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2018.09.27

第3回公開研究会「性暴力・セクシュアルハラスメントを考えるために――性暴力の顕在化・概念化・犯罪化」を開催【犯罪学研究センター】

AV出演被害・デジタル性暴力の相談支援の現場から見えてきたもの

2018年9月22日、第3回公開研究会「性暴力・セクシュアルハラスメントを考えるために――性暴力の顕在化・概念化・犯罪化」を、本学深草学舎 紫光館で開催し、約20名が参加しました。
企画者である牧野雅子(犯罪学研究センター博士研究員)がモデレーターを務め、今回は「AV出演被害・デジタル性暴力の相談支援の現場から見えてきたもの」をテーマに、PAPS(ポルノ被害と性暴力を考える会)の相談支援チーフマネージャー・金尻カズナ氏をゲストに迎えました。

これまでの研究会では、過去の事例や運動を元に、潜在化した性暴力被害を社会の問題として取り上げるための方策について議論を行ってきました。今回取り上げた、リベンジポルノ等のデジタル性暴力やAV出演被害は、顕在化が今まさに求められている問題であり、わたしたち個人や社会が今起きている被害にどう向き合うかを問うテーマです。金尻氏には、PAPSに寄せられた400件を超える相談事例から、被害/加害の形態や支援の実際、法的解決の可能性について、相談者のプライバシーに配慮して紹介いただきました。

AV出演強要問題は、被害者が同意したと解釈されて「被害」と見なされにくいのみならず、被害者に落ち度があったとして非難されやすい被害でもあります。映像がインターネットで容易に拡散されてしまうことから、被害者は「身バレ」の不安に苛まれ続けます。性被害につきものの被害者に対するスティグマ*の付与や、事件化のハードルの高さも指摘されています。
参加者からは、セックスワーク論との向き合い方や、啓発教育のあり方、消費する側の加害性や男性のセクシュアリティ等について質問やコメントがありました。金尻氏は、被害者相談支援という窓口を通して「加害」を見る立場から、加害者にならないための教育が重要だと言います。

公開研究会終了後は、引き続いて、希望参加者とテーマをより掘り下げるため、セミクローズドな場を設け、自身のセクシュアリティを問い直す必要性や、性搾取構造の問題、法的解決の可能性等について、議論を行いました。

*「スティグマ」… 他者や社会集団によって個人に押し付けられた負の表象・烙印。



本公開研究会は、犯罪予防と対人支援を基軸とする「龍谷・犯罪学」の構築を目指す、龍谷大学 犯罪学研究センターの共催で開催しています。

いずれも参加費無料・事前申込不要。どなたでも参加いただけます。
次回は10月6日(土)14:00-16:00開催予定です。 【>>詳細】

※この企画は、JSPS科研費 平成28ー32年度 基盤研究(C) 16K02033<研究課題「近代日本における『性犯罪』抑止政策と法の批判的検討」、研究代表者 牧野雅子(犯罪学研究センター博士研究員)>の一環として実施しています。