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2019.06.24

蕎麦のおいしさの解析 新潟地方で親しまれている「へぎそば」の食感を解析 龍谷大学農学部 朝見 祐也 准教授

【本件のポイント】
・蕎麦の製麺に用いられる「つなぎ」の物性上の効果に関する珍しい研究発表
・「へぎそば」に使用する海藻(フノリ)の添加量に伴って、麺のコシが強くなることが判明

 蕎麦は、タデ科に属する食用作物であり、世界各地で広く栽培・利用されています。我が国では麺が最も親しまれた蕎麦加工食品ですが、世界各地では麺のみならず、多彩な形態に加工・調理され、利用されています。このように蕎麦が重要な食料であるにもかかわらず、蕎麦の成分や物性についてはよくわかっているとはいえない現状があります。
 一方で、食べ物のおいしさを科学的に解明することが近年の食品科学の重要な研究課題となっています。蕎麦加工食品のおいしさには、そしゃく感覚に関係する物性が密接に関係していると考えられており、その物性解析に関心が高まっています。蕎麦粉は凝集性が低いために、小麦粉、卵、ヤマノイモ、海藻などの「つなぎ」がしばしば蕎麦麺の調製の際に加えられています。我が国には、様々なつなぎを用いた蕎麦麺があり、それぞれの種々の特徴を有していますが、蕎麦麺に添加するつなぎの物性上の効果については、不明な点が多くあり、理解されているとはいえません。
 今回、給食経営管理学研究室(朝見祐也准教授)では、新潟地方で親しまれている海藻(フノリ)をつなぎとして添加した蕎麦麺(へぎそば)の物性解析を試みました。フノリ添加蕎麦麺の物性値を測定したところ、フノリの添加量に伴って、蕎麦のタンパク質に影響し、食感(コシ)が強くなることなどが分かりました。

 この成果は、蕎麦の専門学術誌である「FAGOPYRUM誌」Vol.36(2019年6月発行)に掲載されました。

 また、今回得られた「へぎそば」の分析成果をヒントとして、姉川クラゲ※を添加した蕎麦麺の開発について、研究を進めています。 姉川クラゲ(イシクラゲ)は血中コレステロール低下作用などの機能性が報告されており、機能性の高い特産品につながるのではないかと考えています。姉川クラゲ(イシクラゲ)の添加量や製麺の方法などを研究し、新しい滋賀の特産品のひとつとして展開できればと考えているところです。
※姉川クラゲ(イシクラゲ)とは、湿った地面に自生するワカメのような生物です。姉川流域(滋賀県)で過去に食用にされた記録が残るため、姉川クラゲと呼ばれています。


<執筆教員のプロフィール>
氏名 :
 朝見 祐也(あさみ ゆうや) 准教授
専門分野 :
 給食経営管理論・調理科学

問い合わせ先 : 学長室(広報) 橋本 Tel 075-645-7882