2016年度 入学式 式辞

2016年度 入学式 式辞

式辞

龍谷大学の新入生の皆さん、大学院に進学された皆さん、そして留学生別科の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。龍谷大学を代表して心からお祝い申しあげ、歓迎いたします。
 ご列席をいただいた、ご家族の皆さまにも、心からお慶び申しあげます。

皆さんは、これからの学びの日々の中で、時に困難な出来事に遭遇して不安になり、時に複雑な問題に対応しきれずに混乱し、時に志を遂げることができずに、挫折感を味わうこともあることでしょう。その際、一人で悩み過ぎたり、誤った苦しみ方をしないようにすることが、何よりも大切です。悩み苦しむべき時に、正しく苦悩することができれば、生きる意味を見つめ直し、自らを成長させることができるからです。苦悩を孤立化させずに、安心して悩み、心置きなく苦しめるように、支えてくれる存在が是非とも必要なのだと思われます。これから自らの未来を切り拓いていく上で、そっと、しかし、しっかりと見守り続けてくださるご家族の温かくも、冷静なまなざしを感じられることが、学生にとって心強い後ろ盾となるはずです。大学としては、なんでも相談窓口を開いていますので、皆さんを全力で支援していきます。

龍谷大学は、1639年に西本願寺境内に開設した教育施設・学寮を淵源として、今年で377年目を迎えます。この間、幾たびかの歴史社会の激変を経験しながら、「浄土真宗の精神」を建学の精神とし、学術研究に基礎づけられた教育、そして基礎的・応用的・先端的研究を推進して、その成果を社会に還元し、ひろく学術文化の定着や社会の発展に貢献してきました。昨年2015年4月、瀬田キャンパスに農学部を開設し、国際文化学部を深草キャンパスに移転して、国際学部に改称し、新たな教学展開をスタートしました。今や、9学部、1短期大学部、10研究科に2万人を超える学生・大学院生が在籍する総合大学に発展しています。

本学は、仏教系大学として、親鸞聖人が開かれた「浄土真宗の精神」を建学の精神としています。古代インドのサンスクリット語のアミターバ、アミターユスのアミタの音写である阿弥陀仏は、無量光・無量寿、知恵・慈悲を意味します。阿弥陀仏の光に照らされて、自らの自己中心性が顕わにされることにおいて、自らの硬直した視点から解放され、広く柔らかな視野を獲得することができ、また、分析的な知性では把握できない、「恵まれたいのち」の中で存在して、「生きる意味」に目覚め、しっかり生き抜いて歩むことができます。皆さんが、釈尊、親鸞聖人のご生涯、思想を学び、徹底して考え抜いて、何が真実なのか、何が虚仮、偽りなのかを明らかにすることを通して、たくましく、しなやかに生きる力を養い、人間として大きく成長されることを切に願っています。

大学入学、大学院進学もまた、いかに新たな問いを発見し、新しい自分を創造していくかが、問われる経験となることでしょう。「学問の営みは、新たな可能性を求めて、力いっぱい窓を開ける営み」とおっしゃった方がいます。皆さんもぜひ、本学で過ごす貴重な時間を有効に活用して、勇気を持って自分自身の既存の枠から出て、挑戦的に課題に取り組み、有意義な人生と社会を実現するためのポテンシャルを高めてください。本学での学びが、皆さんにとってそうしたかけがえのない知的体験となるよう、龍谷大学では現在、ハード・ソフト両面での教育・研究環境の水準向上に積極的に取り組んでいます。

昨年の公職選挙法の改正により、選挙権年齢が18歳へ引き下げられ、約240万人が選挙権を有することとなります。政治への主権者としての参加は、希望ある未来を切り拓くためには欠かせない行為です。希望ある未来は遠くにあるのではなく、現在の行為が未来を決して行くことになります。憲法学者(立教大学教授)の渋谷秀樹さんは、「立憲主義は、個人の自由が人間社会において一番大切な価値であると考えます。個人の自由を守ることを目的に、政治の基本的なルールは作られなくてはならならい。そのように作られたルールが、憲法であり、政府は、それにのっとって政治を行わなければならないーこれが立憲主義の根本にある考え方です」と、述べています。 
 立憲主義の後退が危惧される状況のもと、皆さんが、大学での広くて、深い学びを通して、現実に誠実に向き合い、問いをもって分析・思索して、課題解決の選択としての政治への参加は、希望ある未来を拓いて行くものと確信しています。今年は、皆さんにとって、主権者としての一歩を踏み出す、大切な年となります。

学部に入学された皆さん、大学とは、与えられた問いに対する答え・正解を学ぶところではありません。もちろん、答え方の技能を身につけることは必要ですし、そのための知識を大量に蓄積することを、軽んじてはなりません。しかし、より本質的には、解決済みと思われていることから、新たな問いを掘り起こし、デザインしてみせる力、そして、それにクリエイティブに応答できる力と志とを育む点にこそ、大学での学びの醍醐味があります。
 同時に、授業のみならず、サークルやボランティアなどの課外活動にも参加しながら、多様な体験と人間関係を通じて、主体性と協調性とを醸成していくことも大切です。大学内に居場所をうまく見つけ、充実した学生生活を送ってください。

研究科に進学された皆さんは、さらに高みを目指して、厳しい学問の世界で研鑽することを、あるいは高度専門職への道を選ばれました。複雑性を帯びる現代にあって最も求められているのは、一方的に専門知識を授けたり、機械的に専門技術を運用するだけの、単なる「専門家」ではなく、合理的思考力と批判的実践力とを兼ね備えた、開放的な知、ハイブリッドな知の担い手としての「知識人」「高度職業人」です。そのことを十分に理解して、視点を高く維持し、視界を広げながら、徹底した専門分野での研究・学修を深め、その成果を積極的に社会に発信し、世界に貢献してください。時代は、社会は皆さんを必要としています。

留学生別科に入られた皆さんは、学修環境は整っていますから、それぞれの目標達成を目指して、日本語そして日本の文化・歴史、日本事情などについてしっかり学ぶとともに、日本人学生とも大いに交流・対話し、ともに学び、成長できるよう豊かな関係を築いてください。私たちは支援を惜しみません。

世界的に進展しているグローバリゼーションは、経済のみならず、政治・社会・文化や環境・エネルギーなどをめぐる地球規模の諸課題を浮かび上がらせ、私たちに国民国家の枠組みを超えた厳しい課題を突きつけています。ことに国際的なコミュニケーション力や想像力を鍛え、文化理解や文化交流によって課題を解決する能力が求められる状況において、コミュニケーションの共通の道具としての英語力などの多言語の能力の修得も重要です。本学は、約500名の留学生を受け入れ、約500名が留学生として海外に出ています。海外への留学は、異文化体験においても国際交流においても意義があります。在学中に海外留学に出かけてください。

龍谷大学は、2010年度から始まった第5次長期計画のもと大学全体の質向上、教育・研究の質向上にむけての諸施策を実行して、さらなる飛躍をめざしています。自主的主体的な学びを積極的に支援する学びの創造と交流の空間として、昨年から「龍谷大学ラーニングコモンズ」を開設しています。本学に入学して、もっと勉強したいと、学ぶ意欲をもった学生が集い、研究心の旺盛な大学院生が切磋琢磨し、「龍谷大学で学び、研究してよかった」と言ってくださる「知性と活気に溢れる」大学でありたい、と私は考えています。むろん、大学の主役は学生・院生の皆さんです。伝統ある龍谷大学の新しい歴史を切り拓くのは、入学、進学された皆さんです。龍谷大学は皆さんにかかっています。新しい時代が始まるのではありません。皆さんとともに新しい時代を始め、伝統を創りましょう。

皆さんが龍谷大学で実り豊かな学生生活、研究生活を送られることを、そして、キャンパスの各所に「You, Unlimited」と見られるように、皆さんが自らの無限の可能性を開花させるべく全力で努力することを惜しまず、希望ある未来を切り拓くことのできる人間に成長されることを心より念じて申しあげて、私の式辞と致します。

本日はまことにおめでとうございます。

2016(平成28)年4月1日

龍谷大学・龍谷大学短期大学部
学長  赤 松 徹 眞

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