大学懇談会講演会

「龍谷大学で得たもの」
福島 暢啓 氏 MBSアナウンサー

2011年MBS入社、宮崎県宮崎市出身、龍谷大学 大学院 日本語日本文学研究科 日本語学コース修士課程修了 《担当番組》テレビ「ちちんぷいぷい」(金:「歌碑ものがたり」コーナー担当)、「MBS SONG TOWN」、「らくごのお時間」、ラジオ「歌の朝市」「ヤングタウン」(日曜)

私は、株式会社毎日放送でアナウンサーという仕事をしております。龍谷大学で勉強したことがどの程度仕事で活きているのかと今考えますと、私はすごく役に立っていると思います。全部が全部ではありませんし、大学で教わったからやった事もあれば、自分でいろいろと勉強してやった事もありますので、一概には言い切れませんが、龍谷大学で得たものが、現在の仕事で活きているな、という思うことが多々ございます。

龍谷大学の入学式の日のことですが、龍谷大学というところは370年という非常に歴史のある大学ということ、西本願寺系列の大学だということはわかっていたんですけれども、体育館に入った時に、お線香の香りや「南無阿弥陀仏」という称号を見て、「あっ、そうか自分はお寺さんの大学に入ったんだ」と改めて思いました。

私は、龍谷大学の魅力の一つは、この「仏教」ということをきちんと勉強できるということだと思っています。私は日本語日本文学科に入りまして、大学4年間、日本語学について熱狂的なほどに勉強しました。当初は仏教に対してあまり関心がなかったのですが、大学4年生の時に、友達に誘われて西本願寺の朝のお勤めに行ったときに初めて興味を持ちました。そこから、親鸞聖人のものの考え方、仏様は何を考えて生きていたのかということを知りました。今の世の中では、一般の人が普通に生活していると、宗教に触れる機会が本当に減ってしまっていると思うのですが、龍谷大学にいると、先生方や友達との話のなかなど、至るところに仏教の考え方や思想というものがありました。「あ、そうか、こういう考え方もあるんだ」と多角的なものの見方を知ることができ、龍谷大学に入って得たものの大きな事の一つであったと思います。

また、私は、授業だけが大学生活ではないと思っています。私は学生時代、課外活動にも力を入れており、落語研究会に所属していました。今思えば、この落語研究会に入った事が、私の一番の人生の転機だったと思います。落語研究会では、漫談をやっていたのですが、先輩に「一緒に漫才しないか」と誘わ、M1グランプリという大会に出場しました。結果、素人としては、準決勝に唯一残りましたが、小さい頃からの夢である辞書の編纂に向けて、日本語学の勉強を続け、大学院に進学いたしました。しかし、勉強しているうちに徐々に挫折感を覚え、やはり就職活動をしようと思うようになりました。

テレビ業界に就職しようと思ったきっかけは、M1に出場した時に、放送業界で働く方々とお話しし、「こういう人とだったら一緒に仕事ができるかも知れないな」と思ったことです。私は、実はもともとアナウンサー志望ではなく、番組制作などをしたいと思って入社試験を受けました。入社後は1ヶ月の研修を受けたのですが、その最終日に面談がありまして「アナウンサーに興味はないか」と言われました。そこで今の上司と面談をし、アナウンサー室に配属されることとなりました。このアナウンサーという仕事は本当に、私、好きなんです。もともと人前に出て話すことが好きでしたし、日本語の勉強もしておりましたので、なんだかんだで性に合っているのではないかと思っております。

「仏教」に触れることができたこと、そして課外活動を通じていろいろな世代の人達と話ができるようになったこと、龍谷大学でお坊さんとお話できたことで、自ずと自分の知らない世界をたくさん知ることができました。海外に留学することで、自分の振り幅が大きくなることが盛んに言われておりますが、国内にある多くの事象に触れることも良いのではないかと私は思ったりもするのです。実は自分の近いところでも自分の振り幅を大きくすることもできる。その場所はどこかというと私は、龍谷大学だと思います。やはり伝統のあるところですから、いろいろな考え方や思想が蓄積されています。また、総合大学ですから、様々な勉強をしている学生がいますので、学生同士の交流によって、今まで自分が触れたことのないような体験や考え方が入ってきます。たくさんの価値観を持ったたくさん人と出会うことで、自分の中の可能性を広げて、振り幅を大きくして、その上で、仕事に、社会に活かせていけた方がいい。「仏教」と「課外活動」、この二つが私が龍谷大学で得たものであったと思います。

入社してから思ったことですが、ただただ好きで勉強していた日本語学と、ただただ好きでやっていた落語研究会、これらの経験が、二つとも今の仕事に活きているなと思います。別に将来、就職活動に役立てようと思っていた訳ではありません。どのような仕事を選択しても、大学での経験や勉強は必ず活きてくると思いますので、一生懸命になって欲しい、その時間をできるだけ有効に活用して、やり残しのないようにしていただきたいと思います。

私は今、龍谷大学がすごく好きです。本当に龍谷大学を卒業して良かったと腹の底から思っています。皆さんのお子さん達は私の後輩にあたるわけですから、後輩の皆さんにはぜひとも大きく羽ばたいていただきたいですし、この龍谷大学というブランドをより大きくしてほしいと思っておりますので、ぜひとも保護者の皆さんにも応援してほしいと思っております。ご静聴ありがとうございました。

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