龍谷大学

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Vol.54

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l 龍谷大学メールマガジン ――∴・*・∵
l 倶楽部りゅうこく通信 Vol.54

*∵――――――――――――――――――*・2010 年8月31日発行*・*∵―∴・∵
ご挨拶

暦の上では秋になりましたが、相変わらずうだるような暑さが続いています。
卒業生の皆さまは、いかがお過ごしでしょうか?
現在、本学は夏季休暇のため学生たちの姿もまばらで、セミの鳴き声が静かなキャンパス内に響き渡っています。俳句の世界では秋の季語になっているヒグラシの声も聞こえます。本当に涼しい秋が待ち遠しくなりますね。
さて、今回の「倶楽部りゅうこく通信」は、人気コーナーが盛りだくさん! 龍谷大学も登場する『鴨川ホルモー』の作者・ 万城目学(まきめまなぶ)さんによる書き下ろしエッセイの第二弾がいよいよ登場します。さらには『一期一会〈特別編〉』と銘打ち、本学国際文化学部でキャリア開発主任として活躍された吉村文成さんの新たなチャレンジもご紹介していますので、どうぞお楽しみください。

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*∵― CONTENTS ―・*・・
1.好評連載中!! 万城目学さん書き下ろしエッセイ「京都凱旋」
2. 『一期一会〈特別編〉』-こころに残る教え子たち-
(カフェ・チャイハナ光が丘・亭主 吉村 文成  元 本学国際文化学部教授 2009年3月退職)
3. 龍谷大学最新情報
○槇原敬之氏のコンサートに龍谷大学混声合唱団ラポールが出演!
○「龍谷大学 ウィークエンド 無料法律相談 in 広島」を開催
○公開講座「まるごと鳥取県!」受付開始
4.編集後記
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1.好評連載中!! 万城目学さん書き下ろしエッセイ「京都凱旋」
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京都市の人口の一割を占めるという学生は京都の町にとってお客さん、というフレーズを、私も学生時代に幾度となく耳にしたが、その意味を本当に理解したのは、小説家になり、ふたたび京都に戻ってきたときのことである。
私のデビュー作『鴨川ホルモー』が世に出て、ようやく一カ月が経ったころの話だ。
最近の作家の大事な仕事のひとつに、「書店まわり」というものがある。本が出たあとに本屋をまわり、現場の書店員のみなさんのもとへ「じゃんじゃん売ってください!」とお願いにあがる。気のいい書店だと、サイン本を作らせてくれる。サインが記された本は、返品不可になってしまうので、書店にとっては「これだけは絶対に売る」と約束することと同義になる。
京都に行く十日ほど前、私は東京の大きな書店を回った。まだデビューして数週間の、誰も知らぬ作家など歯牙にもかけられまい--、と戦々恐々として本屋に赴いた私だったが、現実はまるでちがった。東京の本屋はやさしかった。誰もががんばって、と声をかけてくれ、すべての店でサイン本を置くことを許してくれた。私は感激した。こわいところ、冷たいところと思いこんでいた東京の認識を少しだけ改めた。
「東京であれだけやさしかったのだから、京都を舞台に書いていることだし、京都の人はもっとやさしいだろう」
当然、こう考え、私はほとんど凱旋気分で京都の書店に乗りこんだ。
そこで、私は京都の本当の姿に出会う。
京都はまったくやさしくなかった。
誰もが困惑した表情で私を迎え、サイン本も誰ひとりとして置くことを許してくれなかった。京都が好きで、京都の大学を出たことなど、何の関係もなかった。ただ、結果を出しているか否か、それだけが重要だった。
そのとき、ようやく私は、自分が「お客さん」ではなく、一個の大人として対応されていることを知ったのだ。
あれから四年が経ち、今は京都の本屋もとてもやさしく私を迎えてくれる。サイン本どころか、サイン会まで開いていただいたほどだ。それだけに、あのときのシビアな経験はいい思い出になっている。学生という身分でもって、自動的に認められるのではなく、自身の結果でもってもう一度、ゼロから認めてもらえたことが、やはりうれしいのである。

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次回掲載はVol.57(11月30日発行予定)です。お楽しみに!

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2. 『一期一会〈特別編〉』-こころに残る教え子たち-

カフェ・チャイハナ光が丘・亭主 吉村 文成 元 本学国際文化学部教授 2009年3月退職
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わたしはいま、東京・練馬区にある小さなカフェの新米マスターです。
黒いエプロンをかけて、お客様をお待ちしています。

2009年3月に龍谷大学国際文化学部を退職しました。
途中は省いて、2010年5月に、「カフェ・チャイハナ光が丘」をオープンしました。

大学で教えていたころ、キャリア開発主任として、就職指導をしました。
起業ということも、説きました。
定年だからといって、自分だけ、引退を決め込むわけにもいきません。
働き口を探し、結局、自分で仕事をつくることになりました。

カフェには、もうひとつ狙いがありました。
「情報発信基地」です。
わたしのゼミの卒業研究は、ちょっとユニークです。
いわゆる「論文」の形式にはこだわりません。
代わりに、テーマにこだわります。
「自分が一番関心あること」、それがテーマです。
勝手に『自分ルポ』と名づけていました。
いくつかタイトルを紹介すると……
『人はなぜ恋をするか』、『レゲエとファッション』、
『化粧が生きる力をあたえる』、『我がダイエット奮戦記』……
そんな、一つひとつの『自分ルポ』のユニークで、力強いこと。
読みながら、そっと微笑んだり、あるいは、つい涙ぐんだり……
一人ひとりの学生が生きてきた"歴史"や"思想"が凝縮されています。

ところが、そんなに興味深い論文だのに、読者が、指導教官であるわたしだけです。
そのことが、残念でした。
「もっとたくさんの人に読んで欲しい」
それぞれの論文が声にならない声で、そう訴えているような気がしていました。
チャイハナ光が丘発のブログ、「先ごろ若者気質」で、
やっと卒業研究を紹介できることになりました。

最近卒業した同世代の方々には、まるで自分自身を鏡に映して見るように感じられるでしょう。きっと元気づけられます。
わたしのような年配になると、「いまの若いもんは……」とよくいいます。
しかし、ここに紹介した論文を読めば、いまの若者たちの優しさや意欲を感じ取ることでしょう。
そして、日本の将来に希望を感じるに違いありません。

もう一点、お伝えしたいことがあります。
『戦争の時代の子どもたちー瀬田国民学校5年智組の学級日誌から』(岩波ジュニア新書)
この7月に、こんな本を出しました。
瀬田国民学校は、JR瀬田駅東側にある瀬田小学校の戦時中の名称です。いまも瀬田駅界隈にお住まいの方々が70年近く前の太平洋戦争末期に描いた『学級日誌』は、戦時中の作品とは思えないほど明るく、生き生きしています。
そのナゾを追ってゆく中で、当時の校長先生が展開した、「命を育む教育」に行き当たりました。
国際文化学部に勤めていたころのフィールドワークから生まれた作品です。
中高校生向けなので目につきにくいのですが、どうか、手に取ってみてください。
この本のもとになった5年智組の『学級日誌』も、日誌の日付にあわせて、わたしのブログで紹介しています。
こちらも見ていただけると光栄です。

そして、ぜひ早めに、ご来店くださいますように。


▽カフェ・チャイハナ光が丘のホームーページはこちら
http://chaihana.sakura.ne.jp/chaihana-hp/index.html

▽カフェ・チャイハナ光が丘のブログ「先ごろ若者気質」はこちら
http://yseminar.sblo.jp/

▽完全版「瀬田国民学校5年智組の学級日誌」はこちら
http://seta-kokumin5.sblo.jp/

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3. 龍谷大学最新情報
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*:・―*∵槇原敬之氏のコンサートに混声合唱団ラポールが出演!*:―∵*・

シンガーソングライター槇原敬之氏が10月に大阪城ホールと日本武道館で開催するシンフォニーオーケストラコンサート"cELEBRATION2010"のコーラス隊として、混声合唱団ラポールから約100名が出演協力することになりました。合唱団ラポールの実力や、学生サークルとしての統率のとれた演奏姿勢に対し、槇原氏から高い評価をいただいた結果と受け止めています。合唱団ラポールがこのような著名なアーティストのコンサートに出演協力するのは初めてのこと。また、プロ歌手のコンサートに大学の合唱団が大人数で出演するのは大変珍しいケースです。皆さまも、ぜひ足をお運びください!

* 詳細はこちらから▽
http://www.ryukoku.ac.jp/news/detail.php?id=1318

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*:・―*∵「龍谷大学 ウィークエンド 無料法律相談 in 広島」を開催*:―∵*・

9月、本学の法学部教員や社会保険労務士、税理士など、法律の専門家がさまざまなトラブルについて相談に応じる無料法律相談を広島市で開催します。この無料法律相談は、法学部が設立された1968年から研究成果の社会への還元と、地域社会への奉仕を目指し、全国各地で行っているものです。

【開催日時】
9月4日(土) 14時~17時(受付14時~16時)
9月5日(日) 10時~13時(受付10時~13時)

【開催場所】
「ワークピア広島」
広島市南区金屋町1-17(JR広島駅徒歩7分)

【相談内容】
土地・建物関係、金銭賃借関係、相隣関係、損害賠償関係、親族関係、相続関係、宗教法関係、商事関係、行政関係、雇用・労働関係、訴訟関係など、あらゆる法律的事柄に関する相談

*詳細はこちらから▽
http://www.ryukoku.ac.jp/news/detail.php?id=1438

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*:・―*∵公開講座「まるごと鳥取県!」受付開始*:―∵*・

RECでは、鳥取県との連携の一環として、鳥取県にまつわる話題を取り上げた公開講座を開講します。9月1日から受付を開始しますのでどうぞご参加ください。

■■京都(深草)開催分■■
○10月16日(土)
「鳥取県の教育」
若原 道昭 龍谷大学学長

主として近代以降の鳥取県の教育事情について概観します。公教育制度の成立と変遷について、その間の教育拡充と人材育成への情熱について、そしてその成果として育まれてきた人物群像について紹介します。

○10月23日(土)
「因幡の素兎と大国主神」
生田 敦司 龍谷大学非常勤講師

大国主神(大黒様)と因幡の素兎の話は、独立した物語として語られますが、もともとは『古事記』上巻に語られる神話の一部です。本講座では『古事記』を中心に神話物語の性格を考えてみたいと思います。

○11月6日(土)
「鳥取県の狛犬を楽しむ」
小寺 慶昭 龍谷大学文学部教授

参道狛犬の寄進は、江戸時代中期以降に盛んになりますが、鳥取県内では出雲の来待石で造られた狛犬が多く残っています。これらの狛犬の特徴や観察ポイントを、当時の大坂や江戸の狛犬と比較しつつ、紹介します。

* 詳細はこちらから▽
https://rec-ryukoku.jp/information/guide/detail/


■■大阪(梅田)開催分■■
○10月27日(水)
「松本清張-幻郷としての〈鳥取〉-」
松下 浩幸 明治大学農学部准教授

松本清張の父・峯太郎が生まれた鳥取県日南町矢戸をモデルに描いた短編小説「父系の指」(『或る『小倉日記』伝』所収)を、自伝的エッセイ『半生の記』と合わせて読み、清張文学における〈鳥取〉について考えます。

○11月24日(水)
「環日本海の弥生文化~青谷上寺地遺跡の調査から~」
久保 穰二朗 鳥取県埋蔵文化財センター所長

郷土が誇る国史跡青谷上寺地遺跡の発掘調査から得られる様々な情報(脳・秀麗な木製品・中国や朝鮮製の鉄製品・中国の貨幣など)を紹介しながら、環日本海に位置する国際色豊かな「青谷上寺地遺跡の魅力」について迫ります。

* 詳細はこちらから検索▽
https://rec-ryukoku.jp/search/

* お問い合わせ・申込先 月曜日~土曜日 10:00~16:00
REC京都/075-645-7892

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4.編集後記
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今号の倶楽部りゅうこく通信はいかがでしたか。卒業生のみなさまには、広報誌「龍谷」を9月末頃から発送予定です。メールマガジンとあわせて楽しみにしていてください。
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【お知らせ】
倶楽部りゅうこく通信が、一般の方、保護者の方も登録できるようになりました。
お知り合いの方で、配信希望の方がいらっしゃれば、ぜひ、登録をお勧めください。
http://www.ryukoku.ac.jp/mmg/kouyu/

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個人情報保護への取り組みについて
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本学は、個人情報保護の重要性に鑑み、「個人情報保護に関する考え方」および 「個人情報保護の基本方針」を明らかにし、次のとおり取り組んでいます。
▽詳細はこちら▽
http://www.ryukoku.ac.jp/privacy.html

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編 集   倶楽部りゅうこく通信 編集部
発 行   龍谷大学 http://www.ryukoku.ac.jp/
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