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2019.09.25

「これからの依存症予防教育」をテーマに 日本における薬物依存症の治療と研究のパイオニア 松本俊彦氏の講演イベントを実施 9/29(日)13:00〜 龍谷大学深草キャンパスにて

【本件のポイント】
・9月29日(日)に精神科医の松本俊彦氏を本学深草キャンパスに招へいし「これからの依存症予防教育~依存症は回復可能な問題~」と題した公開イベントを共催
・薬物問題に限らず性教育や感染症、ジェンダーの問題など、さまざまな健康学習が必要に迫られる今、日本における依存症予防教育のあり方について論考
・国内でも稀有な「犯罪学」に関する研究機関を有する龍谷大学での開催

 犯罪予防と対人支援を基軸とする「龍谷・犯罪学」の構築をめざす、龍谷大学 犯罪学研究センター1)は、2019年9月29日(日)、精神科医の松本俊彦氏を本学深草キャンパスにお招きし「これからの依存症予防教育~依存症は回復可能な問題~」と題した公開イベントを共催いたします。
 厚生労働省によれば、覚せい剤取締法違反の検挙数は近年減少傾向にあるとはいえ、2010年以降、毎年1万人以上を数えます。覚せい剤をはじめ大麻やコカインなど、違法薬物の事件報道が時おり世間を騒がせる一方で、薬物依存症は治療が必要な病気である点について、日本ではあまり知られていません。現在、欧米では多くの国が「ハーム・リダクション(harm reduction)」2)の考えに基づく施策を導入しています。これは薬物使用に関連する公衆衛生的な諸実践の中から生まれたもので、HIV予防対策との結びつきの中で広まり、現在では薬物やHIV対策以外の分野にも普及しつつある社会的な支援策です。
 今回のイベントは、石塚伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター長)が企画の中心となり、石塚教授の長年にわたる薬物依存からの回復を支援する研究プロジェクト「ATA-net」3)の成果を反映したものです。アルコールや薬物、ギャンブルなどのアディクションの問題状況を克服するためには、嗜癖・嗜虐行動の原因やメカニズムついて正確な知識をもち、当事者や家族の回復を適切に支援する支援者が増え、互いに協力し合う必要があります。
 イベント当日は、日本における薬物依存症の治療と研究のパイオニアである松本俊彦氏の講演につづき、会場参加者と課題共有型および課題解決指向型の「円卓会議方式のサークル(えんたく)」4)を実施。依存症の回復に向けた教育や医療関係者、地域住民等とのつながりについて考える機会とします。

【概 要】
1.第9回AIDS文化フォーラムin京都プレイベント「これからの依存症予防教育」
 日時:2019年9月29日(日) 13:00〜18:00(開場12:30)
 場所:龍谷大学 深草キャンパス 紫光館4F法廷教室 (〒612-8577 京都市伏見区深草塚本町67)
 プログラム:
 13:00    開会挨拶 石塚伸一教授(本学法学部・犯罪学研究センター長)
 13:05-15:00 講演: 松本俊彦氏
 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部 部長)
 15:00-15:30 休憩
 15:30-18:00 課題共有型(課題解決指向型)円卓会議“えんたく”
 補足:申込不要・参加無料

3.登壇者プロフィール
 松本 俊彦(まつもと としひこ)氏
 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部 部長
 1993年、佐賀医科大学卒業。横浜市立大学医学部附属病院精神科助手などを経て、2004年に国立精神・神経センター(現、国立精神・神経医療研究センター)精神保健研究所 司法精神医学研究部室長に就任。以後、同研究所 自殺予防総合対策センター副センター長などを歴任し、2015年より現職。日本アルコール・アディクション医学会理事、日本精神科救急学会理事、日本社会精神医学会理事。


4.主催:AIDS文化フォーラムin京都   
 共催:龍谷大学 犯罪学研究センター
 研究助成:JST・RISTEX(社会技術研究開発事業)「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」領域
 「多様化する嗜癖・嗜虐行動からの回復を支援するネットワークの構築」ATA-net(代表・石塚伸一)

5.用語解説
1)龍谷大学 犯罪学研究センター
「犯罪学」(英:Criminology)とは、犯罪にかかわる事項を科学的に解明し、犯罪対策に資することを目的とする学問です。実証的な犯罪学研究は19世紀後半のヨーロッパで始まり、現在、欧米諸国の総合大学では「犯罪学部」として学問・研究分野が確立されており、多様な社会ニーズに応える人材を多く輩出しています。
龍谷大学 犯罪学研究センターは2016年6月に発足し、同年11月に文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」に採択され、4年目を迎えました。建学の精神を具現化する事業として、犯罪予防と対人支援を基軸とする龍谷大学ならではの「人にやさしい犯罪学」の創生に向けた研究と社会実装活動を展開しています。

2)ハーム・リダクション(harm reduction)
文字通り「被害を減らす」ことを目的とした施策。その根底として、個人の違法薬物の所持や使用を罰するだけでは使用者やコミュニティへの悪影響は減らず、問題解決にならないという考えがあります。国際的なNGO「Harm Reduction International」は、ハーム・リダクションを「薬物の使用問題において、必ずしも使用量が減ること/使用を中止することを目指すものではなく、使用による健康・社会・経済的な悪影響が減少することを目指す政策、プログラムとその実践である」と定義しています。具体的には、鎮痛剤メタドンを投与する「メタドン維持療法」や、安全な注射器の配布・交換、注射室の設置のほか、住居や医療に関する相談や手続き支援もあります。1980年代にHIVの流行が社会問題化した際「ハーム・リダクション・アプローチ」の有効性が認められ、欧州では現在多くの国が薬物政策に何らかの形で採り入れています。

3)ATA-net
JST・RISTEX(社会技術研究開発事業)「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」領域
「多様化する嗜癖・嗜虐行動からの回復を支援するネットワークの構築」ATA-net(代表・石塚伸一)
https://ata-net.jp/
石塚教授による多様な研究をベースに、2016年9月に「ATA-net」としてのプロジェクト活動をスタート。同研究プロジェクトは「嗜癖・嗜虐行動(アディクション)の背景には孤立という共通の背景がある」と考え、社会的な孤立の病としてのアディクションの解決に向けた公私関係の再編に取り組んでいます。

4)えんたく
アディクション当事者(嗜癖・嗜虐行動のある人)の主体性をもとに、当事者をとりまく課題をめぐる情報をもつ多様なステークホルダーと参加者が集まり、話し合いを通じて課題を共有し(あるいは課題の解決を目指し)、緩やかなネットワークを構築していく話し合いの場。ATA-net(代表・石塚伸一)では、この「課題共有型(課題解決指向型)円卓会議」を「えんたく」と名づけ、さまざまなアディクション問題解決に役立てることを目指しています。

6.補足:
・本イベントの詳細・フライヤーは、龍谷大学 犯罪学研究センターHP上に掲載。
 https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-3930.html

・今回のイベントは、10月5 日(土)・6日(日)に本学深草キャンパスで開催される「第9回AIDS文化フォーラムin京都」のプレイベントです。10月6日(日)午後には今回の企画メンバーが中心となり、田代まさし氏(日本ダルク)を招いたワークショップの開催を予定しています。
 第9回AIDS文化フォーラムin京都 プログラムページ
 http://hiv-kyoto.com/program/
 >>10/6(日) 13:00~14:30/15:00~16:30
 「アディクションと偏見、そしてコミュニティへ」講演とえんたく(B107) (JST/RISTEX(社会技術研究開発事業)



問い合わせ先 : 龍谷大学 犯罪学研究センター  
 [Tel]075-645-2184 [FAX]075-645-2240
 [E-mail] crimrc2016@ad.ryukoku.ac.jp [URL] https://crimrc.ryukoku.ac.jp/