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NPO・地方行政研究コース

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海外インターンシップ(米国)参加者の声

ベイエリアのダイナミズム~アメリカ・バークレイ市を例に~

修士課程 朝倉 健太

龍谷大学法学研究科NPO・地方行政研究コース
修士課程 朝倉 健太

はじめに

左からエリザベスさん、ニィさん、朝倉、加藤さん(東洋学園大)
左からエリザベスさん、ニィさん、朝倉、加藤さん(東洋学園大)

2008年2月25日~2008年3月10日の2週間、アメリカ・カリフォルニア州バークレイ市にインターンシップに行きました。インターンシップの目的はサンフランシスコ周辺のバークレイやオークランドを含むベイエリアで、いま何が起こっているのかを調査することです。私はいま大学院で地方自治を専攻しています。日本では行政と市民の協働が注目され、サービスの受け手でいた市民が積極的に行政やまちづくりに参加することが求められています。しかし、古くからアメリカやヨーロッパではパートナーシップとして市民と行政の協働は行われています。私はそうしたことから、「アメリカは日本より先進的」というイメージを持っていました。特に日本とは違い、アメリカでは人種のるつぼと言われるほど白人・黒人・アジア系・ヒスパニック系等、多様な人々が生活しています。「それらを受け入れ、政治にも関心をもっているアメリカは凄い」と、しかし実際に現地に行くと、白人は白人、黒人は黒人と人種による住み分けや、ゲイやレズなどのジェンダーによっても分けられている現実がありました。こうした問題にベイエリアではどのような動きがあるのか?
それがインターンを通して見えたテーマです。

調査目的

今回の調査目的は『地域再生における多様なステークホルダー間のパートナーシップと利害調整』を主要なテーマとし、行政・市民・NPOのパートナーシップと地域再生・まちづくり等における課題を、バークレイ市で活動している主要なNPOや住民団体の代表の方にヒアリングを行い、『地域住民の合意形成とパートナーシップ』と『まちづくり組織としての役割』の2つの角度からアメリカ・ベイエリアで起きているダイナミズムを調査しました。私は『地域住民の合意形成とパートナーシップ』に関心を持ち、地域住民の意見や利害を取りまとめ、行政との協働を展開しているBANA(Berkeley Alliance of Neighborhood Associations)の活動【日本でいえば町内会のような組織とイメージしてください】と市民セクターを担う人材の訓練をしているNPOの活動を簡単に報告します。

地域住民の合意形成とパートナーシップ

バークレイ中心街のビルです。1900年代に造られた古いビルを解体せずそのまま残したまちづくりをNPOや市民団体と協働して行っています。
バークレイ中心街のビルです。1900年代に造られた古いビルを解体せずそのまま残したまちづくりをNPOや市民団体と協働して行っています。

BANA(Berkeley Alliance of Neighborhood Associations)は行政や議会と住民を繋ぎ、持続可能なコミュニティーづくりを目指している組織です。組織の構成はバークレイ市に住む住民であれば誰でも参加できます。バークレイの各地域には数多くの課題(住宅問題・ホームレス問題等)が存在しています。そうした課題を地域の人々が顔を合わせて議論していく場の提供や、また住民へニュースレターやメールなどを使い、課題や問題を共有する活動も行っています。そうした活動を通して、住民の声をまとめ、バークレイ市に対して政策提言をしていくこともしています。住民の声を反映させるため、バークレイ市に限らず、州議会や連邦議会に働きかけ、地域の課題解決に取り組んでいます。

DATA CENTER

サンフランシスコ中心地を走る路面電車。中心市街地に路面電車を走らせば、車は必要なく、環境に配慮したまちづくりができるかもしれません。ちなみに写真の路面電車は外国で活躍し、引退した車両です。サンフランシスコ市はそれを買い取り、走らせています。日本の路面電車も走っていました。
サンフランシスコ中心地を走る路面電車。中心市街地に路面電車を走らせば、車は必要なく、環境に配慮したまちづくりができるかもしれません。ちなみに写真の路面電車は外国で活躍し、引退した車両です。サンフランシスコ市はそれを買い取り、走らせています。日本の路面電車も走っていました。

インターンシップの期間中、私に深く印象を与えたのがDATA CENTERというNPOです。DATA CENTERは1977年、スタンフォード大学のラテンアメリカ研究をしている教授が設立し、アメリカ政府が当時ラテンアメリカに何をしているのかを市民に知らせるために新聞や雑誌等の記事収集を行い、情報を市民に提供していました。その後、国外だけでなく、国内の労働者のために、労働者に弾圧を加える企業の情報を収集し、対抗するための戦略作りも行っています。DATA CENTERの代表である金氏は「情報は適正に提供できなければただの飾りである。時間もお金もない人たちにアクセスしやすい環境を作らなければ」企業や行政は資料や情報を握っているが、市民はそのような手段をもっていないため、対抗する場合に不利な立場におかれています。
しかし、市民に情報を提供して終わるわけではありません。資料や情報を収集して、それを戦略的に考え、企業や行政に対抗する人材を育成しています。DATA CENTERは決して市民の代弁はしません。対抗できないからDATA CENTERが代弁しては、人は育たないからです。「市民はもともとエキスパートである。誰もがリーダーになる素質を持っている。それらが実行できないのは、そうしたトレーニングを受けていないからである。」と金氏はいっていました。市民は力も持っていないわけではない、力を発揮する機会がないだけなのです。だから市民を代弁するのではなく、支援し、才能を引き出すためにDATA CENTERが存在しています。

終わりに

オークランド中心地にある連邦ビル。外見は立派ですが、周辺には昔ながらの街並みが残っているのに、それを無視して近代的なビルが造られました。バークレイ市とは違い、オークランド市は古い街並みやビルは壊す政策をしています。まちとは誰のものか?住みよいまちとは何か?その考えなしには住みよいまちはできません。
オークランド中心地にある連邦ビル。外見は立派ですが、周辺には昔ながらの街並みが残っているのに、それを無視して近代的なビルが造られました。バークレイ市とは違い、オークランド市は古い街並みやビルは壊す政策をしています。まちとは誰のものか?住みよいまちとは何か?その考えなしには住みよいまちはできません。
JPRNが受入するインターンシップ生(カリフォルニア大学バークレー校で)
JPRNが受入するインターンシップ生(カリフォルニア大学バークレー校で)

インターンシップ最終日、午後のミーティングで「アメリカでのインターンを通して、日本で足りないものは何だと感じましたか?」という質問を受け、私はすぐ「政治です」と答えました。政治は人間が2人いれば成立するものです。政治空間や公共空間は多様な人間が議論し、関心を持ち、他にはないユニークさを創設する空間だと考えています。アメリカではそうした議論や空間ができていると思いました。議会に押しかけ、いまバークレイで何が問題なのかを真剣に聞き入る多くの人々・市役所が強権にでればデモをして自分達の主張を展開する人々。日本ではそうした空間ができているのでしょうか。もちろん、まったくないとはいいきれませんが、地域のことに無関心であったり、議論することを避けたりして、自分達でユニークな地域をつくっていくことをしているのでしょうか。「そうではなく、自分達のまちや地域は自分達で作り上げていく。そうしたことを実践していかなければならない」インターンシップを通し、学んだことです。2週間という短い期間でしたが、「自分には何ができるのか?」という生涯の大きなテーマを見つけることができました。簡単な報告ですが、みなさんも是非、アメリカ・ベイエリアへ行ってみてください。

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社会人大学院生が海外インターンシップで学べること

櫻井あかね

箕面わいわい株式会社 櫻井あかね
2007年度法学研究科修了生

今回の海外インターンシップを通してわたしが学んだことは3つある。

1)バークレーの歴史と草の根NPOの息づき

1960年代、70年代の学生運動、ヒッピームーブメントや障害者運動などからうまれたバークレーの革新的な歴史は今もNPOの活動に大きな影響をあたえ、カウンターカルチャーとしてNPOの存在は大きく、草の根の市民活動が息づいている様子をみて刺激を受けた。バークレーウォーキングツアーではその一つひとつをみて回り、歴史がまだ息づいていることを肌で感じた。
サンフランシスコとは規模も質も異なる人口10万人のバークレーでどのように市政が行われ、そこに市民やNPOが関わっているのか。委員会の傍聴など一部分ではあるが直接参加する機会を得られたことがとても良かったので、来年以降も議会や委員会の傍聴をプログラムに取り入れてはどうだろうか。バークレー・アライアンス・オブ・ネイバーフッドアソシエーションの活動についてはとても興味深く、議長であるボーマン氏の活動のひとつとしてバークレー市住宅アドバイザリー委員会を傍聴できたことは貴重な体験であった。また、地方自治という意味においては政策形成の過程などを学べる機会もあれば、この研修がより実りが大きいものになると思う。

2)研究テーマにあわせたヒアリング

NPOに関わるそれぞれの方へのインタビューを通して、NPOの先進地アメリカがかかえる問題点を垣間見ることができた。
日本でよく紹介されるアメリカのNPOは、戦略的な事業計画を立てる能力に長け、核となる事業収入をもち、予算規模も大きく複数の専従スタッフをかかえることができる姿である。もしくはそのような団体に成長することをめざして、NPOのマネジメントに関するハウツーが数多く紹介されてきた。ある意味企業に近いような組織体であるが、今回のインターンシップで訪れたNPOは比較的小規模で、スマートな手法で事業拡大を図るよりも地域に密着しながら社会変革に取り組むところが多く、課題解決に苦労している点も聞くことができた。これらの情報は直接現地で話を聞かないと分からないことなので、研究を進めるにあたりヒアリングは重要な機会になると思われる。来年以降のインターンシップの実施時期によっては、各自の研究テーマにインタビューをうまく組み合わせることで、日米の比較や論文の作成をより深めることに役立つと思われる。夏休みの後半もしくは中間報告の前後が望ましいのではないだろうか。

3)職場に役立つ情報収集

職場に役立つようなまちづくりについては、歴史的建造物の保存や小売業商業の活性化における具体的な取り組みを視察し、職場にもち帰り役立てられそうなアイデアを得ることができ有意義であった。北バークレーの商店街には、間口約5メートルほどの小さいながらも個性的な店舗がならび、オーガニック食品やアート性の高い商品を販売している。なかでも薬やサプリメント、オーガニック食品が豊富なスーパー「エレファント・パーム」では、売り場の奥に無料の健康教室を行うスペースをもうけ、ヨガ、ピラティス、バランス体操などのレッスンをひらき高齢者や子ども達で賑わいをみせていた。
また、ダウンタウン・バークレー・アソシエーションのヒアリングでは、小売店の新規顧客獲得のために、ソーイング教室やゲーム教室などを開催することでリピーターの確保に努める取り組みを成功例として聞いた。箕面でも同じように商店街の魅力づくりや、文化と商業がコラボレーションできるアイデアが必要なので、アレンジしてさっそく提案するつもりでいる。
社会人大学院生が1週間~2週間の研修期間をつくることはなかなか難しいであろうが、海外インターンシップに参加することは、日常からはなれて新たな知識を吸収しアイデアが沸いてくる良い機会になるはずだ。そのためにはあらかじめ学びたいテーマの絞込みと訪問するNPOの選択が必要であり、事前研修の機会が重要になると考える。

JPRNが受入するインターンシップ生(カリフォルニア大学バークレー校で)

JPRNが受入するインターンシップ生(カリフォルニア大学バークレー校で)

職場に役立つ情報収集

職場に役立つ情報収集

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海外インターンシップ報告書

鳥居 良寛

鳥居 良寛
龍谷大学法学研究科

自身の修士論文との関連性

都市と農村をつなぐ仕組みとして、以前より活動が活発であるとされていた西海岸のファーマーズマーケットの取り組みを調査した。さらにファーマーズマーケット自体もEast Bayにおいて人口の規模は小規模ではあるが市民活動には数十年先進的な取り組みを行い、定評のあるBerkeleyと西海岸有数の都市サンフランシスコの比較を行い、その活動や取り組みを調査した。
また様々なNPOの活動がある中から、中間支援の要素をもつNPO活動に着目した。
中でも住民と行政をつなぐ役割を果たすBANAは日本における町内会や自治会(連合自治会長会)と共通性をもちながらも、アメリカ独自の要素が多分に含まれており、その差異を見つめることで、持続可能な地域コミュニティの構築に関して日本の状況にも示唆を与えられるのではないかと感じ調査した。

各団体の調査報告

Berkeley farmers market

バークレーのファーマーズマーケットは近郊の農家が来て販売を行っていた。基本的に出店している団体はどれもオーガニックを基本としており、カルフォルニア州からの有機野菜の認定資格であるCCOFを所持して販売を行っている。
またユニークであったのはこのファーマーズマーケットを主催しているのはNPOで、社会的に必要であると感じ、また農村の人たちの作った野菜を近隣の地域で消費することが重要だと考え、農村と都市がつながる仕組みとしてファーマーズマーケットを行っていた。
また販売形態も農場において普段、農業をしている農夫の方はもちろん、大学で農業経済学を専攻していて、マーケティングの実践事例としてこのファーマーズマーケットが非常に有効であるため、土曜は手伝っているという若い人や、いとこの農場でできた野菜を代わりに販売し、いとこは今日も農場にいて、農作物を作っているという女性もいた。このように、さまざまな人が関わり、農業を支えていく仕組みがあるということを実感した。また若い人も積極的に関わる機会を見つけようとしている。販売している農家や手伝いの半数以上は20代~30代の人によって担われていた。

Data center

データセンターは直接自分たちが社会に対して闘うのではなく、マイノリティや社会的弱者が闘うための知識や手段を持てるようにするための活動を行うNPOで、発言力の弱いマイノリティや社会的弱者の直接的な代弁はしない。
その上でそうした人たちがどのようにすれば発言力を強めることができ、行動することができるのかということを追求し、研究している。そのために過去、アメリカにおいて起こった出来事などを詳細に分析し、その中から発言力を強めるための「戦略性の共通項」を導き出し、マイノリティや社会的弱者に対してレクチャーを行い、その活動の支援をしている。

Berkeley LEARN 放課後支援プログラム

Berkeley LEARNでは児童間の学力格差を是正するために(主に黒人やラテン系の児童)行われているプログラムで、基本的に放課後の3時から6時までのチャイルドケアの課題を中心に取り扱っている。(ただし低学年の児童に対しては授業が早く終了するため1時からプログラムを開始している。)ここで活動しているボランティアスタッフは最低2年以上のプログラム経験があり、大学で45単位以上取得している、もしくは大学卒業、大学院卒業レベルの要件を満たしている。プログラム自体は小・中学校に分かれるが、おおよそ20人の生徒に対し一人の先生がつく形(経歴・学歴・資格による)でHomeworkの面倒を中心に見ている。プログラムの初めには日本でも行われているような10分間読書の時間が設けられ、学習の導入に充てられている。また学力格差の是正に関するプログラムとして補習を行い、学習が困難な生徒がより下のグレードの内容に立ち戻って学習することもできるようになっている。また学習の部分ももちろん、放課後のチャイルドケアという部分でもプログラムが確保されており、内容に関しては学校によって違いもあるが、縫い物やギター、アートなどが用意されている。またリクリエーションとしてスポーツのプログラムも用意され、中学校ではラクロス、フットボール、ゴルフなどが用意され、小学校に関してはBerkeley市が無料で提供している。

Berkeley Alliance of Neighborhood Associations(BANA)

BANAは自分たちの生活を変化させるための提案をするAction groupで、何か地域で困っていることがあるとき、それを変えたいという風に思ったとき、こうしたいと思うことがあるなら積極的に関わらなければならず、また関わって自分がコミットメントしていかなければ変化は望めないという意識に基づいて組織されている。
事前には日本における自治会のようなものを想像していたが、自治会とはコンセプトが大きく異なり、よりよい地域自治のための組織として設計がなされているように感じた。BANA自体はneighborhood associationの連合組織であり、その点では自治会連合会に相当するものであるが、そこで話し合われる内容は自治会連合会における決定よりもより強力な意味をもって、市政に反映されている。
BANAの行動には4つのプロセスがあり、まずは地域の課題に対しコミュニケートすること、次はそうした課題を構成員でシェアし、そのあとはシェアした課題を解決するために議論し、その解決の方策を提案する。最後に提案だけではなく、その提案した内容を具体的に自分たちで一部分でも担っていくというプロセスをふむことで、地域の社会課題を解決しようとしている。特に、課題を構成員でシェアするというのは非常に難しいが、直接自分に関係ない議題でもしっかりと内容を把握しておくことがその後においても重要になってくるということだった。また提案した内容の一部を担うことについては、BANAの目標がいいアイディアを作ることではなく、そのアイディアを実行するということが最終目標であり、BANAの提案をただ提案して終わるだけではない団体である。
またBANAは市の政策形成が行われる場面にも積極的にコミットメントしている。具体的には市の政策を考えるコミッションに参加し、議員や行政職員と意見を交換したり、そのコミッションの事前に行われる実務者会議のサブコミッティに関しても参加し、意見を述べたりということをしている。

Museum of children’s Art(MOCHA)

MOCHAは放課後の学校教育の中でも特にartを使ったプログラムを提供している。こうしたプログラムには政府からの補助金がついて運営されており、保護者は利用料を支払わなくてもこうしたプログラムを子どもに受けさせることができるようになっている。アメリカでは日本と違い公教育の中に「図工」のような科目がなく、学校の自主裁量に任されているため、授業に全くart関連の科目がない学校も多数ある。こうした点を補完するためにもMOCHAは活動をしているが政府などの資金援助を受ける上で評価されるポイントとしては5項目ある。まず一つ目はartを勉強することが他の科目の勉強をすることの導入をしやすくするということで、artは集中力を必要とするため、このプログラムに参加することで自然と集中力を身につけられる。これは他の勉強に臨むに際しても必要なことで、楽しみながら集中力をつけられるという点でartは非常に効果的であるといえる。二つ目はartを勉強することで自分自身を表現する手法を獲得でき、自分に自信を持つことができる。三つ目は問題行動を起こす児童でもartでは評価されるということで、一般的に他の科目では評価されにくい児童もartフィールドでは他科目と切り離して評価されるため、良い評価を得ることができる。四つ目はartという表現方法を通していろいろな物の見方ができるようになるということ、最後に五つ目はartは言語の境がないので、コミュニティビルディングにも役にたつということである。英語が第二外国語の児童も多く、そうした児童もartを通してなら言語を気にせずに取り組むことができる。という以上のような点が中央政府や州政府またオークランド市などに受け入れられ、MOCHAが子どもたちに対して放課後のartプログラムを提供している。 昨年度の実績では一年間でのべ5200人にサービスを提供していて、14名の事務スタッフと実際にプログラムを提供する40人のアーティストによって活動が行われている。

分析、考察

西海岸全体に共通して言えることともいえるが、アメリカ国内でも非常にマイノリティや社会的弱者に対する関心が強く社会的正義を貫こうという姿勢が強いということがいえる。実際Berkeleyには多くの障がい者が移り住んでおり、街中で姿を見かけることも多かった。電動の車いすに乗り基本的に自分でできることは自分で行い、できないことを人に頼むということが日常の共通理解として成り立っており、特に意識(特別な配慮など)をすることなくごく自然に生活しているように感じられた。
また都市と農村をつなぐ仕組みに関してもファーマーズマーケットは非常に活況に満ちており、市民は値段が少し高くても「有機」で新鮮なものを選択するという志向が強く、近郊の農業者の農作物を買い支えている。また近郊農業者たちも、老若男女問わずに農場を耕し、販売をするというシステムが出来上がっている。農場の大小問わずに、いいものをつくり販売するという姿勢が全体を通して感じられた。「有機」を証明するものとして、カルフォルニア州で発行されている有機野菜の資格である「COOF」もそうしたファーマーズマーケットを支える仕組みの一つとなっているように考えられる。 またファーマーズマーケットだけでなくバークレー近隣の商店も飲食店を中心として「有機」志向の強い店が多く、ファーマーズマーケットだけでない、そうした日常からの理解が近郊農業をしっかりと支える仕組みになっているのではないかということが考えられる。
今回視察したのは西海岸の3つの都市(Berkeley、Auckland、San Francisco)だけだったが、どのNPOの活動にも共通して言えることは「意見の集約」を行うということと「少数派(マイノリティ)の意見を代弁もしくは強化する」ということがいえるということが考えられる。特にデータセンターやBANAはそうしたことを強く意識して活動しているように感じた。両組織とも社会的正義とは何かということを理解し、そこへむけてデータセンターはマイノリティの発言力の強化に向けた知識、理論、行動ノウハウなどの蓄積を戦略的に行っているし、BANAは住民の一人一人の小さな声を集約し、組織として「集団の意見」として市に伝えることで、その小さな意見を、大きな発言力にし、市政に反映させるような活動を行っている。
また市民自治の観点からはBANAの活動はとても印象深く感じられた。自分の住む地域の政策形成に自分たちが携わるということは、日本においても、地方自治の中の「住民自治」の観点からごく自然なことであるが、BANAはそれを具体的に遂行していく手段をもち政策内容に自分たちの意見を反映させる活動を行っていた。具体的には自分たちがふだんから抱える社会的課題を共有し、争点化することでBANA共通の課題として認識し、それを政策化する段階では市の行政機構であるコミッションやサブコミッティなどに参加することで、そうした共通の課題を解決する視点や解決に向けたしくみの内容を政策に盛り込ませ、市の政策形成に関与し政策として制度化している。こうした点から鑑みてもBANAそれ自体がより具体的なガバメントの役割を果たしているということがいえるし、よりよいガバナンスを担保する活動になっているのではないかと考えられる。
それらは教育に関してもいえることで、教育の格差、特に人種や所得による教育の機会の格差を是正しようとする取り組みがBerkeley LEARNやMOCHAの活動を通じて知ることができた。やはり白人は比較的に所得が高く、教育も高い水準のものを受けやすく、それに対して黒人を中心とした有色人種のこどもたちは家庭環境から教育の機会に恵まれず、格差が生じてしまう。しかしこうした点を放課後のプログラムにより改善することができれば子どもたちの教育の機会均等を図っていくことができるのではないかと考えられる。
また学力格差がいわゆる“おちこぼれ”を生み、そうした子どもたちが、問題行動を起こすグループと接触して、その一員になってしまうという反省から、そういったグループの一員にならないための予防的措置としても期待できると考えられる。
アメリカには多くの人種が生活しており、そうしたことを背景とする社会課題も山積しているといえる。人種差別は表面上なくなったとはいえ、未だ根底には人種による差別が潜在的に存在するといえる。しかしこうしたマイノリティや人種に対する社会的正義を求める運動や活動も根強く、こうした運動や活動がアメリカ社会を形成してきたということも間違いないということができる。多様な人種や多様な背景をもった人々が議論し、同じテーブルにつくというコンセンサスが得られているという点でアメリカの民主主義はより醸成されたものに近づきつつあるのではないかと思われる。

MOCHA子どもの放課後プロジェクト

MOCHA子どもの放課後プロジェクト

バークレー市議会 市民が意見を述べる光景

バークレー市議会 市民が意見を述べる光景

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