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2018.06.01

龍谷大学大学院実践真宗研究科創設10周年記念国際シンポジウムを開催【文学部】

 2018年5月31日(木)に、龍谷大学大学院実践真宗学研究科創設10周年記念 国際シンポジウムが、那須英勝研究科長補佐(龍谷大学文学部教授)の通訳により、大宮学舎清和館にて開催されました。「世界の苦悩に向き合う智慧と慈悲-仏教の実践的研究のための新視座」と題し、二人から提言と大学院生の応答がなされました。
 まず、ハーバード大学 神学大学院副院長のジャネット・ギャツオ教授は、自らがホスピスケアに立ち会った体験も踏まえながら、「公的施設においては、ケアの対象となる人が自らの宗教性にしたがって苦を理解し、苦を受け入れる環境を作り出すことが重要であるが、仏教の宗教実践は、慈悲の心が示すように、自分の宗教的感情を他者に押しつけず、他者の苦と共にあろうとする姿勢が重要とされる」のであり、その点において、「仏教的ケアが、宗教性の差異を超え、国際的な広がりで展開できる可能性を持つだろう」と指摘されました。さらに、牛舎から飛び跳ねてでてくる牛の動画を紹介し、「動物の喜びや悲しみを理解して、動物を護ることもできる」と提言されました。
 次に、鍋島直樹 龍谷大学大学院実践真宗学研究科長(龍谷大学文学部教授)より、「龍谷大学大学院「臨床宗教師研修」-寄り添うスピリチュアルケアと伝わる宗教的ケア」と題して発表され、仏教チャプレンのめざす姿は、部屋の片隅にあるくず箱のように、存在を主張せずに、そっと人々の苦悩をそばで受けとめる存在であり、その人の心の支えを確認し、生きる力を育む宗教者であることを提言しました。特に、心の悲しみを受けとめる様子を、患者役がボールを投げて、チャプレン役がキャッチするロールプレイで解説しました。ギャツオ教授は、臨床宗教師研修と英語版のRyukoku Interfaith Chaplaincy Episode 3に感動し、「トレイニング自体が悲しみの現場でケアにたずさわることになっている。もとに戻れない死の現実に向き合いつづける姿勢が、仏教者の実践として感じ取られる」とコメントされました。
 当日は、雨の中ではありましたが、約120人の学生や市民が集い、心ぬくもるシンポジウムとなりました。ハーバード大学神学大学院と龍谷大学大学院実践真宗学研究科とが、国際的なパートナーシップをこれから築いていく一歩となりました。ジャネット・ギャツオ教授はじめ、ご支援をいただいた関係各位に心より感謝申しあげます。