「宗教実践実習」・「社会実践実習」について

実践真宗学研究科では、3年次前期に「宗教実践実習」もしくは「社会実践実習」を履修し、その後の「宗教実践演習Ⅲ」もしくは「社会実践演習Ⅲ」に結びつけ、これらの研究成果を学術的に高度な「修士論文」または「研究報告」に結実させるものです。

「宗教実践実習」:現在行われている真宗に関する宗教的実践について、現場状況の取材と分析を含めて実習し、自らが宗教的実践者として責任を持ち、また効率的・効果的に活動できるようになるための能力を養います。

「社会実践実習」:学外の諸施設・病院などでの実習経験とそれに基づく報告書作成に取り組みます。

それぞれの実習内容については、実習報告会において各ゼミ代表者が発表していますので、発表概要をご覧ください。

2015年度実践真宗学研究科
宗教実践実習・社会実践実習 発表概要

1.木下 祥悟(鍋島ゼミ・田畑ゼミ)
「自死に向きあう関西僧侶の会での活動について」
 ―他宗の僧侶の方々と協力することで宗教間協力の力強さを感じました―

自死問題における僧侶の役割を研究テーマに、「自死に向きあう関西僧侶の会」という超宗派の活動団体の「自死者追悼法要」・「自死遺族の集い」・「男性遺族会」という三つの活動に参加したことを中心に報告されました。
それぞれの実習の中で、自死遺族の悲しみのあり方や、自死に向きあう僧侶の意識がどのようなものであるか、また今後どのように僧侶が自死に向きあっていくべきか、その姿勢について言及されました。

木下 祥悟(鍋島ゼミ・田畑ゼミ)


2.岩崎 教大(葛野ゼミ・田畑ゼミ)
「「寺院活動の研究」に関する実習報告」
―実習先との連絡、アポイントメントの重要性を感じました。
 布教実習では、日常に仏様が溶け込んでいると思いました。―

宗教の公益性という点に着目し、現代社会における地域を対象とした寺院活動に注目し、各地の寺院の取り組みについて行った調査・実習について、報告されました。
具体的には2014年度に行われた浄土真宗本願寺派総合研究所神戸寺院調査への参画。それを基礎に行った自坊における門信徒並びに北海道教区十勝組の寺院16ヵ寺へのアンケート調査の結果、ならびに2015年度に行ったインタビュー調査やNPO法人主催行事への参画、新本堂建設に携わった実習について報告されました。また、その中で寺院が考える公益性と、行政の考える公益性に差意があることについても指摘、言及がありました。

岩崎 教大(葛野ゼミ・田畑ゼミ)


3.黒瀬 英世(貴島ゼミ・田畑ゼミ)
「現代における葬儀のあり方」
―真宗の葬儀とはまことのつながり、
 仏のつながりに目覚めていくことだと思います。―

現代において葬儀はどうしていくべきか、どのような形をとるべきかというテーマで、長野県松本市の神宮寺(住職:本学客員教授 高橋卓志先生)における実習について報告されました。(報告内で、実際に葬儀のために作成された映像も上映されました)
実習を通して触れた神宮寺での葬儀―長い時間をかけて遺族からその人柄や、思い出、関係などを聞き取り、通夜・葬儀の間の時間には、睡眠を削って遺族のために映像を作成するなど、常に遺族に寄り添う住職の姿が紹介されました。そして、葬儀における僧侶の意識改革、他者へのまなざしの必要性についても言及されました。

黒瀬 英世(貴島ゼミ・田畑ゼミ)


4.佐々木 了慈(葛野ゼミ・早島ゼミ)
宗教者による対人支援の現場における相互関係の研究」
―関わった実習に共通することは「孤独」ということです。
 宗教者はこの孤独へアプローチしていくことができると思います。―

真宗の念仏者における「よりそう」とは何かについて報告されました。
実習を非宗教者の立場と浄土真宗の僧侶としての立場で行う実習の二つに分け、非宗教者の立場では京都自死・自殺相談センターSottoでの活動と遺族会ミトラでの活動から課題と成果が紹介され、また浄土真宗の僧侶としての立場では布教実習と臨床宗教師での実習の課題と成果が報告されました。
結論として、真宗念仏者における「よりそう」とは、できない私ができないながらも阿弥陀仏の願いの中で相互に成長していく関係を広げていくことであると発表されました。

佐々木 了慈(葛野ゼミ・早島ゼミ)


5. 戸田 栄信(葛野ゼミ・田畑ゼミ)
「実践真宗学研究科でのあゆみ~T型調査を中心に~」
―(調査に関わって、過疎地域に暮らしている方が)「住んでいる人はだんだん少なくなっていくけれども、外に出て行った家族とのつながりがあって、この地域は住める場所なんだ」ということばを聞いて、ほっとした顔をされていたのが印象的でした。―

実践真宗学研究科の理念である「現代社会の課題に対応しうる宗教的実践者としての研鑽」のもと、3年間で行ってきた実習―布教実習・グチコレ・臨床宗教師実習・修士論文に関する実習―について報告されました。
特に修士論文に関する実習で行った過疎地域での課題の創出とその解決法を探るT型集落点検を中心に紹介され、その調査方法や調査対象者の反応、またその調査結果から過疎地域世帯と近隣都市への転出者世帯は実質的に家族としてのつながりをもっていること等が発表されました。また、興味深い指摘として、「家族」と「世帯」という概念の異なりにも言及されました。

戸田 栄信(葛野ゼミ・田畑ゼミ)


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