたい。

■100社落ちても‥‥
 就職活動では、まず会社にエントリーシートを提出した段階で、不採用の通知が来る場合も多い。不採用が3つ4つと続くと、学生はショックを受ける。もうだめだと泣く学生もいる。大学入試は、点数で判断されるが、就職試験は、企業と学生とのお見合いのようなもので、互いの相性が合えば採用、合わないと不採用。あくまでご縁がなかったというだけで、心配は無用。「100社でも200社でも落ちたらいい。日本には何10万社と会社があり、そのうちのどこか1社が、あなたを受け入れてくれるはず」と、励ましてあげていただきたい。
 一流企業や、テレビのCMによく出てくる知名度の高い会社へという既成概念を、まず捨てること。一流企業だから、将来が保障されているわけではない。格好良さではなく、なぜこの職業、職種、会社を選ぶのかを、一緒に考えて欲しい。

■働くことの意味を確認する
 働くということは、社会のためであり、自分自身のためである。また、働くことで得ることは大きい。やりがい・生きがい・人とのつながり・ネットワークなど。それらは働く人間を大きく成長させてくれるものであり、保護者の皆さんの実社会での経験を踏まえて、ぜひ話し合って欲しい。

■「好きなことが見つかるまで」は禁句
 就職に戸惑っている子どもに対して、「好きなことが見つかるまで、いいよ」は禁句。人生をかけてやりたい仕事につける人は、ごく限られている。「好きなことが見つかるまで」より「まず就職して、社会人としての責任を果たすことが大切。その中で好きなことに出会うかも」と声をかけてあげて欲しい。

■大学院へ、海外留学‥‥?
 就職先が見つからないから、つい学生は「大学院へ」「海外留学へ」と考えてしまう。大学院も海外留学も素晴らしいことだが、はっきりとした目標なしには、就職活動に対する逃避や、先延ばしになってしまいかねない。

■他人と比較しない
 「どこどこの誰々さんは、超一流の○○会社に入ったのに、あなたは…。」などと、他人と比較をしない。
 今、その子どもが何に立ち向かっているかを、冷静に見て欲しい。

■あるがままを受け入れる
 失敗して悩んでしまう子ども。極度に落ち込んでしまうかもしれないが、それは次へのステップを踏み出そうとするプロセスでもある。あるがままの子どもの姿を全面的に受け入れてあげていただきたい。
 皆さんの子ども達は、それぞれ素晴らしい可能性を持っている。その可能性を信じて温かい目で見守り、時には厳しい目で励ましてあげていただきたい。保護者(親)は子どものサポーターですから。

講演会1
講演会2
親和会西川里美監事より花束が贈呈された。

〈私のしごと館〉
関西文化学術研究都市(京都市精華・西木津地区)に所在し、独立行政法人雇用・能力開発機構が運営。
若年層の求職者に向けて、就職相談やコンサルティング、就職適性検査、研修などを行い、キャリア形成を支援する。
「しごと情報ゾーン」の入館は無料(「展示・体験ゾーン」の入館は有料)。
TEL 0774-98-4510

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