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2018.05.07

龍谷大学世界仏教文化研究センター 国際シンポジウム 「日本仏教と論義 」 名古屋大学と初の協力、仏教文献学の新たな領域を切り開く試み 5月13日(日) 10:30~16:45 大宮キャンパス にて

【本件のポイント】
 ・フランスより招聘した日本仏教史の権威ジャン=ノエル・ロベール氏 による基調講
  演、ならびに黎明期より「論義」の研究を積み重ねて常に新進の研究成果を提示し
  てきた楠淳證(くすのき じゅんしょう)・蓑輪顕量(みのわ けんりょう)・苫
  米地誠一(とまべち せいいち)の三氏による講演。
 ・仏教文献学の長い伝統を持つ龍谷大学が、同じく仏教・宗教文献学の分野で先鋭的
  な試みを展開する名古屋大学人文学研究科附属人類文化遺産テクスト学研究センタ
  ーと協力して行う初の国際シンポジウム。
 ・日本文学・宗教学者の阿部泰郎氏をコーディネーター、上記四氏をパネリストとす
  るパネルディスカッション。
 ・日本仏教思想史上、「論義」がどのような役割を担ったか検討し、その研究が将来
  的に担うであろう役割を多面的に議論する。
 ・昨年度、龍谷大学世界仏教文化研究センターと名古屋大学人文学研究科附属人類文
  化遺産テクスト学研究センターの間で締結された「学術交流に関する包括協定」の
  最初の成果。

 龍谷大学世界仏教文化研究センター、同アジア仏教文化研究センター、名古屋大学人文学研究科附属人類文化遺産テクスト学研究センターが主催する国際シンポジウム「日本仏教と論義」を2018年5月13日(日)に開催いたします 。
 「論義」とは「法義を論ずる」の意で、仏教教義に関する議論のことです 。各宗派の中心的な教えを決定するものとして、特に日本仏教で重要視されました。日本仏教の歴史上、非常に重要な役割を担いながら、今日取りあげられることは少ない「論義」ですが、その重要性を確認し、新しい仏教学の研究領域を切り開くために、本シンポジウムは企画されました。
 本シンポジウムでは、このような論義研究の第一人者といってよい仏教学者の楠淳證(龍谷大学文学部教授)、蓑輪顕量氏(東京大学大学院人文社会系研究科教授)、苫米地誠一氏(元大正大学教授)、そしてジャン=ノエル・ロベール氏(コレージュ・ド・フランス教授)に、「日本仏教と論義」をテーマとするご講演いただきます。講演後には、日本文学・宗教学者の阿部泰郎氏(名古屋大学教授)をコーディネーターとして、登壇者全員によるパネルディスカッションを行います。
 「論義」を通じて日本仏教を眺めることで、これまで知られなかった日本仏教の特徴と意義が新たに見出されます。
(シンポジウムの詳細は、次のウェブサイトを参照。http://rcwbc.ryukoku.ac.jp/activity/1429

1. 日   時 : 2018年5月13日(日)10:30 ~ 16:45
2. 会   場 : 龍谷大学 大宮キャンパス 東黌3階302講義室
          (京都市下京区七条通大宮東入大工町125番地の1)
3. 基調講演   : 10:45 ~ 11:45 ジャン・ノエル・ロベール氏
           (コレージュ・ド・フランス教授)
          「宗教思想の原型としての論義」日本語での講演。
4. 講   演 : ①13:00 ~ 13:40 楠淳證(龍谷大学文学部教授)
          「法相論義(※1)と仏道―仏性義の展開と一闡提の会通(※2)
           ―」
           法相宗の論義と仏道をあゆむことの深い結び付きが議論される。
           具体的には「仏性(※3)」をめぐる法相宗の論義を分析し、
           そのなかで「一闡提(※4)」の問題がどのように解決されてい
           るか考察する。
          ②13:45 ~ 14:25 蓑輪顕量氏(東京大学大学院教授)
          「『法勝寺御八講問答記(※5)』に見る戒律論義」
           さまざまな仏教思想の論義を記録した『法勝寺御八講問答記』を
           検討し、その戒律をめぐる論義がどのようなものかの分析。
          ③14:30 ~ 15:10 苫米地誠一氏(元大正大学教授)
          「論義の歴史と真言宗」
           真言宗は、弘法大師空海が樹立した仏教宗派。日本仏教における
           論義の歴史をひろく見渡したとき、真言宗とその論義はどのよう
           な位置にあるか考察する。
5.ディスカッション:15:40 ~ 16:40 
           阿部泰郎氏×ジャン・ノエル・ロベール氏×楠淳證×蓑輪顕量氏
           ×苫米地誠一氏
           斬新な宗教文献論を展開する阿部氏の司会で、ロベール氏による
           宗教思想方面からの包括的な議論、楠・蓑輪氏・苫米地氏による
           具体的な資料に基づく各論を総合し、日本仏教における論義の意
           義を多角的に議論する。

6. 主    催  : 龍谷大学世界仏教文化研究センター/アジア仏教文化研究セン
            ター/名古屋大学人文学研究科附属人類文化遺産テクスト学
            研究センター
7.参加費・定員  : 無料・先着100名
8.申込み方法   : 電話でお申し込みください。075-343-3812(世界仏教文化研
            究センター)
            受付時間は平日10:00~17:00 (土日祝は休み)。
9.世界仏教文化研究センターとは
  2015年4月1日に設立。仏教の思想・歴史・文化に関する総合的学術研究を基礎研究
 部門・応用研究部門・国際研究部門の3部門に分けて行っている。現代世界の諸課題・
 苦悩に応答する研究を推進することを目的としてシンポジウム・講演会等において研
 究成果の発信を行っている。
10. 人物概要 :
ジャン・ノエル・ロベール氏:
 専門分野は日本仏教史、特に日本における天台宗の展開を研究。
楠淳證 :
 専門分野は日本仏教、唯識思想。古文献の調査研究にもとづく仏教思想の解明にとりく
 む。
蓑輪顕量氏 :
 専門分野は日本仏教、仏教思想史。特に日本仏教における戒律の受容、アジア世界にお
 ける仏教瞑想法の展開等を研究。
苫米地誠一氏:
 専門分野は日本仏教、密教思想。弘法大師空海をはじめとする日本の密教僧の思想解明
 にとりくむ。
阿部泰郎氏:
 日本中世の文芸・宗教文化を多面的に検討すると共に、その基盤となる各地の寺社につ
 たわる文献資料の調査に取り組む。

11.用語説明
※1 法相(ほっそう):法相宗の略。
※2 会通(えつう):
   矛盾する様々な教えを和会し、一つの趣意にまとめあげること。様々な教えの間の
   矛盾を解消する操作。
※3 仏性(ぶっしょう):
   仏の性質。仏としての本性。大乗仏教では、この仏性があらゆる人間に具わると主
   張する。
※4 一闡提(いっせんだい):
   善の根をまったく欠き、仏教による救済の見込みのないもの。成仏の素質、縁を欠
   くもの。
※5 『法勝寺御八講問答記』(ほっしょうじみはっこうもんどうき):
   天承元年(1131)より毎年行われるようになった、中世期の仏教界を代表する権
   威ある「講」(仏典を講じる法会)の一つである法勝寺の「御八講」を記録した
   もの。天台・法相・戒律等、多種多様な思想、教学の論義が記録される。

  問い合わせ先 : 龍谷大学世界仏教文化研究センター  Tel 075-343-3812