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2018.06.05

新任教員の紹介 (8) (文学部歴史学科仏教史学専攻 北畠 淨光 講師)【文学部】

2018年4月に文学部に新たに着任した教員を紹介します。

 文学部歴史学科仏教史専攻
  北畠 淨光(きたばたけ じょうこう)講師

① 研究内容を教えてください。
 日本に仏教が伝来してから約1500年の歴史のなかで、様々な仏教への理解が生まれました。そのなかで、仏教本来の立場はどのように立ち現われ、継承されたのか。あるいは、立ち現われなかったとすればそれは何故なのか。以上のようなテーマを研究しています。現在は主に、平安時代後期から社会への影響力を強めていく浄土教を対象に、その歴史的性格を研究しています。

② 専門分野のおもしろさは何ですか。
 
私がいま研究している浄土教は、浄土という仏の世界で成仏を目指す教えです。平安後期には、浄土が死後の世界として多くの人に信仰されました。いわば生まれ変わり(輪廻)が信じられていたからこそ、死後の浄土への往生―成仏が特別な意味をもちました。では、死後の往生を願った浄土信仰者は、当時の社会のなかでどう生き、何を果たしたのでしょうか。これは研究視点の一つですが、仏教が成立させた生き方を研究することは、自らの現実社会とのかかわり方を考えることと表裏一体の営みなのではないかと思います。こうした思想的な学びがあるところが大きな魅力だと考えています。  

③ なぜその分野を専門として選ばれましたか。

龍大入学後、宗教が人生を意味づける「究極的関心」に関わるという話や、現実社会の諸問題を覆い隠す「アヘン」のごとき精神安定剤に過ぎないという解釈があるのを知り、身近な真宗を含め、仏教が人々にどう理解されてきたのかに大きな関心をもちました。
一方で、例えば戦争は罪悪だという発言に対して、戦中と戦後で評価が変わるように、同じ言葉でも、歴史的な状況が違えば、含まれる意味の射程や、果たされる役割が全く違うものになるということも知りました。したがって、誰が、どのような状況で、いかなることを説き、生きたのかという問いが、真宗や仏教を学ぶ上で重要だと思うようになりました。そのとき初めて、こうした問いに答えるべき学問が、「仏教史」であることに気づきました。大学入学後の話ではありますが、以来、仏教史学という学問分野で研究を続けることに決めました。

龍谷大学研究者データベース(北畠 淨光)