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「臨床宗教師研修」の新たな展開がスタート。社会人の受け入れが可能なプログラムが始まります。

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2015年1月29日

2014年5月 石巻市 東北大学大学院と龍谷大学大学院合同の臨床宗教師研修
 龍谷大学大学院実践真宗学研究科では、2015年4月から「心のケア」を実践する宗教者「臨床宗教師」を養成する大学院教育プログラム「臨床宗教師研修」の新たな展開として、宗教・宗派を越えて社会人の受け入れを可能とする、新たなプログラムをスタートさせます。
募集要項等の主な内容は下記のとおりです。


はじめに 
 人は思いもかけない災害や事故、病気や死別に遭遇し、その日を生きていくことさえ困窮することがある。災害直後、救援を求める人々に、医師、看護師、警察、消防隊、町職員、自衛隊とともに、僧侶や神父、牧師などの宗教者もボランティアとして被災地に赴いた。臨床宗教師研修は、人々の悲しみや無念さに寄り添いつづけた宗教者たちの伝統と臨床経験から誕生した。愛するものを失い、自己を喪失していく悲しみの中で、「なぜこのような目にあわなければならないのか」「生きる意味はどこにあるのだろう」と人はうずくまる。病院や被災地で、誰にも代わってもらえない一人ひとりの苦悩に向き合い、その人の価値観、宗教性を尊重して、ともに生きる道を探そうと努力する宗教者、その人を臨床宗教師と呼ぶ。

1.臨床宗教師研修の誕生
臨床宗教師研修の誕生には、二つの背景がある。一つは、1985年以来つづいてきた、医療と社会福祉と仏教のチームワークによって患者を支援するビハーラ活動やキリスト教を背景としたホスピスケアとチャプレン活動に端を発する。もう一つは、1995年の阪神淡路大震災以降、2011年の東日本大震災においても、宗教者が被災地におもむき、被災者にさまざまな支援を行ってきたことである。東日本大震災直後から、宗教者はボランティアとして、物資の避難所への搬送、炊き出し、亡くなった方々への追悼儀礼、被災家屋に流入した土砂の撤去、家具の片づけ、遺族や被災者へのグリーフケア、避難所や仮設住宅でのお茶会、被災者の傾聴活動をつづけ、時には異なる宗教者間で協力しあった。宮城県曹洞宗通大寺の金田諦應住職は、お坊さんの喫茶店「カフェデモンク」を三陸海岸の避難所や仮設住宅で主催した。
「Cafe de Monk カフェデモンク。
Monkは英語でお坊さんの事。平穏な日常に戻るには長い時間がかかると思います。
あれこれ「文句」の一つも言いながら、ちょっと一息つきませんか?
お坊さんもあなたの文句を聞きながら、一緒に「悶苦」します。」
こうした相手の人生を尊重した宗教者の災害復興支援活動は、人々の心の平安につながる社会貢献として世界で認められた。2011年5月7日、東北大学に「心の相談室」が設立され、岡部健医師がその室長、鈴木岩弓教授が事務局長となり、医療者と宗教者が協力してガン患者や被災者を支援する体制が樹立された。こうして2012年に東北大学大学院文学研究科実践宗教学寄附講座に「臨床宗教師研修」が誕生した。龍谷大学大学院実践真宗学研究科は、上智大学グリーフケア研究所の取り組みに学び、東北大学大学院実践宗教学寄附講座に連携協力いただき、2014年に臨床宗教師研修を開設することができた。

2.東北大学大学院における「臨床宗教師研修」創設とその目的
「臨床宗教師研修」は、2012年4月に東北大学大学院文学研究科実践宗教学寄附講座「臨床宗教師研修」に創設された画期的な大学院教育研究プログラムである。

   「2012年4より、東北大学大学院文学研究科に「実践宗教学寄附講座」が設置されました。本講座は、広い宗教性に基づきつつ超宗派・超宗教的な立場からの人々の「心のケア」を実践する宗教者、即ち「臨床宗教師」を養成するための教育システムを、理論と臨床を統合した形で明示することを目指しています。2011年3月に勃発した東日本大震災以後、日本中からさまざまな宗教者・宗教団体が積極的に被災者支援の活動を行い、注目されてきました。
   そうした中には、布教伝道を目的とせず、時には異なる宗教的背景をもつ宗教者同士が協同のもとで行う宗教的ケアの場が見られ、被災者に大きな勇気を与えてきました。こうした役割は、キリスト教国における災害チャプレンに相当するものですが、日本においてはこれまで、余り関心はもたれて来ませんでした。東日本大震災の被災者支援の活動現場から、こうした役割に対する意味が見直され、「臨床宗教師」養成を目指す本講座の設置へと結びついたことになります。
  ・・・・臨床宗教師研修では、宗教者として全存在をかけて人々の苦悩や悲嘆に向き合い、そこから感じ取られるケア対象者の宗教性を尊重し、公共空間で実践可能な「宗教的ケア」を学ぶことを目的としています。・・・・宗教者が公共空間で活動することは、宗教者の活動の場を広げるということだけでなく、価値観・人生観・死生観についての葛藤に苦悩する人々に救いの手をさしのべることになります。」
(鈴木岩弓「実践宗教学寄附講座の意義と役割」東北大学大学院文学研究科2012年4月)

3.龍谷大学大学院における「臨床宗教師研修」開設
 東北大学大学院文学研究科に設置された「臨床宗教師」の養成を目的とする「実践宗教学寄附講座」は、龍谷大学大学院実践真宗学研究科の理念と方向を同じくする。実践真宗学研究科では、この東北大学大学院の「臨床宗教師研修」という大学院教育に学び、東北大学大学院の実践宗教学寄附講座と連携協力して、2014年度から、龍谷大学大学院の実践真宗学研究科において「臨床宗教師研修」を実施した。

4.臨床宗教師の定義
「臨床宗教師」は日本版チャプレンであり、病院・被災地などの公共空間において信徒であるなしに拘わらず、わけへだてなく人々の悲しみに寄り添い、心のケアを実践する宗教者(僧侶、坊守、神父、牧師等)を指す。「臨床宗教師」は、宗派や宗教を超えて協力しあい、布教や宗教勧誘を目的とせず、ケア対象者の支えとなるものを尊重しながら、生きる力を育む心のケアを目指している。「臨床宗教師」の名称は、仏教のビハーラ僧やキリスト教のチャプレンを包み込む呼称であり、医療・社会福祉の専門職と宗教者がチームを組んで、患者や苦悩する人々の心のケアを提供するという願いがこめられている。

5.「臨床宗教師研修」の具体的目標
「臨床宗教師研修」は、宗教者として全存在をかけて人々の苦悩や悲嘆に向き合い、そこから感じ取られるケア対象者の宗教性を尊重し、公共空間で実践可能な「宗教的ケア」を学ぶことを目的とする。龍谷大学大学院の「臨床宗教師研修」は、東北大学大学院の「臨床宗教師研修」と目標を同じくし、次の5点の習得をめざす。

① 「傾聴」と「スピリチュアルケア」の能力向上
 自分の宗教宗派の教義や世界観を前提として対象者に接するのではなく、まず相手の声を真摯に聴き、悲嘆を受け止め、自然に顕れてくる宗教性を尊重することの重要性を学び、それぞれを現場での実践やグループワークを通じて体得することを目指す。
② 「宗教間対話」「宗教協力」の能力向上
 他宗教、他宗派の宗教者と目的を一にして共に学び合う機会を通して、自分の信仰をあらためて相対化することを試み、他者の信仰を尊重する姿勢を学び、自らの気づきを共有する。
③ 自らの死生観と人生観を養う
  「病者を看取ることは自己を看取ることである」(『増壱阿含経』巻四十、大正大蔵経二巻七四六c)と釈尊は説いた。ちょうどそのように、相手に寄り添うには、自分自身の依りどころとする宗教的死生観や人生観を培うことが求められる。
④ 宗教者以外の諸機関との連携方法を学ぶ
公的機関と宗教者が連携し、宗教者が公共的存在として活動するためには、お互いに様々な配慮が必要である。宗教者としてのアプローチがどのような影響を与えるか、自分自身の言動を見つめつつ、慎重かつ積極的な働きかけの方法を学ぶ。
⑤ 広い「宗教的ケア」の提供方法を学ぶ
 他の宗教宗派の儀礼や世界観を学び、他の宗教、他宗派の宗教者との同一性と差異性についての理解を深める。その上で、共に祈りを捧げることや、ケア対象者の求めに応じて適切な宗教者や宗教組織を紹介する方法について学ぶ。

6.修了証の授与について
 「臨床宗教師研修」の修了者には、龍谷大学大学院実践真宗学研究科より、「臨床宗教師研修修了証」を授与する。

7.「臨床宗教師修了証」授与者の修了後について
 この「臨床宗教師研修」は、参加者自身が現代世界の悲しみの現実を知り、自分自身を見つめ直すための研修である。応募要件を「信徒の相談に応じる立場にある者」と定めているように、修了後の就職先確定や資格取得のために行われるものではない。
 「臨床宗教師研修」修了によって、自らの宗教者としての課題を見つけ、自らの現場に戻って生き生きと活動できるようになることが本研修の願いである。実際に、本研修修了者が、その修了証を活用し、医療や社会福祉施設において、臨床宗教師として、自らの新しい活動現場を広げることや、就職やボランティア先を見つけることに役立っている。東北大学大学院で研修を修了した臨床宗教師、チャプレンやビハーラ僧と交流を深めていきたい。 
以上


「臨床宗教師研修」履修カリキュラム (ファイル形式pdf サイズ0kb)

「臨床宗教師研修」応募要項 (ファイル形式pdf サイズ0kb)

2015臨床宗教師研修申込書.xlsx(ファイル形式xlsx サイズ0kb)

2015臨床宗教師研修履歴書.xlsx(ファイル形式xlsx サイズ0kb)

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