人権に関する基本方針

(2016年6月23日策定)

人権に関する基本方針の策定にあたって

建学の精神と人権

龍谷大学は、親鸞聖人の生き方に学び、「真実を求め、真実に生き、真実を顕かにする」ことのできる人間の育成を願い、教育と研究を行っています。それは、心身を苦しめる迷いから逃れられず、自分のみを善しとするものの見方から離れ、阿弥陀仏の願いに生かされて自と他が互いに深い縁で結ばれていることに気づかされる生き方として、建学の精神に謳われています。
本学では、その具現化の方策の一環として、1961年に人権に関する授業科目を開講して以来、人権教育、人権研究、人権啓発などを通じて人権尊重の文化の醸成を推進してきました。しかし、一般社会では既知の人権問題に加え、これまで認識されてこなかったさまざま人権問題が表面化しています。私たちは、これらの人権問題に迅速に対応し、建学の精神にもとづき、他者への同朋としての温かい眼差しと、生かされ恵まれている喜びを持つことのできる人間教育に全学をあげて取り組まなければなりません。

身近な人権課題に向きあう視点

本学は、2万人を超える学生や教職員のほか、さまざまな関係者によって構成されています。言い換えれば、人種、民族、国籍、ルーツ、宗教、信条、社会的立場、年齢、性別、セクシュアリティ、障がいの有無など、多様な人が、自由に学び、働き、行動し、交流するコミュニティであるといえます。一人ひとりのつながりによって成り立っているコミュニティにおいて、差別し排除しようとすることは、人であることを否定することです。
残念ながら、身近な社会においてさまざまな人権侵害があとを絶ちません。例を挙げると、学校でのいじめ、インターネットでの誹謗中傷、職場でのハラスメント、家庭での暴力(DV)、子ども虐待、さらには街頭でのヘイトスピーチなどがあります。さまざまな人権侵害を克服するためには、加害者だけの問題として済ませるのではなく、加害者を取り巻く社会構造や背景、つまり社会が抱える問題認識とそれらを解決するための取り組みが欠かせません。
人権の問題や差別は、意図的な行為だけでなく、無意識のうちに自己中心の見方によって引き起こされることにも注意を向ける必要があるでしょう。たとえば、人の個性は一人ひとり違っていて、性のあり方も多様です。その理解が不十分で、画一的な観念や固定的な性別役割に囚われていると、知らず知らずのうちに相手を傷つけることがあります。無知や無関心、そして多数者への迎合による「無意識の差別」についても、その自覚と克服の努力が必要でしょう。

人権を考える理念

1948年の国連総会で、すべての人間の自由と尊厳と権利の平等を謳った「世界人権宣言」が採択されました。1966年には、加盟国を法的に拘束する「国際人権規約」が採択され(日本は1979年に批准)、その後も、「人種差別撤廃条約」(1965年)や「女性差別撤廃条約」(1979年)、「子どもの権利条約」(1989年)、「障害者権利条約」(2006年)など個別的な人権条約が採択されています。
また、「日本国憲法」は、「すべて国民は個人として尊重される」(13条)と定め、個人の生は国家や他者の道具ではなく、自分らしく生きること自体に価値があることを認めています。さらに、アジア太平洋戦争の加害と被害の経験から、平和的生存権を掲げ、個人の尊厳を平和と一体のものとしています。
人権の理念は、すべての人が自分の生き方を主体的に描き、自他成長をめざして協働し、社会参画するパワーを輝かそうとするものです。また、だれも排除しない、個人の尊厳を大切にする社会、多様な価値観を尊重し、固有性を活かしあう社会を目指すことにあります。
見えにくい差別に対しても鋭敏な感覚を醸成し、自他を平等に見ようとする眼差しを涵養することが、私たちの責務です。一人ひとりの力は弱くても、より良く変えていこうと努める姿勢を示し続けることこそ、人権が尊重される社会に向けた最も重要な実現過程だといえます。

本学は、すべての人が平和に共存し、連帯する社会を目指して、ここに「人権に関する基本方針」を策定します。

人権に関する基本方針

龍谷大学は、建学の精神である浄土真宗の精神を具現化する取り組みのもと、平和を希求し、基本的人権と生命の尊厳を守り、人種、民族、国籍、ルーツ、宗教、信条、社会的立場、年齢、性別、セクシュアリティ、障がいの有無などにかかわらず、本学に関わるすべての人が差別やハラスメントなどの人権侵害を受けることなく学び、働き、関わり合えることを保障します。

龍谷大学は、基本的人権を尊重した環境の整備と、社会的に不利な立場にある人への支援・連帯を推進するため、人権理論の研究、社会的な変化や新たな人権問題に関し、情報収集に努め、本学における人権保障にかかる諸施策の検証と改善、教職員への研修、学生への教育・啓発を継続的に実施します。また、人権保障のための体制の整備に努め、取り組みを公表します。

龍谷大学のすべての構成員は、人権侵害が意図的な行為だけでなく無知や無関心、想像力の欠如によって生じることを常に意識するよう努めます。そして、自ら差別に加担し他者を傷つけている可能性があることの自覚をもち、人権問題に真摯に取り組む姿勢を持つとともに、一人ひとりの多様性と価値を尊重し、偏見や固定観念、差別意識の克服に向けて、主体的に取り組みます。

龍谷大学および龍谷大学のすべての構成員は、教育、研究など、あらゆる機会において人権保障にかかる諸課題を明らかにし、諸活動や成果の発信を通して、人権を尊重する文化と差別のない社会づくりに貢献します。

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