「入社して初めての残業」
野球中継終わってからの苦情電話。
「アホ、ボケ、カス!(ガチャン)」
怒り方が向こうは尋常じゃない、ものすごい剣幕。そんな電話の、ある一本…
「いやぁ、すいません。もう最終回表、篠塚が左バッターボックスに入り……すいません、この辺で失礼します」
「ちょっと待て!悪いけどそのまま実況続けてもらえへんやろか」
しょうがなく野球中継し「試合終了、タイガース辛くも逃げ切りました」と言った瞬間、受話器の向こうで万歳三唱。「感動した!阪神の勝利の瞬間というのは、何回も目にしたことあるけど、受話器持って立ったまま聞いたのははじめてや。お前、結構喋んの上手いなぁ。アナウンサーでもなったらどうや!(ガシャ〜ン)」
まだアナウンサー見習いの頃だったのですが、そんな自分の実況を聞いて、「感動した」と言ってくれた。人に感動してもらうのが夢。それをたった一人の視聴者であったけれど、実現できた。これが、阪神巨人戦の実況をいつか必ずやる!と心に誓った、26年前なんです。
「東日本大震災が出発点になればいいなぁ」
復旧、つまり3月10日まで私たちのやってた生活にできるだけ戻してあげなきゃいけない、と私は、テレビでこの2ヵ月近く、かなりあらっぽく言っております。少しでも声を上げることによって、ちょっとでも考えていただくきっかけになって欲しい。このおとなしい日本人が少しでも声を上げていく。もっぺん変えていくんや≠ニいう、そういう声が出てきたらいいなぁと!
龍谷大学のなかでは、ボランティアの授業を取り入れてらっしゃるようです。つまり人のために手を出す、手を貸すことなんですけれども、同時にそれって自分というものを再度見つめるいい機会になるんですね。ボランティアっていうのは、ものすごく、自分自身を見つめる良い機会、であると。また、まだまだ未熟な子ども達に、私達がどういう風にアシストしてあげられるかっていう、これはこの東日本大震災を機に一人ひとり考えていただきたいです。
「こういう人材が一番欲しい」
俺は東大出てるから何やっても大丈夫、そうやって入ってくる人がなかにはいます。2年3年もちません。柔軟性というものも、身につけてなければ、いくら偏差値が高い、一流といわれる大学を出ても、使いものにならないのです。
それよりも人間関係に長けている子であったりとか、みんなの人気者やったりとか、これ何の単位にもならないですけど、何とかしようという子がいるわけですよね。そのなんとかしようという気持ちを、一つはボランティアでもいいですし、全然違うことでもいいです。敢えて回り道やのに、というふうに思われるような、そんな経験をした子こそ、就職試験を受けに来た時に話す内容が具体性を持っているんですね。勉強も大切ですけれども、在学中にいろいろな経験をすることは僕は決して遠回りというか回り道ではないなぁというふうに思います。
「親子さん達にお願いしたいこと」
最近、学生さんに思うのは、世間の動き、世の中の動き、政治の状況とかに、関心の高い人と、関心を持たない人、これが両極端です。ネットニュースという便利なものがあって、新聞をまったく読まなくなった。分からんことがあったら辞書ひくんじゃなく、ネットでグーグルで検索したら全部出てくるというような状況なので、右から左になっちゃうこともあるわけです。自分が目的意識を感じて、そしてその目的のために何かやるということを行動を起こすまでにものすごく時間がかかる人が多いように思います。
親御さんたち皆さんにお願いしたいのは、じゃあ、新聞、テレビをはじめとして、ニュースに興味を持たなくなったんだという子のために、今日からですよ!皆さんが新聞を読む時間、ニュースを見る時間、これをどーんと増やしてください。ご飯食べるときに、そういう話をどんどんしてみてください。で、ニュースを見て、家で怒ってください。1週間に1回でも2回でもいいです。毎日じゃなくていいですけれども、やっぱり子ども達が一番見るのは、皆さんの姿ですから、僕はもう決めました。今までは家で仕事の話はしないって決めてましたから、家でニュースの話はほとんどしなかったんですね。今度からは、話が長いと言われるかもしれませんけれど家で、どんどんニュースっていうか、世の中で起きてることを一緒に話しようと思うんですね。ちょっとお父さん目的意識高いなぁとか、うちのお母さんえらい考えてんねんな、ということが、大学生とはいえ、ものすごく大きなきっかけになるんです。もうすでに、そういうことが備わってるというご家庭やお子さんに関しては、無視していただいて結構なんですけど、そうでないというご家庭の方がいらっしゃったら、今こそ、親の力というのが問われている時じゃないかなというふうに思います。そうやって、お子さんも、皆さんも、世の中の動きに敏感になってほしいなぁというふうに思います。ひいてはそれが皆さんのお子さんがいろんなことに関心を持つ、何かきっかけになってもらえるんじゃないかと僕は願ってる次第です。
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