親和会だより

海外研修体験記/オーストラリアにおける日本語教育
国際文化学部 4回生 岸山 奈緒 (きしやま なお) さん
(夏期親和会海外研修奨学生)
 2年前、語学留学で初めて訪れたオーストラリアはアジア人が多く、日本語をカタコトでも話すことができるオーストラリア人の多さに驚きました。その時から卒業論文のテーマとして、「オーストラリアの日本語教育」を取り上げ、実際に現地で調査を行ってみたいと思いました。

 そして昨年の夏、夏期親和会海外研修奨学生としてオーストラリアへ渡り、現地学校での授業見学や日本語学習に対する意欲・関心・目的や学習年数・習熟度のアンケート調査を行いました。オーストラリアでは日本語を含め、外国語教育が盛んに行われています。そのため、日本語学習者は小学生から大人まで幅広いですが、今回はセカンダリースクール(日本の中等、高等学校)以上の生徒を対象にアンケート調査を行いました。留学時代にお世話になった先生より現地のセカンダリースクール・St.Margaret Angerica Girl’s Schoolのスティーブ先生を、知人の台湾人留学生コハンさんよりGriffith Universityの日本語クラスを紹介してもらい、公共教育機関ではない私立の日本語学校である黒田日語学校へも訪問しました。

 3つの学校見学を通して最も驚いたことは、オーストラリアの日本語学習者と言ってもアジア人が圧倒的に多いということでした。オーストラリアの主要都市には必ずチャイナタウンが存在し、街中では多くのアジア人を見かけます。これは、移民してきた人が多くいるからです。今回出会ったアジア人学生も留学でオーストラリアに来たのではなく、家族で移民してきたという生徒が大半でした。母国語の中国語または韓国語、ネイティブ並みの英語、そして日本語を話すことができれば大きな武器となります。オーストラリア、そして中国や韓国とも深い関係を持つ日本を相手にビジネスを展開していくうえで、言語という武器は大きな役割を果たすのではないでしょうか。また、中国語と日本語では漢字という共通の文字を使っていること、韓国語と日本語では文法が似ていることから、他の言語と比べて日本語が学ばれる理由なのではないでしょうか。もちろん多くのオーストラリア人も積極的に日本語を学んでいます。日本に留学したことのある人、日本で仕事をしていた人、日本のアニメやドラマなどから日本語を学んだことのある人など様々でした。彼らの多くは、日本語学習年数が短いのにも関わらず、簡単な会話が成立する語学力が身についていました。また、街中で友人と日本語で話していると「日本語を話したい」と話しかけてきたオーストラリア人もいました。彼らの日本に対する高い関心と、積極性の強さこそが語学力の向上に結びついたのだと感じました。

 実施したアンケートの結果は、3つの学校の学生ほぼ全員が、「日本語が好き」と回答しました。また、「日本語は楽しい」、「日本語が役に立つと思う」と回答した学生も多くいました。アンケートや実体験から、オーストラリアでは生徒が意欲的に日本語を学んでいるのだとわかったことが、今回の研修の大きな収穫です。この研修で経験したことを最大限に活かした卒業論文を完成させることが目標なので、精一杯論文作成に取り組んでいきたいです。


対象 募集形態 募集時期 奨学金
親和会
海外研修奨学金
学部生
短期大学部生(専攻科含む)
大学院生
※過去に同一学種で採用の人は不可
自己応募 6月頃(夏期)
10月頃(春期)
【体験研修コース】
10万円以内
【研究研修コース】
30万円以内




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